敷地造成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:31 UTC 版)
「福島第一原子力発電所」の記事における「敷地造成」の解説
敷地造成工事は後述するプラント設備のように、GEとのターンキー契約の対象ではなかった。東京電力の施工範囲とされ、東京電力の指示でゼネコンが工事に従事している。 熊谷組:敷地造成、冷却水路関係、物揚場護岸 間組:原石山骨材プラント 前田建設:バッチャープラント、コンクリートブロック 五洋建設:防波堤 工期は1966年6月1日より1967年3月末までの10か月間であるとされたが、仮設設備や梅雨の影響を考慮すると実質的には8か月半、更に道路部分の掘削はコンクリート舗装を考慮し少なくとも2か月前には掘削を完了する必要があった。1号機分として必要なスペースは170m×200mである。この敷地造成に当たり、掘削必要量は約120万立方メートルであり、地質に適合した大型機械を使用した。具体的には標高35mから標高27mの間は柔らかい土質で地下水の湧出も少ないためのモータースクレーパーを使用し、標高27mから標高10mの間は常に地下水が湧出し地盤がぬかるみやすい層であったのでウェルポイント工法で地下水を汲み上げし、仮排水路も設置しつつ、掘削にホイールローダーが使用された。 埋立、浚渫のその他の仕様数値については下記の様になっている。 1号機用整地面積:約32,000平方メートル 掘削土量約995,000立方メートル 物揚場泊地水深:O.P.-6.0m 取水路開渠水深:O.P.-3.5〜-4.5m 浚渫土量:約230,000立方メートル 埋立:380,000立方メートル内切取埋立約150,000立方メートル なお、防波堤堤体材料は東京電力が材料を建設業者に社給した。付近の小河川の産骨材は殆ど乱堀されていたので、供給源は本地点南西18kmに位置する滝川付近の原石山の社有地に採掘場を設け、骨材を生産した。コンクリートブロック、テトラポッドの生産も実施した。岩質は花崗閃緑岩、輝緑岩であった。 本発電所の初代所長、今村博によれば、長者ヶ原飛行場は上述のように戦時中アメリカ海軍より艦砲射撃や爆撃を受けたため、用地造成中には土捨場から50kg爆弾が発見されて山形県神町駐屯地より不発弾処理隊が派遣されたこともあったと言う。 高山正之は、東電側は海岸線の高い丘の上に建てる計画が、揚水にコストがかかるため、丘を削らせて低地にしたうえで建設するというGE側の主張が通ったと述べている(これは事実とは異なる)。
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