銀河中心星域の住民
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 05:20 UTC 版)
「サイバーナイト」の記事における「銀河中心星域の住民」の解説
バーサーカー 本作品の敵役として登場する、自分たち以外の全ての生命を殲滅しようとする戦闘機械群。バーサーカーの名は、ソードフィッシュの乗組員たちが北欧神話のベルセルクから名づけたもので、フレッド・セイバーヘーゲンのバーサーカーについて直接の言及はない。 その正体は、バグによって暴走した機械生命体。各個体に自我はなく、「クイーン」と称される中枢ユニットの自我によって全ての個体が統率されるという、種族全体がひとつの生物のような存在である。本編序盤では「異星人の侵略機械」と誤解されていたが、実際にはケイ素生物から進化した「侵略者そのもの」。一方バーサーカー側も、各個体が自我を持つという人類の性質を理解していない。侵略の過程で接触した生物の特性を分析し、そのデータに基づいた新型の機械を生産することはするが、これもいわば免疫のような反射的行動であって、相手の自我や個性を理解しているのとは異なる。 ファーワールド人 2092年にジャンプ事故で行方不明となった地球人の移民船「ユーロパ」乗員の末裔。事故によって銀河中心星域へ飛ばされた彼らは、そこで居住可能惑星を発見。その星を「ファーワールド」と名づけて住み着いた。しかし人類圏からの供給が受けられなかったために科学技術関連の物資が不足し、2352年現在では地球の20世紀レベルまで文明が後退している。ゲーム中には他にも、ユーロパから別の惑星探検のために着陸し、着陸船が故障してそのまま住み着いた結果、原始時代まで退行してしまった一団(クーゲル星系の惑星ジャンスの人々)が登場する。 小説版では「ユーロパ」に積み込まれていた農作物の種苗がいくつかジャンプ事故の際に失われ、ファーワールド産の植物で代用されているが、コーヒーだけは似たものがなかったため、地球から持ち込まれた映画などに登場するコーヒーの描写にあこがれを抱いている。そのため、ソードフィッシュに協力する見返りとして最も興味を抱いたのが、インスタントコーヒーであった。この取引にブレイドはマンハッタン島をわずかな金でに手に入れた歴史上の出来事と同じことをしたのでないかと罪悪感を抱いた。 パイレーツ ソードフィッシュと同様に、地球圏からジャンプ事故で飛ばされた地球人で、異星人の艦を襲って生計を立てている。PCE版では単なる宇宙海賊としてその素性については深く触れられなかったが、小説版では戦闘中に(主人公一行と同じくジャンプミスで)行方不明となり死亡扱いになっていた傭兵部隊がその正体であり、指揮官は先代のブレイド(主人公のブレイドは、先代ブレイドが行方不明になった後に再生されたクローン)。構成員も全員ブレイドの旧友である。この設定はSFC版にも取り入れられている。 トレーダー族 二足歩行する猫のような姿の異星人(PCE版では頭部から直接足や尻尾が生えていたが、SFC版では人型のデザインになっている)。ワルドリング星系の小惑星ラーブンに建造したドームを拠点とし、第一次産業・第二次産業を持たず、交易に特化した文化を持つ。ゲーム中の彼らの会話は大阪弁で表現されている。 小説版では、彼らの持つ独特の文化がより詳細に描写されている。彼らの社会は大きな組織を持たず、個々人の「交換」の集積としてのみ存在する。その価値観は冷徹なまでに利益追求にこだわっており、「良い交換」のない相手はまったく相手にしない。一方で、強盗や殺人により交易を阻害されても、純粋に損害賠償を求めるだけで、見せしめや復讐としての刑罰が科されることはない。また、彼らの言語では「魚」という言葉が、利益や収穫を意味する比喩として多用される。 クジラ族 ランコッド星系の惑星ジャーゼラに住む、ピンク色をしたクジラそっくりの宇宙人。ジャーゼラは陸が極端に少ないため、地球のクジラのように陸棲を経た哺乳類ではなく、サメのような軟骨魚綱からの収斂進化であろうと作中で推測されている。 「歌」を重視する文化を持つ。小説版では、彼らの言語自体が強弱や速度の変化によって意味が変化する、音楽的な性質を持っていると説明されている。 ガライアン ザンダー星系の惑星ガライスに住む種族。二足歩行するカエルのような姿をしている。かつて銀河中心星域に広い版図を持つ帝国を築いた種族。しかし帝国が滅亡して長い年月が経った結果、平穏と退屈を愛し、辺境の惑星で簡素な生活を営んでいる。戦い全般を野蛮なものとして否定し、バーサーカーとの戦闘にも一切関与しない。近接する星系には、退屈を嫌って異星の開拓に乗り出した分派「シークラン」が存在し、こちらは戦闘こそしないものの、その技術力で作られた武器や道具を提供してくれる。 『マルカツPCエンジン』連載の第24回(第2部第13回)では人口太陽が復活する話が登場しているが、小説版ではストーリーが異なり登場しない。 小説版ではシークランが人工太陽として利用していたマイクロブラックホールのみが描写されている。 ゴーディク人 セルイド星系の惑星ゴーディクに住む、両生類から進化した卵生人類。好戦的な性格で、他の星系へ侵攻可能な規模の宇宙艦隊を保有している。ゲーム中の彼らの発言は土佐弁で表現される。 小説版ではガライアンが登場しないこともあり、彼らが古代帝国の末裔であると語られる。帝国滅亡後の混乱した星を統一したのは、「白い宇宙卵」という宗教だった。これは、来るべきビッグクランチのときに、彼らの子孫が理想社会を完成させて、過去全ての死者をその理想社会に復活させてくれるという信仰である。この信仰ゆえに彼らは、銀河の知的種族はみな「白い宇宙卵」の実現に貢献するか、さもなくばそれを阻害する悪魔的存在であると見なす。また、死者は未来の理想社会に迎えられると考えるので、玉砕や安楽死は慈悲深い行為とされ、極刑は死刑ではなく、延命措置を伴った不断の拷問が科せられる。 山本弘はこの「神の正体は未来人である」という設定を独自に考案したが、後に浅利幸彦が1985年に著書『神の正体』で同様の説を展開(ただしノンフィクションとして)していたことを発見した。 メクハイブ バイトン星系の惑星リックラッセに生息する機械生命体。ケイ素生物から独自の進化を遂げた。本来は有機生命体と生息地域を異にするため争うことはないはずだったが、有機生命体独特の思考を研究するために行ったシミュレーションのバグから、有機生命体の攻撃性を模したバーサーカーを生み出してしまう。メクハイブの呼称は小説版にのみ登場するもので、「Mechanical Hive Lives(機械的蜂の巣型生命体)」の略。これはメクハイブの各個体が自我を持たず、種族全体で一つの知性を構成するという特性をハチになぞらえたものである。 ゲーム版ではバーサーカーの起源を語るだけだが、小説版ではその工業力で対バーサーカー戦に貢献する。彼らの行動原理は、囚人のジレンマにおける「しっぺ返し戦略」に酷似した「四行原則」で表される。これは、初めて出会った相手とは必ず協調し、以後は相手が友好的である限り協調、相手が裏切って攻撃してきた場合は以後攻撃を選ぶというプログラムである。かつて古代帝国がメクハイブと交戦した経験から、ゴーディク人も敵と見なしていたが、ソードフィッシュの仲介によってゴーディク人を新規の接触者として受け入れるようになった。 惑星スラウレ スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』のように、惑星全体を包む有機体の海それ自体が巨大な生命体であるという「生きている星」。ヨーン星系に属する。強力なテレパシーによる呼びかけに反応し、自らの体から着陸地点となる島や、自らの分身たる島の住人を生み出して話の相手をする。 小説版には登場しない。 メンターナ 銀河中心星域の複数の星系に伝わる、銀河全ての生命を生み出した存在。 その正体は、銀河の中心に位置するブラックホールに宿った超知性体。時間を超越した知覚と、量子結合により物質に干渉する能力を持ち、人間から見れば全知全能にも等しい力を持つ。しかし、彼(便宜上こう呼ぶ)の望みは、自分が交流するに足る自分以外の知性の誕生と発展であるため、30数億年前に生命の誕生を促した以外は極力干渉を避けている。 小説版では、生命の多様な発展を阻害するバーサーカーの出現に悩み、様々な事象を少しずつ調整して、ソードフィッシュがこの星域に現れてバーサーカーと戦うように仕向けた事実が明かされる。それに気付いたブレイドは、「地球圏への送還」を報酬とした雇用契約をメンターナに要求した。
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