敷地高の検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:33 UTC 版)
丘陵地帯であるため、発電所の建設に必要な敷地面積を得るためには整地工事量が大きくなり、これが経済的な面での制約条件となった。ただし、原子力発電所の建設であるため、経済性より優先して検討しなければならない要件として、潮位、波高、津波、付近河川(新野川)の洪水などが挙げられている。 検討の際、周辺の社会資本建設に当たって決定された経緯が参考となった。これは計画潮位と計画波高の和を取って求められる。中部電力が参考としたのは、遠州灘海岸堤防である。その高さは、舞阪検潮所の最高潮位がT.P.+1.98mであったことから、計画潮位T.P.+2.00mとされた。また、計画波高は伊勢湾台風時の沖波波高を参考に、3.65mと推測されたため、これらの和に余裕高0.5mを加え、次のようになった。 2.00+3.65+0.5=T.P.6.5m 同じように、新野川堤防高決定の経緯では計画洪水量260m3と計画潮位、余裕高を見越し、T.P.5.2mとなった。 また、遠州灘における津波の100年間期待値は1520年 - 1968年間の津波記録14回より、計算され、3.2 - 4.4mと計算され、最大約5mと計画された。これに台風時の満潮位0.6mと余裕高さを加え、6mと見積もられた。 上記複数のケースの検討結果より、敷地高さはT.P.6m程度まで高くしておけば自然条件に対して十分安全であると考えられた。 これらの条件を加味して立地と配置が検討された。当該地点は海岸より砂丘、湿地、丘陵となっており、工事費を考えると切り取りは少ない方が良く、岩盤線が低すぎても問題であった。そのため、岩盤線の低い湿地帯は避けられ、丘陵に沿ったT.P.4 - 7mの地帯を造成することとした。まとめると、レイアウト案を検討する際、工事費としては次の要素に分解出来る。 整地工事費 法面保護工事費 建屋基礎工事費 水路関係工事費 循環水ポンプ工事費 これらを検討した結果当初はT.P.6.5mとされたが、その後タービン建屋1階と同じだった開閉所敷地高を13mに上げて切り取り量を減らしたため、浮いた分を全体の敷地高を下げるために回し、T.P.6mで最終決定となった。
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