戦災地復興計画基本方針とは? わかりやすく解説

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戦災地復興計画基本方針

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 19:27 UTC 版)

戦災復興都市計画」の記事における「戦災地復興計画基本方針」の解説

終戦の年の年末である1945年昭和20年12月30日に、戦災復興都市計画基本方針となる「戦災地復興計画基本方針」が閣議決定された(都道府県都市計画主務課長には9月に、都市計画主任会議には10月内示されていた)。この方針は当時内務省が描く日本の都市理想像示した興味深いのである。(原文漢字片仮名適宜代名詞などの漢字平仮名直し句読点入れて一部誤字思われる箇所修正した。) 戦災地復興計画基本方針昭和20年12月30日 閣議決定 今次戦災被害ほとんど全国またがり都市集落通じその焼失区域1億6干坪におよぶ。これに対す復興計画産業立地都市農村人口配分に関する合理的方策により、過大都市抑制並びに地方中小都市振興を図るを目途とし、各都市または集落性格その将来発展即応して樹立せらるべく、計画属す事業永年長期にわたり継続して施行するのほかなきも、これが基礎となるべき土地整理事業性質上出来得る限り急速にこれを実施すべきものとす 1、復興計画区域戦災地の復興計画実施する区域は、都市または集落の相当部分に損害こうむりたる戦災地の主要罹災地域およびこれと関連する地域とす 2、復興計画目標戦災地の復興計画においては産業立地人口配分に関する方策により規定せらるる都市集落性格規模とを基礎とし、都市集落能率保健および防災主眼として決定せらるべく、かねて国民生活の向上と地方的美観発揚企図地方気候風土慣習等に即応せる特色ある都市集落建設せんことを目標とす 3、土地利用計画(1) 都市集落能率保健および防災対す充分な考慮のもとに工業商業その他業務および住居充てらるべき土地配分計画的に決定すること(2) 土地利用に関する計画実現確保するため、地域および地区に関して出来得る限り精密に指定し、かつ特にその専用制を高度化すること(3) 特殊の目的のために設けらるる地区にして、その従来配置不適当なるものはこの際これが変更合併を行うこと(4) 官公衙、学校停車場郵便電信電話局舎市場墓地その他都市集落構成上の主要営造物については、適正な配置為すと共に罹災施設または営造物にしてその位置変更するを適当とするものは、これを他に移転せしむること 4、主要施設(1) 街路 イ、街路網は都市集落性格規模並に土地利用計画即応しこれを構成すると共に街路構想においては将来自動交通および建築様式規模適応せしむることを期し、かねて防災保健および美観資すること ロ、主要幹線街路幅員中小都市において36米以上、大都市においては50米以上、その他の幹線街路中小都市においては25米以上、大都市においては36米以上、補助幹線街路15米以上とし、やむを得ざる場合といえども8米を下らず区画街路は6米以上とすること ハ、必要の個所には幅員50米ないし100米の広路または広場配置し利用防災および美観構成兼ねしむること ニ、地下鉄道軌道乗合自動車等の整備予想せらるる場合においては街路はこれに即応する系統幅員を有せしむること(2) 緑地 イ、公園運動場公園道路その他の緑地都市集落性格および土地利用計画応じ系統的に配置せらるること ロ、緑地総面積市街地面積10%以上を目途として整備せらるること ハ、必要に応じ市街外周における農地山林原野河川空地保存を図るため緑地帯指定しその他の緑地あいまって市街地への入を図ること(3) 港湾運河飛行場将来の産業立地および地方発展予想しこれに相応する鉄道軌道港湾および運河整備すると共に主要な都市においては飛行場軌道地下鉄道等を計画すること(4) その他市街地整備に伴い電線等は原則としてこれを地下移設必要な水道下水道改良新設行い水利施設拡充期するのほか、必要に応じ塵芥および汚物処理場火葬場屠場等を整備し主要都市においては蔬菜鮮魚介等の市場整備を図ること 5、土地整理(1) 街路公園その他公共用地等の提供および市街地利用増進目的として、罹災区域全体にわたり急速に土地整備実施すること(2) 土地整理方法土地区画整理または買収によることとし必要に応じて地券発行等の方法考慮すること(3) 土地区画整理においては名勝地旧蹟地、古墳墓地等を除くのほか、関係土地全部整理施行地区編入すること(4) 移転すべき罹災施設または営造物跡地兵舎その他軍用地跡地官公衙、街路公園その他公共用地充つるもののほか、これを市街宅地為すこと(5) 土地区画整理施行結果宅地面積減少するものに対しては、その減少一部はこれを無償をもって供せしむること(6) 市街地の密住を避け堅牢建築物建築促進するため、土地区画整理においては過小画地整理を行うこととし整理施行容易ならしむるため、必要に応じ小なる敷地に対して地積増して換地交付し、特に大なる敷地についてはその減歩大ならしむること(7) 土地区画整理施行容易ならしむるため、公共団体代行機関等をして住宅敷地造成事業経営せしむること 6、疎開跡地対す措置(1) 土地区画整理施行区域内の建物疎開跡地にして、公共団体においていまだ買収しあらざるものについては、区画整理事業の施行容易ならしむるため関係公共団体をしてこれを買収せしむること(2) 建物疎開跡地にして区画整理施行区域外にあるもの、および戦災地にあらざる都市にあるものは、都市計画上必要あるものに限り関係公共団体をしてこれを買収せしめ、その経費については国庫より補助金交付すること 7、建築(1) 市街地不燃保健および防災強化し戦災に関する復興計画即応して市街地建築物構造設備に関する監督強化し併せてこれが指導を行うこと(2) 都心部および防火帯属す地区においては堅牢建築物以外建築物禁止すること(3) その他の地区においても、堅牢建築物以外建築物はその配置および構造に関する条件厳格にし、出来得る限りこれが耐火性高むること(4) 建築物敷地内空地確保するため、建蔽率に関する制限強化すること(5) 堅牢建築物建築促進するため、これが有効な助成方途講ずると共に堅牢建築物建築上の必要にもとづく同一廓内土地収用制度設くること 8、事業執行復興計画政府において計画統制し、その立案にあたりては出来得る限り地方創意反映助長せしむる主眼とし、これにもとづき施行すべき事業はなるべく市町村長東京都の区存する区域については東京都長官)をしてこれを執行せしめ、市町村長において執行すること困難なるものは府県知事をして執行せしむること 9、復興計画事業費(1) 復興計画事業費用公共団体負担とするも、公共団体財政において負担堪えざる部分については国庫より補助すること(2) 公共団体において負担する費用については、その一部罹災区域外の住民をして負担せしむることを得ること(3) 公共団体負担する費用充てしむるため、政府低利資金融通をなしかつその利子等の補給為すこと

※この「戦災地復興計画基本方針」の解説は、「戦災復興都市計画」の解説の一部です。
「戦災地復興計画基本方針」を含む「戦災復興都市計画」の記事については、「戦災復興都市計画」の概要を参照ください。

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