条理
条理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 03:35 UTC 版)
法の一般原則。名分上の根拠があるとは限らないが、一般に正義にかなう普遍的原理と認められている諸原則。平等則・比例原則・禁反言の原則・信義則・手続き的正義の原則など。行政はこれらの原則を守る必要がある。
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条理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:06 UTC 版)
物事の筋道のことである。法令に欠缺がある場合などに条理が法源とされる場合がある。その場合、条理を法源とする法の内容は、通常は判例を通じて明確化されることとなる。日本法においては、刑事の場合は、罪刑法定主義の建前があるため適用すべき法がない場合は無罪にすればよいだけであるのに対し、民事の場合は、適用すべき法がない場合に条理を法源として扱うことが可能かという問題が生じる。この点、裁判事務心得(明治8年太政官布告第103号)3条は、「民事ノ裁判ニ成文ノ法律ナキモノハ習慣ニ依リ習慣ナキモノハ条理ヲ推考シテ裁判スヘシ」として、適用すべき法がない場合は条理によるべきことを規定している。この太政官布告が現在でも有効な法令であるか否かにつき見解が分かれているが(平成20年現在廃止されていない)、条理に従うとしても条理自体は法源としての一般的な規準にはならず、法の穴を埋めるための解釈の問題に解消されるとも言い得るが、国際裁判管轄に関するルールが、判例上、(法令の規定が全く存在しないため)条理を根拠として形成されるといった例は存在した。
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条理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 02:16 UTC 版)
条理とは、物事の筋道であり、人間の理性に基づいて考えられるものをいう。 ある事件について適用すべき制定法の不備・欠缺があり、適当な慣習法も判例法も無い場合に、この条理に基づく裁判をすることができるかは困難な問題である。なぜなら、裁判官が裁判に際して制定法・慣習法のほかに拠るべき基準を自ら発見するのは困難が伴うとともに、その判断の客観性が問題とならざるをえないからである。そこで、英米法においてしばしば条理として採用されたのはローマ法であった。また、自然法論者であったトマス・アクィナスは、人の法は神の法によって補完されなければならないと主張したが、聖書が法源となることによってかえって魔女裁判のような恣意的な裁判を許し、アンシャン・レジームの理論的支柱となって、フランス革命の遠因になったと批判されている。19世紀の歴史法学が、自然法思想を徹底的に排撃しようとしたのはこのような背景がある。 一方、成文法がある程度整備されている場合には、近代的な三権分立の原則から、可能な限り成文法の枠内で補充的に条理を取り込む解釈によって、法的安定性と具体的妥当性の調和をはかることができると主張される(→#論理解釈の典型例)。このような立場からは、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』や大岡忠相の大岡政談などに対しては、狡猾な脱法行為であるとして法的安定性の観点から批判的な目が向けられることもある。 もっとも、いかに成文法の解釈及び判例・慣習法による補充をもってしても、なお法律の不備が生じることは避けがたいと考えられる。そこで、司法を信頼して裁判官の自由な裁量を認め(→#立法的解釈か学理解釈か)、正面から条理の法源性を肯定すべきであるという自由法学に代表される立場も有力化しており、例えば後述するスイス民法1条をはじめ、オーストリア普通民法7条やイタリア法例3条2項等は、明文で条理の法源性を認めたものと解されている。このような立場は、人為的な成文法の上に普遍的な自然法を認める自然法学派の主張が形を変えて現れたものとみることができる。 日本でも、明治8年には、民法典が制定されておらず、統一的・近代的な法慣習も無かったことから、明治八年太政官布告百三号裁判事務心得第三条において、「民事ノ裁判二成文ノ法律ナキモノハ習慣二依リ習慣ナキモノハ条理ヲ推考シテ裁判スヘシ」とされ、これに基づく裁判が為されたが、何をもって条理とすべきか紛糾した。フランス法系の法律学校で学んだ者はフランス法を条理であるとし、イギリス法系の法律学校で学んだ者はイギリス法を条理として援用し、日本の昔の教育を受けた者は昔の道徳倫理を基礎に物事を決し、その不統一が問題となったのである。実際に施行されることのなかった旧民法が公布されたときにおいても、裁判官や学者がこれを事実上の法源として利用・研究したのはこのためであった。民法典が制定された直後には、条理を法源から排除すべきと主張されたこともあったが、この裁判事務心得の規定は21世紀に入っても廃止されておらず、なお効力を保っているとみられており、古い判決文の中にも「筋合」とか新しい時代の「社会の観念」を理由とするものがしばしば見受けられる。特に、国際私法分野において強調されることが多い。しかし、これは成文法の解釈にあたって考慮すべき一要素として条理があるという当然のことを確認した規定にすぎないとみることもできるから、必ずしも条理の独立の法源性を強調する必要はないと考えることも可能であり、法解釈の考え方の違いを巡って理論的な対立がある。
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条理
「条理」の例文・使い方・用例・文例
- 不条理劇.
- 条理と不条理を区別する.
- 不条理な社会.
- 一から十まで他人の世話になってながら, おれは自分の好き勝手に生きるんだと言い張るのは, 条理に反している.
- 条理にかなう
- 君の言うことは条理が立たぬ
- その議論は条理が立っている、条理がたたぬ
- 彼の議論は条理整然たるものだ
- 彼女は圧力の下、不条理に振舞った
- 不条理な
- 生活の不条理で非論理的な側面を強調し、通例現代生活が無意味であることを示す演劇
- サミュエル・ベケットとユージン・イヨネスコは不条理劇の脚本を書いている
- 経済的動機が無く、窃盗に対し不条理な強い衝動を持つ人
- フランス人の作家で、不条理の世界で孤立した人間の状態を描いた(1913年−1960年)
- フランスの作家で、不条理の演劇の小説や演劇を著した(1910年−1896年)
- フランスの劇作家(ルーマニア生まれ)で、不条理劇の主要な主唱者(1912年−1994年)
- 不条理は絶対に必要な概念であり、最も重要な真実である−−アルベール・カミュ
- 数学において,結論以外の場合が不条理となることを示してその結論の正しさを証明する方法
条理と同じ種類の言葉
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