雁州国
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首都は靖州の関弓、王宮は玄英宮。延王は尚隆、麒麟は延麒六太。王も麒麟も胎果で治世は500年に及び、現在北方で最も豊かな国。国土は崇山から1時半の方向、慶東国の北西に隣接する。主な産業は農業、商業。船舶や建造物の建造技術も高く、そのために必要な計測資材の関係で範西国とも関係が深い。関弓は関弓山の麓に盛り上がったなだらかな丘陵地帯に弧を描いて広がり、元はさほど大きくはなかったが、この500年で巨大な街に変貌した。黒海沿岸に元州が、それと隣接して柳国との国境に光州が、青海と艮海門近辺の黒海に貞州がある。関弓近郊から元州にかけて漉水という河が流れており、元州の中央部からやや黒海寄りに元州の州都・頑朴が漉水に南以外の三方を囲まれて存在する。元州には繰り返される漉水の氾濫が作った肥沃な平野が広がる。 資源的には慶と同じく恵まれておらず、更に慶よりも北方に位置する為、寒さが厳しい。夏は黒海から冷たく乾いた風が吹くため寒涼で雨が少ない。夏から秋にかけては風が弱まるためふわふわと暖かい秋が長く続き、秋の終わりの長雨が終わると乾ききった条風がやってきていきなり寒くなる。そのため、植物の繁茂には適さない気候。秋の雨季は黒海近辺ではあまり降らないが、漉水上流では豪雨が降る。国民の収入の大半は土地から収穫物であり、楽俊曰く「小麦を作って牛を飼って終わり」。 先代の梟王がその王朝末期に暴虐の限りを尽くし、さらに次代の麒麟が王を選べないまま崩御したために王の不在が長く、500年前に尚隆が登極した時の雁はわずか30万足らず(通常の1/10以下)の人民しか残っていなかった。まさに凌雲山すら折れようかというほどのその荒廃ぶりは「折山」と呼ばれた。 現在は、十二国屈指の国力を誇り、この繁栄により尚隆は宗王と共に稀代の名君と称されるに至るが、他人の10倍は我慢強く、かつ有能な官吏たちの奮闘のおかげでもある。奏国の宗王一家も、麒麟以外に身内を持たない身で500年治世を行ってきた尚隆を賞賛しつつ、型破りな王と麒麟に振り回されながらも国をしっかり支え続けてきた官吏たちの能力を認めている。本来は貴人しか乗れない馳車(専業業者が運営する旅客専用の堅牢な馬車)を普通の人が使い、他国では一般的な農民が副業でやる乗合馬車や安宿などが存在しない程、平均的な国民の生活水準は高く、貧乏人や旅人には金銭的に厳しい国。北方で唯一安定した国であるために当てにされて難民が増加の傾向にあり、近隣諸国からの難民対策が大きな課題となっている。 十二国で唯一、妖魔を敵対生物としない法を制定し、家畜などにも妖魔の名を連ねている。また、半獣や海客に対しても最も差別の少ない国として知られている。
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雁州国
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※声の記述はCDドラマ版 / アニメ版の順 尚隆(しょうりゅう) / 小松三郎尚隆(こまつさぶろうなおたか) 声 - 梁田清之 / 相沢正輝 現在の延王。前者は十二国での名、後者は蓬莱での名前。普段は奔放で不真面目だが、重要な局面では優れた手腕を発揮する。治世は500年におよび、名君として名高い。 頻繁に王宮を出奔し、風漢(ふうかん)と名乗って国内外に足を延ばしている。遊郭や賭場で放蕩しては有り金を使い果たし、下働きをしているところを官吏に連れ戻される、ということも少なくない。一方で市井の様子や他国の動向を自ら視察する意味もあり、同様に放浪癖のある奏国の太子・利広と出会って情報交換することもある。 胎果であり、蓬莱では戦国時代の瀬戸内水軍であった国人・小松家に生まれ育つ。兄が二人いたが戦死している。小松家の跡取りとしてちやほやされ、領内をぶらついては領民と交流していた。大内氏の傍流から許嫁を貰ったが、祝言の夜に婆二人を盾に寝所に入れてもらえず、以来会ったことがないのに子供ができていた。小松水軍が近隣の因島水軍との戦いに敗れ一族郎党滅亡、自らも戦死しかけたところを六太に救われ、雁国を与えられる。 剣術・政治的手腕共に一流で、正義や体面よりも最小限の被害で成果を挙げる主義。盛者必衰の考えも持ち合わせている。かつて自分が処刑した官吏(斡由)の墓参りには、今でもお忍びで行っている。 現在の簡素な服装について臣下と折り合いをつけるまでに、300年に亘る戦いを経ている。六太以下の家臣にとんでもない字を与えている。世話焼きでもあり、自らが選んだ王の王気を自覚できず悩む泰麒のために、あえて憎まれ役を買って出たこともある。 六太(ろくた) 声 - 山口勝平、幼少 - 石津彩 現在の延麒。外見は12〜13歳。名前は蓬莱の親に付けられた。麒麟本来の姿は馬と鹿の中間のような形であるため、字は馬鹿。雁国宰輔を務め、首都州・靖州の州侯でもある。相手の嘘や隠し事に気付き、あえてそれを黙っているなど聡い性分。 胎果であり、室町時代に京都の貧家の末っ子として生まれ育った。4歳の時に応仁の乱後の荒廃した世相の中、父親の雇い主を足軽に殺されたことがきっかけで貧しさから親に捨てられ餓死しかけたところを、沃飛に救助された。戦を起こし民を犠牲にする権力者を嫌う。10歳の時に自らの使命に疑問を持ち蓬莱に逃げ渡り、実家が既にないのを見て当てもなく西にさまよい、3年後、血に酔って倒れたところを尚隆に拾われ、天命に抗えず彼を王位に就かせる。 尚隆と同様、度々王宮を飛び出して市井を放浪する。更に『胎果の麒麟の特権』と称して蓬莱にも再三渡っている(蓬莱では金髪から黒髪に変わる)。蓬莱の物品を持ってくることがあるが、その入手方法については言葉を濁している。近年は泰麒探索を名目に年に1回程度蓬莱との間を行き来している。アニメでは景麒と会う前の陽子に遭遇している。 白沃飛(はく よくひ) 声 - 日高奈留美 六太の女怪。白い鱗の生えた手と、白い翼、鷲の下肢、蛇の尾を持つ。 悧角(りかく) 声 - 肥後誠 六太の使令。種族は錆翡(しょうひ)。濃い灰色の毛並みの三尾の狼。妖魔としての格は筆頭クラスで、俊足。 楽俊(らくしゅん) 声 - 鈴村健一 姓名は張清。灰色のネズミの半獣。陽子と最初に会った時点で22歳。人の姿は中背で痩せぎす。獣姿は陽子の鳩尾ぐらいの身長。かなりのお人好しかつ正直者。嘘を吐こうにも鬚と尻尾が正直に動くため嘘がつけない。巧国出身で、独学で勉学に励んだ努力家。特に法令に関しては教師も舌を巻くほど博識。 巧国内陸部の淳州安陽県鹿北の人里離れた粗末な家に母と二人で暮らしていた。巧国では戸籍に半獣と但し書きがされ、少学に行くことや給田を受けることができず、半獣を雇うと雇い主に税金が余計にかかることから働き口もないため、母親が自分と亡き夫の土地や財産を処分し小作農や女中として働いて生活していた。近所で行き倒れた陽子を救ったことで親友となり、生活の伝手を探しがてら彼女と共に雁国へ向かう。陽子が偽王と戦った時は、陽子が正当な王であることの証人として六太と共に偽王に下った州候らの説得に奔走した。その結果、延王らの推薦と援助により雁国の大学に推挙され、首席合格した。 父親は若い頃に県かどこかの役人をしており、彼が残した書き付けや遺品の書籍を手本に独学した。そのため文章が上手く、大学での字は「文章の張」を意味する文張(ぶんちょう)である。後に大学を自主退学する蛛枕から数々の資料を譲り受け、いかに自分が王たちに庇護されているかを知る。衣服代を節約するためもあって獣姿でいることがほとんどで、人の姿に慣れていないせいか、人の姿だとやたらとあちこちにぶつかり、大学では必修の乗馬と弓射の腕前もかなり酷い。鳴賢から、目的も無く知識を求め学問を修めることの難しさと危さを諭される。アニメ版では、最終回に慶国の大学へ編入する。 延麒の依頼を受けて柳へ赴いた旅の途中で祥瓊と遭遇し、行き場を失っていた彼女の姿をかつての陽子と重ね合わせ、彼女に公主としての責任と自覚を促した。 慶国の年号「赤楽」の「楽」は楽俊の字に由来する。 楊朱衡(よう しゅこう) 声 - 子安武人 / 家中宏 雁国の官吏。元々は内史の下官だった。王に発言するだけで罰せられることがある低い身分にもかかわらず、登極から3日後の尚隆に向かって「興王か、滅王か」と自らの諡を選ぶよう発言した。そのため字は無謀。尚隆に抜擢され内史の中級官になり、その後は春官長大宗伯(アニメでは秋官長大司寇)を歴任。六太曰く「深く根に持って、笑顔で100年でも200年でも厭味を言うタイプ」。延王と延麒の出奔癖には辟易しつつも、割り切っている。後宮に、極秘に執務を行うための部屋を賜ったため龍陽の寵と揶揄されたこともあった。 帷湍(いたん) 声 - 関智一 / 宝亀克寿 雁国の官吏。もとは田猟(下級官僚)。尚隆が登極するまでに死亡した民の戸籍簿を投げつけ、登極に至るまでの長い時を責めた。その経緯から、字は猪突。当時の地官長に官籍を剥奪され謹慎処分になるが、尚隆から遂人に抜擢された。のち地官長大司徒を経て天官長太宰になり、王の生活態度改善に乗り出す。王の寝所に立ち入り、禁門を使用し、内宮の奥まで騎乗していくことができ、王の前で平伏せずとも良い。 成笙(せいしょう) 声 - 三木眞一郎 / 真殿光昭 人望も厚い雁国の武官。梟王の時代から禁軍左将軍を務めた。梟王も殺すのを惜しむほどの傑物。梟王の不興を買って牢に入れられたが、梟王の死後も「次王の赦免があるまで」と50年間鍵のかかっていない牢屋から出なかった。その経緯から、字は酔狂。のち夏官長大司馬になり、帷湍の策に協力する。 壁落人 #海客参照。 鳴賢(めいけん) 声 - 風間勇刀 楽俊の大学での友人。『書簡』の時点で26歳。半獣であるがゆえに差別を受ける楽俊を庇い、世話を焼く。鳴賢は別字で、成年になる前に入学する者は珍しい大学に19歳で入ってきたことから「賢さが鳴り響く」意味で名付けられた。最近、落ちこぼれつつある。 蛛枕(ちゅちん) 声 - 中井和哉 楽俊の大学での友人。本来の字は進達だが、誰もこの名では呼ばない。字の由来は「勉学熱心で眠らないあまり枕に蜘蛛の巣がかかっていた」という出来事から。妻帯者。8年間大学に在籍した後に学業不振による除籍から逃れるためと経済的困窮から自主退学し、楽俊に自分の資料を譲った。
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