最高裁判所判事として担当した訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 00:20 UTC 版)
「山口厚」の記事における「最高裁判所判事として担当した訴訟」の解説
最高裁平成30年3月22日第一小法廷判決(前日に詐欺の被害に遭っていた被害者に対し、被害金を取り戻すためには預金を下ろして自宅に持ち帰る必要があるとの1回目の嘘と、まもなく警察官が被害者宅を訪問するとの2回目の嘘が述べられた事案において、被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても、これらの嘘を一連のものとして述べた段階で詐欺罪の実行の着手が認められるとした事例): 山口は、「犯罪の実行行為自体ではなくとも、実行行為に密接であって、被害を生じさせる客観的な危険性が認められる行為に着手することによっても未遂罪は成立し得る」のであり、「本件事案においては、1回目の電話の時点で未遂罪が成立し得るかどうかはともかく、2回目の電話によって、詐欺の実行行為に密接な行為がなされたと明らかにいえ、詐欺未遂罪の成立を肯定することができると解される」とする補足意見を付した。 最高裁令和元年6月25日第一小法廷決定( 鑑定等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして再審開始の決定をした原々決定及び結論においてこれを是認した原決定を取り消して再審請求を棄却した事例): 山口は、多数意見に与した。 最高裁令和2年1月27日第一小法廷決定(児童ポルノ製造罪が成立するためには、描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しないとした事例): 山口は、「実在する児童の性的な姿態を記録化すること自体が性的搾取であるのみならず……記録化された性的な姿態が他人の目にさらされることによって、更なる性的搾取が生じ得ることとなる。児童ポルノ製造罪は、このような性的搾取の対象とされないという利益の侵害を処罰の直接の根拠としており、上記利益は、描写された児童本人が児童である間にだけ認められるものではなく、本人がたとえ18歳になったとしても、引き続き、同等の保護に値するものである」とする補足意見を付した。 2020年10月15日、郵便局(日本郵便)で勤務する非正規労働者(契約社員)が正社員と同じ手当や休暇を与えるよう求めた訴訟の上告審において、山口は第1小法廷の裁判長として、「待遇に不合理な格差があり、違法」との判断を示し、労働者側勝訴の判決を言い渡した。 最高裁令和4年1月20日第一小法廷判決(いわゆるCoinhive事件上告審。罰金10万円の有罪とした東京高等裁判所の判決を破棄し、無罪を言い渡した):山口は裁判長を務めた。
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