筑後川とは? わかりやすく解説

筑後川

明日拓く川~筑後川
筑後川は、その源を熊本県阿蘇郡瀬の本高原発し高峻な山岳地帯流下して、日田市において、くじゅう連山から流れ下る玖珠川合わせ典型的な山間盆地流下し、その後、再び峡谷を過ぎ、佐田川小石原川巨瀬川宝満川多く支川合わせ肥沃な筑紫平野貫流し、さらに、早津江川分派して、有明海に注ぐ、幹川流路延長143km、流域面積2,863km2九州最大一級河川である。

筑紫平野を貫流する筑後川(久留米市付近から下流を望む)
筑紫平野貫流する筑後川(久留米市付近から下流を望む)

河川概要
水系筑後川水系
河川名筑後川
幹川流路延長143km
流域面積2,863km2
流域内人1,090,777
流域関係都県福岡県佐賀県大分県熊本県

筑後川流域図
○拡大図
1.筑後川の歴史
"筑後川の歴史洪水と治水の歴史です。丹羽頼母水深維持流路固定目的とした水制護岸荒籠」、築堤工事として「霞堤」、成富兵庫大規模連続堤「千堤」等を代表として様々な伝統技術が筑後川に今もなお存在します。"

筑後川の歴史先人の知恵活用

筑後川の歴史洪水と治水の歴史である。一度洪水遭遇すれば甚大な被害発生し、それが幾度も繰り返され筑後川の治水工事動機になっている
その一つ目につくのが、きわめて強固な石積み水刎(みずはね)である。今日もなお所々に見受けられ、この種の構造物としてもかなり高い。これは筑後川が筑前筑後の国境を流れ上流では右岸黒田左岸有馬下流では右岸鍋島左岸有馬および立花各藩対立しており、相手側に向かって水制刎ね返すため互いに争って構築したものと思われる
【荒籠】
荒籠
江戸時代においても舟運は盛んであり、干満利用してかなりの船が貿易行っていた。そこで、舟運水深維持するために両岸から河心におよぶ荒籠(あらこ)随所つくられその一部今なお当時の姿を残している。
筑後川の治水先人者として丹羽頼母(にわたのも)あげられる慶安元年三潴郡中島村荒籠(あらこ)築造したのをはじめとして各地建設した。この荒籠(あらこ)水制護岸目的したもので、流速漫な下流水深維持流路固定のため効を奏した。筑後川の水運重要視され当時として、この流路固定水深維持目指し低水工事主力注がれたことは意義があった。また、頼母築堤工事は現在見るような連続ではなく霞堤呼ばれ幾重にも平行した不連続堤で、堤防末端解放していたため、洪水となればその解放部から氾濫する状況にあった当時霞堤主体とし、必要に応じて局部囲堤(かこみてい)乗越(のりこしてい)設け洪水処理をしていたものである。
成富兵庫(なるどみひょうご)元和元年から12年歳月要し堤敷幅54m、堤防高7.2m、天端幅3.6m延長12kmにおよぶ大規模連続堤を完成させている。俗に(ちりくてい)呼ばれ、現在では、流路沿う堤防強化に伴い完成当時姿を消したが、公園として堤防一部復元されている。
【デレーケ導流提】
デレーケ導流提】
そのほかにオランダ人土木技師ヨハネス・デ・レーケ田中吉政など多く先人達の並々ならぬ辛苦努力結晶であることを忘れてならない生命傾注して郷土発展のため尽力した先人達の業績今もなお、筑後川に受け継がれている。
2.地域の中の筑後川
"筑後川は、大分県福岡県佐賀県熊本県4つの県を流れ九州一の大河です。そのため、人口集中する都市圏から農山村地域まで地域的に多様性持ってます。それを反映して筑後川流域には数多く活動団体存在し活発な活動展開されています。"

筑後川と地域社会つながり

筑後川は、大分県福岡県佐賀県熊本県4つの県を流れ九州一の大河である。そのため人口集中する都市圏から農山村地域まで地域的に多様性持っている
【筑後川流域連携クラブ】
筑後川流域連携クラブ
それを反映して筑後川流域には数多く活動団体存在し活発な活動展開されてきた。しかしながら団体同士相互交流はほとんどなく、県境市町村飛び越えて筑後川について語り合える場として始まった「筑後川フェスティバル」は今年18年目を迎えることとなり、さらに福岡都市圏も含む流域連携をさらに深めよう平成11年久留米市にて誕生したのがNPO法人筑後川流域連携倶楽部である。連携倶楽部では筑後川流域全体を川と主題としたテーマパークととらえ、筑後川流域まるごと楽しもうという「筑後川まるごとテーマパーク構想」を提唱して流域圏にある観光スポット自然環境歴史文化特産物などを体験するリバーツーリズムも行われており、さらには筑後川流域新聞」を発行するなど、流域交流盛んになるように活動続けている。
また、上流域ある日田市には平成4年に「子供たち泳げる川を!」をスローガンとしてNPOひた水環境ネットワークセンター平成14年NPO認証)が設立されており、これまでに、一人でも多く方々に川に近づいてもらい、川で遊び学び楽しさ伝え、川を大切にする気持ちや安全への意識高めることを目的として今年9年目迎える「三隈川リバーフェスタ」を実施している。さらに子供たち対象に川の学校意味するリバースクールを行い子供環境学習の推進地域住民への河川愛護精神育むための活動行っている。このような団体存在によって、上流域のために中下流域の人が参加する下流域のために上中流域の人が駆けつけるといったことが行政の超えてできるようになり、流域住民が筑後川へと目を向けるきっかけをつくるという住民河川との橋渡し役割担っている
さらに筑後川には、筑後川発見玄関口として三隈川交流センター朝霧の館」、
【筑後川発見館くるめウス】
【筑後川発見館くるめウス
筑後川交流館「はなむね」、筑後川発見館「くるめウス」の3つの河川情報館存在している。河川情報発信小学校等の総合学習での利活用関係機関周辺施設との多様な連携図っており、流域活動している市民団体等の活動拠点一つにもなっている。河川情報館市民団体連携した利活用進めていくことは、さらなる河川空間利用促していく事にもつながっている。
3.筑後川の自然環境
"筑後川流域は、豊かな自然環境有しており、筑後川と周囲山々調和して豊かな景観美を造り情緒豊かな河川景観観光資源として活かされています。また、阿蘇くじゅう国立公園耶馬日田英彦山国定公園、筑後川県立自然公園等の自然公園にも指定されています。国内最大干満差有す有明海注ぎ下流部特有の汽水環境形成してます。"


源流から夜明渓谷に至る上流部は、日田美林として知られるヒノキからなる豊かな森林恵まれた山間渓谷経て玖珠川合流し日田盆地貫流する河岸にはツルヨシ群落ネコヤナギ等のヤナギアラカシなどの高木林見られる。礫河床流水域にはオイカワカワムツなどが生息し砂礫河床早瀬にはアユ水際の抽沈水植物生育地にはオヤニラミなどが生息している。また、水のきれいな砂礫地を好むゲンジボタルカジカガエルサワガニなどが生息し渓流にはカワガラスヤマセミなどが生息している。
【ヤマセミ】
ヤマセミ
夜明峡谷から筑後大堰までの中流部は、九州代表する穀倉地帯である筑紫平野緩やかに蛇行しながら流れ、瀬、淵、ワンド河原等の多様な動植物生育生息環境形成し流域最大の都市である久留米市外部貫流する水際にはエビモヤナギモなどの沈水植物低水敷にはツルヨシ群落など、高水敷にはオギ群落などが分布し河岸にはアカメヤナギエノキなどの高木林点在し高水敷には九州北部でも少なセイタカヨシ群落分布する
オヤニラミ
オヤニラミ
河川には、流水域を好むオイカワ緩流域を好むウグイフナ類等が生息し早瀬アユ産卵となっている。また、水際の抽沈水植物生育地にはオヤニラミキイロカワカゲロウなどが生息している。陸域では、カワセミ河原繁殖するコアジサシツバメチドリなどの鳥類オギ高水敷イネ科植物に巣を作るカヤネズミなどの哺乳類生息している。陸域では、カワセミ河原繁殖するコアジサシツバメチドリなどの鳥類オギ高水敷イネ科植物に巣を作るカヤネズミなどの哺乳類生息している。
【エツ】
エツ
筑後大堰より河口までの下流部は、クリーク発達した筑紫平野の中を大きく蛇行しながら有明海へと注ぎ、23kmに及ぶ長い感潮域で、河口中心に干潟形成されている。水際にはヨシ原広がりアイアシ等の塩性植物群落分布しエツアリアケヒメシラウオなどが生息している。干潟にはムツゴロウシオマネキハラグクレチゴガニなどが生息しシギ・チドリ類などの餌場、休息場等としても利用されている。高水敷にはカササギヨシ原営巣するオオヨシキリなどの鳥類生息している。
4.筑後川の主な災害


発生発生原因被災市町村被害状況
昭和28年6月梅雨前線流域全体死者147名、
床上浸水49,201
昭和60年8月台風13号河口部床上浸水487
床下浸水1,517
平成3年9月台風17・19日田・玖珠地域風倒木被害1,500
被害面積19,000ha

(注:この情報2008年2月現在のものです)




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