単独ミッション
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「ディスカバリー計画」の記事における「単独ミッション」の解説
マーズ・パスファインダー(ミッション #1): 火星の地表に探査車ソジャーナ(英語版)を展開する火星探査機。1996年に打ち上げられ、1997年7月4日に火星に着陸した。主要ミッションと延長ミッションを完遂した。プリンシパル・インベスティゲーターは、NASAジェット推進研究所 (JPL) 所属のマシュー・ゴロンベック博士。 NEARシューメーカー(ミッション #2): 小惑星433 エロスを調査するミッション。1996年2月17日に打ち上げられ、探査機は2000年にエロスを周回する軌道に乗り、その1年後に小惑星の表面に無事に着地した。主要ミッションと延長ミッションを完了、成功させた。このプロジェクトの研究責任者は、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所のアンドルー・チェン博士。 ルナ・プロスペクター(ミッション #3): 月の鉱物学を特徴付けるための月探査機。1998年に打ち上げられ、約1年半を月の周回軌道上からの調査に費やした。主要ミッションと延長ミッションを完了した後、計画的に月面に衝突させられてミッションを終えた。プリンシパル・インベスティゲーターは、Lunar Research Institute (LRI) のアラン・ビンダー博士。 スターダスト(ミッション #4): 地球上での研究用に、ヴィルト第2彗星 (81P/Wild) の核から星間塵と塵粒子を採取するミッション。1999年に打ち上げられ、2000年から2004年にかけて無事に試料を採取した後、2006年1月15日にサンプルリターン用のカプセルが地球に帰還した。このカプセルは、ワシントンD.C.の国立航空宇宙博物館に展示されている。市民科学者らがStardust@home(英語版)プロジェクトを通して星間塵を見つけようとしている一方で、世界中の科学者が彗星の塵サンプルを研究している。その後、探査機にはテンペル第1彗星を再び訪れてディープ・インパクトの残したクレーターを観測する、Stardust-NExTと呼ばれる新しい任務が与えられた。主要ミッションと延長ミッションを完了したスターダストは、2011年3月24日に残りの燃料を全て噴射して全ミッションを終えた。プリンシパル・インベスティゲーターは、ワシントン大学のドナルド・ブラウンリー(英語版)教授。 ジェネシス(ミッション #5): 地球上での分析用に、太陽風に含まれる荷電粒子を採取するミッション。2001年に打ち上げられ、2002年から2003年にかけて太陽風を採取した。2004年9月、サンプルリターン・カプセルのパラシュートを開くことに失敗し、カプセルはユタ州の砂漠に激突した。しかしながら、太陽風サンプルは回収され、研究に利用することができた。硬着陸したにもかかわらず、ジェネシスは当初の基本的な目的を果たした。プリンシパル・インベスティゲーターは、カリフォルニア工科大学のドナルド・バーネット教授。 CONTOUR(ミッション #6): エンケ彗星とシュワスマン・ワハマン第3彗星を訪れて調査するミッションだったが、計画は失敗した。2002年7月3日に打ち上げられたが、打ち上げから6週間後、探査機を地球の軌道上から彗星を追尾する太陽周回軌道へと推進させるための予定されていた操作を行った後、通信が途絶え、探査機を喪失した。調査委員会は、原因としてあり得るのは、埋め込み固体ロケットモーターの燃焼中のプルーム・ヒーティングのため、探査機に構造破損があったことだと結論付けた。その後の調査で、探査機は少なくとも3つの部分に分解され、その原因が、地球軌道から太陽軌道へと探査機を推進させるためのロケットのモーターの燃焼中の構造破損でありそうなことが明らかになった。 メッセンジャー(ミッション #7): 初めて水星の軌道上で行われた調査ミッション。メッセンジャーの科学目標は、水星全体を撮像した初めての画像を提供すること、及び水星の地殻の組成と構造、水星の地史、水星の薄い大気と活動的な磁気圏の性質、水星の核と極地方の物質の構成に関する詳細な情報を収集することである。2004年8月3日に打ち上げられ、2011年3月18日に水星を周回する軌道に乗った。主要ミッションは2012年3月17日に完了した。2013年3月6日には水星の100%の地図作成を達成し、同17日に最初の1年間にわたる延長ミッションを完了した。探査機の推進剤が尽きるまでの間に、さらに2つの延長ミッションを実施した後、2015年4月30日に軌道を離脱した。 ディープ・インパクト(ミッション #8): テンペル第1彗星の進路へ向けて衝突体(インパクター)を撃ち込んで、彗星の内部構造を調べるミッション。2005年1月に打ち上げられ、2005年7月4日に衝突体が彗星に衝突した。ミッションが成功した後は休止状態に置かれたが、その後EPOXIと名付けられた新しいミッションのために再起動された。プリンシパル・インベスティゲーターは、メリーランド大学のマイケル・アハーン(英語版)教授。 ドーン(ミッション #9): 小惑星帯にある2つの最も巨大な天体―原始惑星ベスタと準惑星ケレスを調査するために、2007年9月27日に打ち上げられた。2011年7月にベスタに到達し、2012年9月までにベスタの調査を完了した。2015年3月にケレスに到達して以降、ケレスの周囲を回っている。ドーンは太陽発電イオン推進器を使用して、一つのミッションで二つの小惑星の周りを回っている。このような離れ業は、それまでには試みられることがなかったものである。プリンシパル・インベスティゲーターは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のクリス・ラッセル博士。 ケプラー(ミッション #10): 太陽系外の恒星の周りを回る地球型惑星の探知に特別な重点を置く、太陽系外惑星系の構造と多様性を探査することを任務とする宇宙望遠鏡。2009年3月7日に打ち上げられ、2010年1月に最初の太陽系外惑星を発見したと発表された。プリンシパル・インベスティゲーターは、NASAエイムズ研究センターのウィリアム・ボルッキ(英語版)氏。 GRAIL(ミッション #11): 2011年9月に打ち上げられ、2機の探査機を用いて高品質な月の重力場地図を作成して提供し、その内部構造を明らかにした。2012年12月17日に月面に衝突して探査を終了した。このミッションの探査機に搭載された観測機器を利用して生徒らが自由に月面探査を行える、MoonKAM (Moon Knowledge Acquired by Middle school students) と呼ばれる中等学校向け教育用サブプログラムが組まれていた。プリンシパル・インベスティゲーターは、マサチューセッツ工科大学のマリア・ズーバー(英語版)教授。 インサイト(ミッション #12): 2016年のディスカバリー・ミッションのための研究公募 (Announcement of Opportunity) が2010年6月7日にNASAより発表された。28の提案が提出され、2011年5月5日にそのうちの3つの提案が更なる調査・検討のために選出された。それらの1年間の予選の設計検討期間を経て、2012年8月に地震調査、測地学および熱移動による内部探査 (Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport; InSight) のミッションが選ばれた。インサイト(当初の名称はGEMS)は、火星の内部の構造と組成を調査することにより、地球型惑星の形成と進化についての理解を深めることを目指している。ディスカバリー・ミッションのための研究公募は、2010年6月7日にNASAより発表され、28の提案の中から選定された3つの最終候補には、詳細なコンセプトの研究を発展させるために、2011年5月にNASAから300万ドルの資金が支給された。2012年8月に、インサイトは開発と打ち上げのために選出されたが、地震計の真空シールに関する問題を抱えていることから、ミッションの2016年の打上げウィンドウまでにペイロードの準備が間に合わず、スケジュールが遅れる可能性がある。
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