戦災復興都市計画の特色とは? わかりやすく解説

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戦災復興都市計画の特色

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 19:27 UTC 版)

戦災復興都市計画」の記事における「戦災復興都市計画の特色」の解説

戦災復興都市計画特徴としては土地区画整理事業活用することとし組合施行希望した場合はこれに国庫補助することを閣議決定していることがあげられる。しかし制定され特別都市計画法では組合施行法的に定めていないこともあって、東京例外としてほとんどの都市では組合施行行われていない。また減歩を、1割5分の無償規定にした。15パーセント上の減歩に対して土地補償金交付するのである旧都計画法に比べ5パーセント減歩負担土地所有者に強いるものであり、1947年から施行され現行日本国憲法第29条規定抵触するとの疑義出された。戦災復興院合憲とみたが、連合軍総司令部法制局法務府調査意見局は当時憲法違反疑いありとの見解であった区画整理施行される地区特性によっては、必ずしも減歩見合う増進得られない場合もあるからである。この結果1949年国会議決経て現行土地区画整理法減価補償金規定とほぼ同様のものに改正された。 また土地利用計画策定することとし街路について主要幹線大都市では幅員50m以上、中小都市では幅員36m以上として、必要に応じ50-100mの広幅道路にし駅前広場設けること、緑地公園運動場公園道路等)を市街地面積10%以上とし、市街地外周緑地帯グリーンベルト)を設けることなどが盛り込まれ、非常に理想主義的色彩が強いということ挙げられる戦災都市災害対策美観創出には緑地帯重視し戦災地復興計画基本方針公園公園道路ほか緑地を「系統的に配置せらるること」、「必要に応じて市街外周に於ける農地山林原野河川等、空地保存を図るため、緑地帯指定しその他の緑地相俟って市街地へのきつ入を図ること」と示している。このため100メートル道路ほか、幹線道路並木創出されたほか、仙台市勾当台公園熊本市辛島公園などのスペース前橋市広瀬川芦屋市芦屋川神戸市石屋川新生田川妙法寺川広島市内の河川徳島市新町川などの河川沿いの帯状緑地計画し出現させる河岸緑地帯について近年出現した姫路市運河公園浜松市馬込川公園戦災復興期の計画元になっている。そして広幅道路緑地との有機的なネットワークなど、日本では今まで実現することが出来ないでいた政策取り入れられているほか具体性強く道路幅員具体的な指定緑地面積目標値などが基本方針時点織り込まれている。また、経済合理性一辺倒計画なされていないということ特色一つである。高度経済成長期以降道路計画が、ともすれば自動車交通をいかに処理するか」ということだけを考慮して立案されていたのに対し戦災復興造られ道路多くは、広い緑地帯歩道有し市民憩いの場となるように設計されている。アメニティ重視したインフラ整備近年唱えられているが、その考え方決しバブル期以降現れ新しいものではなく戦災国土荒廃していた復興期もっといえば大正期制定され街路構造令等すでに存在していた考え方であった県庁所在地クラス地方都市多く見られる、「中心部駅前中小規模駅前広場があり、そこから30-50mの道路真っ直延び、他の道路はその広い道路基準碁盤の目に近い形で配置なされている」という街区パターンが、戦前耕地整理等を行われていない都市多く戦災復興によって造られることになったため、その意味戦災復興戦後日本の地方都市像までをも形成したことにもなる。 なお、空襲に関して平和教育などで子供達に語ることができるが、こうした復興事業都市計画に関して副読本などで語られても理解しづらいというのが実情である。また大人であってもこうした復興計画存在しそもそも都市計画というものによって街の広幅道路街区形成されるということ自体一般によく知らないという場合もあり、戦災復興都市計画認知度が低い要因となっている。 住宅復興についてはイギリス全国民対象公営住宅考えたが、日本では炭鉱住宅と、戦災復興院建築職の大部分勤務していた特別建設部が関与する米軍住宅米軍施設建設が主で、一般住宅には手がつけられていない。また満州国で日本の都市計画研究者試みた地券などの新し考え方も、戦後の日本では公にされることがなく復興計画とりいれられることは、ほとんどなかった。先の記述にもあるとおり、GHQ米軍都市復興にほとんどかかわり持たず、しかも区画整理公共減歩は、補償なしでの財産の没収ではないか、とのクレームをつけている。これに対して財産額として減価が無いということ当時納得をさせている。広島占領したオーストラリア軍建築家のシャビィ少佐などが復興計画若干提案をしたりしたこともあったが、沖縄横浜では広大な軍用地収用され、戦後都市復興大きな妨げとなる。 また多く都市罹災したため、計画策定技官人員足りず一人人間によって復興計画策定され都市もある。そのため土木行政は、高度経済成長期のような河川・公園道路建築物それぞれ担当部署異な縦割り行政による個別整備とは違い河川緑地道路公園といった異なるものが連続性持った形で体系的にまとめ上げられている。この後内務省建設省となり、土木行政深化したものの、高度経済成長期インフラ整備においては各部門ごとの横のつながりはかえって弱くなったといえるこうした人員不足等も案じて復興院1946年昭和21年)から各地復興都市計画策定建築家をも参加させ、彼らを復興院嘱託として、各復興都市主任助手ペア派遣した。このとき(1)計画図及び計画説明書計画基盤案の内容)各2部作り一部は市に残し一部本院提出(2)地元意見又は希望事項あれば本院提出(3)地元有識者への啓蒙依頼事項としている。派遣メンバー土地国有化などを叫び戦後復興都市地域計画などに参加しようとした国土会に関係していた面々中心で、実際東京大学建築学教室都市計画研究をしていた高山英華日米開戦期に企画院都市計画関連仕事関係し、それが戦後立ち上げられる国土会のもとになってもいた。 それでも、敗戦という状況下でいち早く復興事業取り組む体制を整えることができたのは、戦時期に防空総本部設置などにより都市計画スタッフ強化されていたからであるし、また事業が割と円滑に進んでいるのも関東大震災後震災復興事業等の経験があったことも指摘されている。防空緑地などの施策防空都市計画戦後復興見据えており、建物疎開道路予定地を中心に行われた。しかし、ヨーロッパなどでは第一次世界大戦後戦後復興第二次世界大戦後のそれとで復興事業技術進歩したが、日本ではほとんど復興技術の変化見られなかった。イギリスでは第二次世界大戦後1947年制定した都市計画法開発の国への帰属規定する画期的な制度提案しその後保守党労働党政権交代により土地政策変化はあるものの、開発を行うには許可要るとの原則残された。しかし、日本ではこのような土地政策対す本格的な制度改革行われなかった。 とにもかくにも大都市市街地はどこも焦土化し戦災復興のため戦前段階で既に繁華街となっていた都市中心に特別都市計画法制定し復興院自治体職員から復興建設技術協会などの民間機関までも動員して岡崎空襲#復興甲府空襲#甲府市戦災復興都市計画本庄村 (兵庫県武庫郡)#戦後復興沖縄規格家など日本各地都市復興から、大阪市高速度鉄道協議会路線網改定戦災復興院主催)や小田急1600形電車といった戦災復興車、長岡市営無軌条電車のような戦災復興のための公営自動車事業から相鉄2000系電車 相鉄3000系電車など戦災復興第一線活躍する交通手段と網整備や、セイノーホールディングス#戦災復興長距離定期貨物便〜輸送立国などの輸送復興に力をいれ、高松市のように高松空襲市街地の約80%が消失し戦災復興計画経て戦災10年間の市街地の急発展興すこの他豊橋公園前停留場, 市役所前停留場 (愛知県) といった戦災復興に伴い国鉄戦災復興地元共同で行うことを目論民衆駅東京駅戦災復興次々成し遂げ、さらに地方では高松市立中央球場のように戦災復興シンボルとして市民愛され球場大垣競輪場長崎市営ラグビー・サッカー場(旧長崎市競輪場)、長居公園競馬なども、戦災復興事業推進とを目的行われていく。長岡まつり長岡空襲からの復興願い1946年8月1日行われた戦災復興祭が起源である。

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