その素性について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/12 06:43 UTC 版)
茎と根は一般的には連続したものであり、地上部と地下部である以外には同一のもののように考えられがちだが、実際には異なった器官であり、様々な構造や性質で区別される。茎は葉を出し、成長点は裸出し、また上向きに伸びる。根は表面に根毛を持ち、成長点は根の先端に裸出しておらず、その上を根冠が覆う。また、下向きに伸びる。内部構造においては、維管束の配列、つまり中心柱の構造そのものが異なっている。 担根体の場合、下向きに伸び、その中心柱は根と同じである。また表面に葉も毛などもない。これらの特徴は根に共通する。一方で、表面に根毛が無く、成長点の外に根冠がないことは、茎と共通する。それらの特徴をもって担根体を根、あるいは茎と判断する説はどちらもあった。さらに、担根体には葉がないが、植物ホルモンであるインドール酢酸で処理することで容易に葉を誘導することができるので、これは茎であることの有力な証拠ともされる。担根体が茎から出る場合、その形成は外生的である。 担根体の先端部の内部構造からは、根が生じる際に、まず担根体の先端にある担根体頂端細胞が消失し、その後に、内部に根の頂端細胞が2個生じ、これが根として伸び始める。するとそれを覆っていた端根体の組織は崩れ、根の先端が露出する。つまり、端根体の形成と根の発生の間に明らかな不連続性がある。これは、根と端根体とが別の器官であることを強く示唆するものとされる。ただしミズニラ属では担根体から根が出る場合、外生的に形成されるとの説があり、これがクラマゴケの担根体と相同であるかどうかについては今後の研究を待つ必要がある。 そのような観点から、これを独自の器官と考える説もある。それによると、植物は普通は根・茎・葉の三つの器官があると考えるのだが、小葉類のこの系統ではそれに加えて担根体という第4の器官があるのだと考えるものである。 リンボクの胚化石などと比較することで、胚から生じた軸の先端が二叉分枝し、その一方が地上茎、もう一方が担根体となると考えられる。この点、一般の種子植物が最初の軸の両端に茎と根を生じるのとは大きく異なる。
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