主権侵害事案
別名:主権侵害事態、主権侵害事件
他国によって主権の侵害行為が行われること、あるいはそのような問題のこと。特に、武力攻撃に至らない、領土侵入などの主権侵害行為を指すことが多く、しばしば平時と有事の間の「グレーゾーン」の事案として言及される。
自衛隊法第76条により、内閣総理大臣は外部からの武力攻撃に対して自衛隊の防衛出動を命令することができることが定められている。逆に言えば、武力攻撃が行われない場合には防衛出動下令には至らないことになるが、他国によって海上保安庁などの警察能力を超える主権侵害行為が行われることは政府などによって想定されており、一般的にそのような事案が「主権侵害事案」と呼ばれる。
政府は自衛権の行使に関して、現行憲法のもとで3要件の統一見解を示しており、その一つに「わが国に対する急迫不正の侵害があること」があるが、主権侵害事案には明確な「急迫不正の侵害」とは言い難い場合も多いことが想定されることから、見解の具体化や条件の緩和を求める意見がある。
2014年2月の政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」では、主権侵害事案の具体例として「偽装漁民」の離島への上陸や、潜水艦の領海侵入などが挙げられるとともに、自衛隊の主権侵害事態への対応強化が必要だとされ、法整備を検討する方針が話し合われた。
関連サイト:
憲法と自衛権 - 防衛省
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