次郎長の子分衆
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「清水次郎長 (1971年のテレビドラマ)」の記事における「次郎長の子分衆」の解説
※子分衆を演じる俳優のスケジュールの都合等により、子分衆が全員登場する回は物語の序盤を除けば殆ど無く、回が進むにつれ、旅に出ているなどの設定で登場しなくなる子分や途中から新たに加わった子分もいる。なお、その動静が他の子分衆の台詞を通じて説明されることもある。詳細は以下各人の登場話数を参照。 大政(伊藤または山本政五郎) : 大木実(第1~26、28~52話) 鬼瓦一家との一件で思案した次郎長が剣の腕を磨くべく入門した浪人。尾張の出で、武家社会に嫌気が差して、妻や伊藤家を捨てて出奔した過去を持つ。本名「山本」(第20話の本人の台詞より)。三国一の武術の達人で特に槍術の達人。次郎長の鬼瓦一家への殴り込みに助勢したことをきっかけに、次郎長を大前田の英五郎親分に引き合わせ、自身も武士の身分を捨て次郎長の子分に。その貫禄と堂々たる態度で子分衆のまとめ役として一家に睨みを利かせる。次郎長からの信頼も厚く、次郎長から相談を受けるのはもちろん、次郎長が旅に出た時に一家の留守を預かったり、次郎長の名代として他の親分のところに出向いたりもする。また、ども安や勝蔵の企みによる次郎長を追い落とす様々な策を見破る眼力も持つ。小政の登場以降は区別の意味も込めて「大政」と呼ばれ(自身でもそう名乗る)、身内の子分衆からは「政兄ぃ」と呼ばれる。第27話以外の全話に出演した。 森の石松 : あおい輝彦(第1~15、17~21、23~25、28~29、31~32、35、37~40、42~49話) 遠州森の出である自称・次郎長一の子分の渡世人。気のいい粗忽者。一度は鬼瓦一家に草鞋を脱いだが、その無法ぶりに愛想を尽かして次郎長に加担。一家の仲間入りを果たす。隻眼だが眼帯はしていない。出会った頃から鬼吉とよく連んでおり、お互いに張り合う仲であることからか、勇み足が多い。よく偽物を仕立てられる。故郷に母親(演・浦辺粂子)と弟妹が一人ずついる。第47話で讃岐・琴平大権現への代参の旅に赴き、その帰途の船の中で旅姿のお竜とばったり出会う。お竜との再会を懐かしみつつ思いの丈をぶちまけ、ついには夫婦約束をしたが、その後、手持ちの金を騙し取られた末に斬られ、一度は七五郎の家まで辿り着くが、抜け出した先で止めを刺されて絶命した(第48話)。第49話は回想シーンで出演。 桶屋の鬼吉 : 田辺靖雄(第1~29、31、34~40、42~52話) その名の通り桶作りをする男で、渡世人。森の石松共々次郎長一の子分を自認。石松同様に鬼瓦一家の横暴を見かねて次郎長の下に草鞋を脱ぎ、加担し、一家の仲間入りをする。清水港で出会った森の石松とはよく似た性格の持ち主であり喧嘩友達になり、何かあると張り合おうとするが、その分だけ勇み足も多い(大前田の親分を窮地に陥れた第27話など)。第13話でやくざ嫌いの父・吉兵衛(演・殿山泰司)に桶屋稼業を継ぐように説得され、次郎長からも堅気に戻る様に告げられて一度は堅気になる決心をするが、未練があるのを察した吉兵衛の許しを得て一家の元に戻った。団子屋の娘・おなみに気がある様子。第42話と最終話で棺桶を担いで出入りに臨んだ。なお、『次郎長三国志』などの鬼吉と違い、本作の鬼吉は名古屋弁では喋らない。 法印大五郎 : 南利明(第2~6、8、10~13、15、17~26、28~29、31~32、34~36、39~40、42、44~46、48~52話) 尾張の出で名古屋訛りがきつい陽気な生臭坊主。街道筋の団子屋で団子代を施された恩義から次郎長の子分になる。初めて登場した時には長らく風呂に入っていなかったので、相当に臭かったらしく、大前田の家で石松や鬼吉の手で無理矢理風呂に入れられた。元々ども安から盃を受けていたことがあり、それが故にども安の計略を見破ったことも。子分衆の中ではやや年長者。第19話で寺の坊主時代が描かれた。たびたび女絡みの話が描かれる(第19、28、31話など)。演じる南が愛知県名古屋市育ちということからか、本作ではこのキャラクターが名古屋弁を喋る。 増川仙右衛門 : 太田博之(第1~52話) お蝶の弟。次郎長の後を追いかけたお蝶の供をして、そのまま志願して次郎長の子分に。若く血気も盛んだが、最初は武術はからきしで、姉のお蝶からは「長ドスより算盤が似合う」と言われたことも。子分にはなったものの、最初のうちは、その若さ故に(そして、彼をゆくゆくは料亭・増川の跡取りにとの次郎長の考えから)出入りへの参加を禁じられていたが、程なく出入りにも参加するようになり、武術の腕も上げた。自他共に認める「清水一家の勘定奉行」。子分衆の中では唯一全話に出演。 小政 : 松山省二(第3~9、13、15、17~18、20、22~27、29~30、33~36、39~40、42、46話) 渡世人にして居合い抜きの達人。遠州浜松の出。次郎長に惚れ込んで子分に。大政と同じく「政五郎」という名前であり、区別をつける意味も込めて「小政」と呼ばれる。下戸で酒が大の苦手であり、次郎長と固めの盃を交わした際には無理して飲んでしまい、その場で伸びてしまった。酒は駄目だが大の甘党で団子が大好物。馴染みの団子屋「はごろも団子」の娘・おなみとは、互いに惹かれ合っている。勝蔵の子分である小岩とは同じ居合い抜きのライバル。幼少時にはしじみ売りなどをしていたという(第36話)。第46話を最後に説明なく姿を消す。 追分三五郎 : 近藤正臣(第2~6、9~12、15~16、20~24、26~27話) 女好きで優男の渡世人。信州追分の出で、上州への旅の道すがらで出会ったお蝶に一目惚れしてしまうが、次郎長の許婚とわかってあっさりふられる。その後、黒駒勝蔵に唆されてお蝶を騙してしまった一件をきっかけとして次郎長の子分に。女好きだが根っからの女誑しでもなく、メインを張った第16話では旅の途中で惚れられた女・お静(演・土田早苗)を、湯煙りの左平次(演・中谷一郎)との約束により振るために泣く泣く女誑しの芝居を打ったこともある。第27話を最後に何ら説明なく姿を消すが、時折他の子分衆の台詞にて動静が説明されることがある。 大瀬半五郎 : 里見浩太朗(第5~6、10~13、15、20、24~25、27、29、35話) 元は浪人「田島半五郎」を名乗って次郎長一家の前に現れる武士。三河岡崎の出。大政に筋違いの恨み(兄を殺された)を抱くが、誤解とわかる。そして、その一件を解決してもらったことによる恩義を受けたことから、武士の身分を捨て志願して次郎長の子分になった。同じく元武士の大政に次ぐ落ち着きの持ち主であり、第27話では大政の代わりとして次郎長の旅の供の頭を務める。第29話で元許婚からの手紙を受けて岡崎に帰り、病で床に伏せる母親の臨終に立ち会った後、大瀬家や元許嫁と本当の訣別をする。その道中で、ある誤解から板場の喜三郎(演・和崎俊哉)から敵として命を狙われるが、誤解が解けたあと喜三郎の敵討ちの助勢をし、その最後の頼みを聞き届けた。弟が一人いる。第35話を最後に説明なく姿を消す。 お竜 : 范文雀(第1、3~7、15、28、47~49話) 女渡世人。肥後五木の出と第3話で仁義を切った際に述べているが、実は遠州浜松に住まうやくざの女の娘(実の娘ではない。元は孤児)で、またの名を「猫目のお竜」という。壺振り名人。第1話の冒頭で森の石松と絡む旅人でもある。第3話で次郎長の家に押し掛け子分衆を丁半博打でスッテンテンにするが、次郎長から見咎められて仁義を受けてもらえなかった。その後、下働きとして半ば強引に雇ってもらい、二度と博打に手を染めないという条件で次郎長にも認めてもらう。だが、第15話で九竜山一行を迎えたことで苦悩するお蝶を見かねて、窮状を救おうと下働きを辞めて一家を飛び出そうとする。一度は石松に止められたものの、結局下働きを辞めたらしく、第28話に於いて旅先で再び一家の前に姿を見せる。その後、第47話で旅先の石松と再会し、実は次郎長に片思いをしていたことを告白すると共に、石松の思いを受け止め夫婦約束をしたが、その約束は果たされることはなく、久しぶりに次郎長一家の敷居を跨いだ際には、石松絶命の知らせを届けた時だった。その後、一家総出の敵討ちに参加して本懐を遂げたあと、石松の「妻」となる。 大野鶴吉 : 香山武彦(第7~9話) 旅籠「大野屋」の一人息子だが、勘当されて向かいの「美濃屋」の呼び込みをやっている男。美濃屋の二足草鞋の親分の計略を知り、悩みつつも次郎長や元美濃屋の息子と惚れ合う妹のために知らせ、窮地を救ったことで次郎長の子分に。次郎長の凶状旅の一行に加わる。包丁捌きが得意らしい。ゲストに立場が近く、最初の凶状旅以外は出演していない。 興津清之助 : 島田景二郎(第10、13、15~16話) 東海道でも屈指の貸元・興津の清兵衛(演・島田正吾)の息子。酒と女に現を抜かしている放蕩息子だったが、病弱の身である清兵衛の跡目を狙う代貸・定吉に清兵衛の命が奪われる事を知って我に返る。興津の縄張りは清兵衛の望み通り次郎長が預かる事となり、清之助も清兵衛のたっての願いで次郎長の子分となる。初期数回のみの登場。 相撲常 : 舟橋元(第15、23~25、27、29、31~37、39~40、51~52話) 第15話から登場。清水港に興行に来た九竜山(後の二足草鞋の親分・保下田の久六)の相撲部屋の取的でふんどしかつぎ。親方で関取の九竜山の使いとして次郎長の元にやってくる。元々の勧進元だったども安との騒ぎに巻き込まれた際の次郎長の行動力に惚れ込んで、子分に。元相撲取りだけあって力は強い。 水すまし(水スマシ)の源五郎 : 川崎正幸(第16、18~21、23~27、29~31、33~38、42~43、47、49~52話) 第16話から登場する次郎長一家の下働き。どこかとぼけた様な三枚目だが口のうまい男。第16話の初登場時から既に一家の下働きをやっており、子分となったきっかけは描かれていない。最終話で自らも出入りに志願するものの、次郎長からは制され別の役目を言いつかった。 藤太郎 : 川口恒(第9、30~31話) 第9話で一度は子分志願をして断られた男。その時にはやくざ嫌いの許嫁・おしな(演・光川環世)がいたが、やがておしなは亡くなり、そのしばらく後に七五郎に頼んで次郎長のところに改めて子分志願に赴く。初めは第9話同様に断られるが、騒ぎに巻き込まれた際に結果として一家を救ったことから、地元の網元の口添えもあり一家に迎え入れられる。網元の娘(演・梶芽衣子)といい仲になっている。3回のみの登場。ただし、子分としては2回のみの出演。 伊達の五郎 : 渡辺篤史(第31~32、37~38、42~46、48~52話) 第31話から登場。殺し屋・音無の万蔵(演・瑳川哲朗)にくっついてきた三下の渡世人。最初は次郎長を手にかけて名をあげようと狙っており、強引に万蔵の押し掛け子分になる。ある日、次郎長一家の偵察に行ったところ、お蝶に客人と間違えられた挙げ句に逆にもてなされ、一家の気風に触れた(この時、次郎長にも対面している)ことで、虚勢を張りながらも次第に次郎長を殺すことに疑問を覚え始め、その後、溺れた子どもを助ける次郎長を見て改心、その上で次郎長を守ろうと万蔵を殺してしまうが、それが元で志願の末に次郎長の子分に。元々の通り名は「下館の五郎吉」だったが、万蔵の子分になるのに際して、頭の「下」と末尾の「吉」を取って「伊達の五郎」を名乗り、次郎長の子分になってもその名を通した。元々やくざ気性で次郎長一家のやり方に馴染めない部分があり、そのせいでトラブルに巻き込まれたこともあったが、その一件で次郎長一家の流儀にも順応するようになる。第42話では偽物を仕立てられた。 灰神楽の三太郎 : 高橋元太郎(第33~35、39話) 第33話から登場。元は三州伊那谷の村の百姓。村を食い詰め浪人の手から救いに来た次郎長一家を手伝ううちに惚れ込み、半ば強引に押し掛け子分に。村の衆からは「役立たず」と蔑まれながらも義に厚く、底抜けに明るく、相当のおっちょこちょいで、七五郎をはじめども安や、果ては大前田の英五郎にまでも(その人となりを知らなかったとはいえ)物怖じせず口を利くが、何故か憎めない男。子分になった直後に次郎長に囮として伊勢までの旅に出されたこともある(第34話)。第39話で初めて人を斬ったと喜んでいた。故郷の村に母親とおみつという妹がいるが、家族からも「おっちょこちょい」と呆れられている。中盤期に数回のみの出演にとどまった。 由比松五郎 : 長沢純(第21、43話) 第21話で初登場した渡世人。駿州由比の出。ども安を見舞うための甲州竹居村への道中の茶店で出会う。ども安の賭場でのいざこざから交換条件で次郎長を狙おうとするが逆に諭され、探していた幼馴染みの娘を救ってもらうなど多大な恩義を受けた。その時は子分にはならず由比に帰ったが、その後子分になったようで、第43話で凶状旅の一行の中におり、旅籠で急病(食あたり)に罹ってしまう。石松とは反対の目が隻眼だが、石松同様に眼帯はしていない。そのこともあって、鬼吉から「ニセ松」と呼ばれたことがある。子分というよりも、ゲストに立場が近く、僅か2回(そのうち子分としては1度のみ)しか出演していない。
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