500年前の雁州国の人々
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「十二国記の登場人物」の記事における「500年前の雁州国の人々」の解説
斡由(あつゆ) 声 - 松本保典 / 大倉正章 元州侯元魁の息子。姓名は接祐(せつゆう)。赤茶色の髪で、右のこめかみのひと房だけが白い。彼の身分は、国府六官や牧伯と並ぶ。 梟王の時代から傑物として州内の人望を集め、梟王末期の暴政から民を守るために、梟王のいいなりであった父親と対立し、父を幽閉して実権を掌握する。30年以上続いた王不在期には、院白沢を始めとする優秀な官僚団を統率して、雁国を覆った過酷な荒廃を押しとどめるべくその手腕を発揮し、元州のみならず雁国全土にその名を知られる。 尚隆登極後も元州の実質的な州侯として復興に尽力していたが、梟王時代に破壊された漉水(ろくすい)の堤復旧を先送りし続ける尚隆の態度に業を煮やし、漉水流域の民を守るために反旗を翻す。しかし国府に徴兵志願者や、支援を申し出る郷や郡が続出し、宰輔の拉致監禁という強攻策に出たため尚隆の計略もあって諸侯から離反者が続出するという不利な状況に追い込まれ、大雨の最中に街の対岸にだけ堤を作るという尚隆の策に嵌り敗北、元州に潜入していた尚隆と互いに剣を向かい合わせた状態で対峙、自身を庇い弁護した院白沢に尚隆が背を向けた瞬間に不意を突いて襲い掛かるも、潜伏していた悧角が飛び出し、致命傷を負わされる(その際、「大きいの」である「ろくた」がその場に介入しようとするも更夜が呼び止め、不発に終わる)。最期、尚隆に引導を渡され死亡した。 普段は真面目で利発な上に条理を弁え、鷹揚で懐が深く、才能ある者を積極的に取り立てていた。しかしその実は、己の失敗を認めることができない性格であった。また、十二国を創造したという天帝の実在に否定的で「天帝などおらず、いたとしてもそんなもの必要ない」と六太と驪媚の前で言い放っており、天帝の実在のみならず、必要性まで否定している。 彼の死後、院白沢らの人材は延王尚隆のもとに移る。内乱から100年も経たぬうちに功績も忘れ去られ、現在では「遥か昔に延王に反逆した大罪人」としてしか伝わっていない。尚隆曰く「もう1人の自分」。 駁更夜(ばく こうや) 声 - 石田彰、幼少 - 本井えみ 荒民の少年。子供の時に父親が失踪したうえに里の住人達から母子共に罵声を浴びせられる生活を送り、国の荒廃により母親に捨てられ、さまよってたどり着いた里の大人によって崖から黒海に落とされたところを、子供を亡くした妖魔(天犬)に拾われ育てられる。その妖魔と共に、父がいると信じていた「蓬莱」を求めて黒海沿岸を放浪していた幼い頃に、尚隆を王に選んで2年後の六太と出会い、六太によって「更夜」と名付けられる。自分を育ててくれた妖魔(大きいの)に「ろくた」と名づける(ドラマCDでは「大きいの」のままである)。 その後、金剛山の山腹の穴を拠点に「ろくた」と当ても無く各地を放浪していたが、六太と出会って3年後に六太以外で初めて人間扱いしてくれた斡由と出会い、雁国元州夏官射士(貴人の私的な護衛官の長)として取り立てられる。その恩に報いるため斡由を陰で支え、また、斡由の唆しにより謀反者の暗殺を担う。反乱勃発時には六太誘拐の実行犯となった。斡由が尚隆に襲い掛かろうとした時、「ろくた」を呼び止める。 謀反鎮圧後は人界に別れを告げて黄海に入り、現在では犬狼真君と呼ばれている。青みを帯びた黒髪。外見は15〜16歳前後。 亦信(えきしん) 声 - 小形満 梟王の時代には、成笙の束ねる軍の麾兵であり、かなりの手練の兵士だった。更夜を連れて街に出た六太を小臣として護衛した際、六太を脅して連れ去ろうとした更夜を阻もうとして「ろくた」が呼び寄せた妖魔に殺された。 院白沢(いん はくたく) 声 - 有本欽隆 元・元州州宰で、斡由の部下。外見は50歳前後。元州の乱の後は、雁国冢宰に任じられる。ドラマCDでは六太を逃がしたことにより「大きいの」によって処刑された。 驪媚(りび) 声 - 折笠愛 / 勝生真沙子 元州牧伯。元は司刑官の下大夫だった。結婚していたが、官吏になった際に家族とは別れた。元州謀反の際、六太と共に人質として元州に囚われるが、六太を州城から逃すため彼の赤索条を切り、頭を断ち切られる。六太に王と違って天罰を受けない仙が王権を握ることの恐ろしさを最期まで説いていた。 アニメ版では、六太が蓬山にいた時に昇山し、親が子を殺さずとも生きていける国になるよう王を与えてほしいと懇願する。 毛旋(もうせん) 声 - 肥後誠 元は成笙の師帥。元州の乱の頃には小臣として、尚隆の出奔を嫌々ながら手引きしていた。元州の乱の際に一時的に大司馬に抜擢される。 元魁(げんかい) 声 - 柴田秀勝 梟王の治世から元州の乱時の元州候。保身のため梟王に言われるがままに、やむなく罪の無い民も罪人として処罰するなど民を虐げたため、息子の斡由によって州城の地下牢の奥に幽閉される。その後は、わずかな地下水と牢に生えた苔で飢えと渇きをしのいでいた。元魁が幽閉された後、斡由は父の影武者として一人の老人を立てたが、彼もまた影武者を辞めた際に斡由によって舌を切られ地下牢に閉じ込められ放置されていた。斡由の過去や本性を六太に教えた。 梟王(きょうおう) 雁国の先王。長く善政を布いたが、いつしか道を失い、暴君となる。州侯のうち心ある者は誅殺し、王に不満を言うものあれば嬰児に至るまでを殺し尽くした。末期には国土を破壊し尽くした。麒麟が失道の病で倒れた後は、自らの天命は尽きたと傲然と言い放ち多数の人民を徴用して巨大な墓を作らせ、さらに国民を苦しめた。その完成間際、 道を踏み誤ってから三年目にして崩御。それ故に、その暴虐は辺境の地まで及ぶことは無かった。 標仲(ひょうちゅう) 雁国北方の継州の北の州境付近にある山陰の寒村、節下郷西隕の出身。梟王が斃れた年に生まれた。苦学の末に継州の少学に進み、梟王の暴虐によって府第から人がいなくなったために予算確保の為に各府第が人員補充をしていたことによる慮外の果報によって三十半ばで国官の迹人(野木に生ずる新しい草木や鳥獣を集める官)に任命された。包荒の旧友。愛馬の名は娃玄。 包荒の警告を受け、奇病が流行し枯れていく山毛欅林を救うべく奔走するが、尚隆登極を聞いて、その奇病を止める薬草である青条を新王に卵果にしてもらうべく玄英宮に運ぶ途中で限界を迎え、事情を知らぬ人々の善意に希望を託す。 包荒(ほうこう) 節下郷の山師(山野の保全を掌る官)。西隕出身。幼い頃から山野に遊ぶことが好きで、付近の山を縦横無尽に駆け廻り、一本の木を飽かず眺め、鳥や虫を一日中でも見守っていられ、そこの植生や地形を自分の庭のように熟知していた。標仲の旧友で共に少学へと進み、標仲よりも一年早く少学を出て、彼の天職とも言える山師となった。職務上の天敵である猟木師(プラントハンターを生業とする浮民)とも分け隔てなく接する。 山毛欅が石のように変化して枯れる奇病に対して、枯れた木が高値で売れるため喜んでいた民とは違い、山毛欅林が無くなることで起きる災厄を予見し警告していた。奇病を止めるべく興慶の助力の下、標仲と共に奇病を治す薬草を探し青条を発見するが、青条の生態故の繁殖の難しさから奇病を食い止めることができず、王宮に青条を届けに向かう標仲を見送り西隕で青条を守りながら果報を待った。 興慶(きょうけい) 四十代半ばぐらいの猟木師。顔色の悪い痩せた男で、寡黙で無駄口を叩かない。包荒とは顔なじみで、彼によって標仲に紹介された。自ら包荒に語ったことによると、生まれは芳だが、生まれた頃の政変で国が荒れていたためか四つになったばかりの頃に両親によって猟木師の宰領に売り渡された。以来猟木師の一員として諸国を遍歴。最近、宰領の許を離れることを許可されたが、弟子はいない。包荒に手を貸すべく自ら『天の配剤』として仲間と別れて継州に留まり、包荒と標仲に猟木師秘伝の知識や技術を伝えて、青条の発見とその育成に力を貸した。
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