その盛衰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 02:43 UTC 版)
「セイヨウウスユキソウ」の記事における「その盛衰」の解説
本種は、13世紀頃にはアルプス地方では家畜小屋の燻蒸用原料や薬草として多量に使用されており、ごく普通に産していたことが分かる。薬草としても重要で、このころは本種の名としてもバウホヴェーブレーム(腹痛草)、ルールクロイテル(赤痢草)、ブルートゥンゲンクラウト(肺血草)など、多く病気の名を付けて呼ばれた。高山での牧畜が発展するとエーデルワイスの採取量は急増し、のち次第に減少した。更に18世紀頃からチロル地方で長い名を嫌い、同じく薬草であったヨモギの1種であるエーデルラウテを真似てエーデルワイスと呼ぶことになった。 19世紀のロマン主義の台頭によって神秘的なものへのあこがれとしてエーデルワイスは愛や操、堅信など『不死・不滅のシンボル』として祝典や恋愛などに用いられるようになり、本種は更に採取され、減少することになった。ついに本種はよほど険しい場所でしか見られなくなり、採集者が転落死するケースが続発した。その為本種は『アルプスの植物ローレライ』とまで呼ばれ、これが絵画や彫刻のモチーフになった。 本種の減少は政治上の話題ともなったが、具体的な保護策は随分遅れ、スイスで採集禁止になったのは1909年である。だがそれでも観光客や地元の観光業者や花屋などは採集を行い続け、現在でも本種の野生株を見ることはきわめて難しい。
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