オムニ独立軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/17 15:52 UTC 版)
「パワーローダー (パワードール)」の記事における「オムニ独立軍」の解説
オムニ軍のPLDは人間に近いプロポーションを持つことで知られている。これは、武器を手に持って立ったときに、武器が地面と接触しないようにした結果腕が短くなり、パイロットを守るためにコックピットを機体背面に移し、可動範囲の広い照準装置として「頭」を備え付けたためである。このため、敵味方に「巨人兵」という心理イメージを与えることとなった。また、ブロック構造を大幅に取り入れられており、修理や仕様変更を容易としている。 この「パイロットを守るためにコックピットを機体背面に移す」という発想は、実在の兵器であるイスラエルのメルカバ主力戦車と類似している。オムニ独立軍も、イスラエル軍同様に過度の死傷者を出すことが命取りとなると考えたのであろう。 PD-204Y〜PD-207 「X-1」(本編未登場) ATR計画によって誕生した史上初のPLD。プロトタイプのPD-204Yは技術的な問題は多かったものの、その高いテスト結果は軍上層部に可能性を示すには十分なものであった。その13ヵ月後に完成したアップデート版PD-207Yはテストの結果正式採用が決定、X-1と命名された。駆動系には燃料電池を動力とする人工筋肉「PAM(Piezoelectric Artificial Muscle)」が採用されている。装甲は軽量化のため、燃料電池周辺やコックピット以外は薄く、重機関銃の連射を受けると貫通されてしまう程度でしかなかった。武装は両手以外にも背部のパイロンに2つ装備可能。初の実戦配備は2535年の独立戦争勃発直後であり、機甲師団の後方支援部隊であった。その後積極的に改良が進められ、初期型と後期型とでは搭載兵器がかなり異なる。X-1/Bという複座機も存在するが、これは単に「X-1のコックピットブロックを複座型に乗せ変えたもの」という意味しか持たず、シリアルナンバー上はX-1と区別されていないばかりか、ブロックナンバーも単座、複座両方のものが併記されている。頭部の主照準装置の単眼から、地球政府軍兵士からは「サイクロプス」と呼ばれていた。X-1C及びX-1C/Nの部隊配備が軌道に乗って以降、31機のX-1が転換訓練用の練習機PD-207Tに改修された。最終生産数は120機。 PD-301 「X-1C」(本編未登場) X-1の実戦データ、および地球政府軍の兵器のデータを基に造られた、X-1の性能向上タイプ。主な改良点は、リアクティブアーマーによる装甲の強化、アビオニクスの強化、火器管制装置の変更、それらに伴う燃料電池の大容量化とPAM出力強化、そしてユーザインタフェースの改良である。操縦桿をHOTASに改め、密閉式のコックピットを背負う形になっているオムニ軍のPLDにおいて問題であった視界の確保を、ヘッドマウントディスプレイを発展させたゴーグル型モニタ「ANVTG(Actine Night Vision Trace Goggle)」を採用することで解決している。これにより戦闘力は倍増したが、機種転換を困難なものとした。そのため、初期生産は練習用の複座機X-1C/Bが重点的に行われた。また、ブロックナンバー、シリアル共に単座、複座で別々のものを使用するようになった。ANVTGを採用したにもかかわらず、それとは別に従来型のモニタもコックピットに備えられている。これはANVTGの解像度が従来型モニタよりも悪く、高解像度を要する情報を読めないことと、労働法規上ANVTGを6時間以上使用できないことの2点のためである。前者はX-3系の途中で解消されたが、それでも従来型モニタはバックアップやメンテナンス、そして長時間の作戦のために搭載され続けた(これは100年後のX-5系及びX-10系でも同様である)。単座機に緊急時の脱出装置として、射出座席の採用を開始したが、攻撃された場合仰向けになることが多いPLDにとって、逆に危険であるとしてパイロットから不評を買い、勝手にロケットモーターを外されることすらあった。そのほか、対空戦闘力向上のため背中に地対空ミサイルが搭載可能となり、頭がより上を向けるよう首関節も改良された。アビオニクス強化は全天候運用能力の獲得を狙ったもので、コストを抑えるために、フル装備仕様の指揮官機X-1C/Nと簡略版の一般機の連携で行う予定であったが、指揮官にそのような余裕はなく、データリンクシステムの能力不足が加わってこの目論見は破綻し、結局全面的なX-1C/Nへの移行と、X-1C/Bの指揮官機への転用で対応することとなった。また、大型燃料電池とリアクティブアーマーの採用は、アビオニクス強化におけるスペース不足という深刻な問題を生み出した。X-1同様頻繁に仕様変更が行われ、多数のバリエーションを持つ。特にX-1C/Bの指揮官仕様であるブロック22は、野戦修理廠で改造を行うことで造られたため、サブシートに通信機を取り付けただけの物から、複座型X-1C/NであるX-1C/ND相当に大改造を加えられたものまで、ものの見事に仕様がバラバラであった。 PD-303 「X-1C/N」(本編未登場) 新型アビオニクスや機器類を搭載し、夜間攻撃能力を持った改良型。今日PLDの特徴の1つとされる全天候運用能力を備えた、「真のX-1C」と呼ぶべき機体である。当初「X-1/CとX-1C/N」で実現する予定だったこの構想は、本機とその複座機X-1C/NDで実現されることとなった。X-1Cで問題となっていたスペース確保のために積層装甲を使用し、それまでのPLDの弱点であった装甲の薄さを克服しているだけでなく、戦術の幅が広がり、ついにはPLDのみの部隊編成も可能となった。しかしこの時点で、基本設計上、性能向上は限界に近かった。X-1C、X-1C/Nを合計した最終生産数は374機。 X-1系は頻繁に改良が加えられたため、本項で書ききれないほどの無数のバリエーションが存在する。前線では、各モデルの特徴が入り混じり、X-1系であることには間違いないが、どのモデルかはっきりしないものもいくつか出現した。これらはブロック構造による修理の容易さと、パーツ価格の高騰が生み出した、前線でのパーツのやりくりによる産物である。 YD-540 「YX-2」及びPD-S401 「X-2」(本編未登場) 機動性と局地戦闘能力を生かした、PLDのみの特殊部隊創設を狙い、次期主力PLD開発計画(ATR-XL)に基づいて開発された第2世代PLDのプロトタイプ。外見上の特徴として、X-1系より小型化している点と(X-1C/Nの全高が6.82mに対し、6.00m以下まで縮小、また重量も8.2tから6.6t以下まで軽量化された)、心理的効果が考慮された双眼を持つ人顔が挙げられる。空挺降下能力を有し、降下ユニット装備のため、パイロンは両肩に装備された。パイロンに装備される武器において、X-1系との互換性はない。また操作系は「System50」と呼ばれるレイアウトを採用している。X-2として正式採用は承認されたが、一度も実戦配備されることはなく、その活躍はX-3系のテスト機や転換訓練用の練習機としてのものにとどまった。最終生産数は23機で、X-3系の生産ライン立ち上げ試験に貢献した。 PD-505 「X-3A」 航空機からの空挺降下による緊急展開やその後の単独ミッション遂行能力を有する、第2世代のPLD。新型の燃料電池と人工筋肉「BEPAM(Bio Elastic Piezoelectric Artificial Muscle)」を採用し、単なる性能向上だけでなく、PLDのみで編成された特殊部隊という構想を見事に形にしてみせた。このX-3Aの設計は、PLDの1つの完成型として、その後のPLD設計に多大なる影響を与えている。火力とセンサー有効範囲を犠牲にし、装甲とフレーム、BEPAM出力を強化し、機動性を向上させて格闘戦に特化したPDC-506「X-3AC」、火力と装甲を犠牲にし、索敵用センサの強化、データリンクのハブ機能付与により電子戦に特化したPDR-507「X-3AR」といったバリエーションを持ち、それぞれに空挺能力のある機体とない機体とがある。空挺能力の無い機体のうち、一般部隊向けのブロック35には、本来降下ユニットを装着する部分にX-1C互換のパイロンを持っている。空挺、特にカーゴバード射出降下システム関連の操縦訓練はシミュレータ上では困難なため、複座練習機PD-T2「X-3AT」も造られ、人質救出作戦に用いられることもあった(「パワードール」本編の第3ミッション「キッドナップ」)。なお、「パワードール」本編の第1ミッション「遠すぎたダム大作戦」は、本機の開発完了の4ヵ月後にあたる2540年4月である。 PD-6051 「X-32」 X-3Aに装甲の追加、新型燃料電池の搭載、フリクションロス等の改善、アビオニクスの強化、新型冷却システムの搭載、複合螺旋型BEPAMの搭載を行い、性能を強化したもの。機動性はX-3Aの1.38倍となり、稼働時間も延長された。反応速度も飛躍的に向上し、X-3Aで見られた、機動限界付近での、機体がパイロットの操作について行かなくなる現象も解消された。しかし、フレーム自体はX-3Aのままなため、機体へのストレスは大きく、耐久性に問題を抱えている。乱暴な操縦を行うと、作戦中にすら不調を起こす危険性もある、「扱う側の腕を要求する、良い意味でも悪い意味でも、究極のX-3(タカス・ナミ談)」。後述する地球政府軍のPLDTS-3に対抗すべく開発されていたが、複合螺旋型BEPAMの量産体制が整わなかった上、TS-3が登場して間もなく独立戦争が終結したため、量産は行われず、特殊部隊向けのカスタム機としての使用に終わった。X-3A同様、格闘用のPDC-6052「X-32C」、電子戦用のPDR-6053「X-32R」が存在する。 α-9(OVA「プロジェクトα」に登場) 独立戦争末期に、新型の操縦系統「αシステム」の実験のために造られた、ワンオフの大型PLD。この時期に設計されたオムニ製PLDには珍しく、人型ではなく6脚歩行を行う甲虫のような姿をしている。分厚い装甲と速い反応速度、高い機動力、そして強力な格闘腕を持つ。当時最強のPLDであったが、独立戦争後αシステムの研究は放棄され、このことが開発者のデボラ・ヒューズとα-9パイロットを、ジアスに向かわせることとなる。 なお、X-3シリーズまではすべてコックピットはオートバイのようにシートにまたがり、オートバイに酷似したハンドルを操作して操縦する。これは起動中に発生する振動、衝撃を操縦者がバイクのライディングのごとく自身で吸収できるようにするためである。X-4シリーズ以降は改良によりコックピット内の振動衝撃は抑えられているため、車のように座席に座って操縦するように改められている。また、パワーローダーの共通仕様として足で操作するペダルはない。
※この「オムニ独立軍」の解説は、「パワーローダー (パワードール)」の解説の一部です。
「オムニ独立軍」を含む「パワーローダー (パワードール)」の記事については、「パワーローダー (パワードール)」の概要を参照ください。
- オムニ独立軍のページへのリンク