その破綻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/27 05:33 UTC 版)
発生の詳細が明らかになれば、この説は支持できないことが当たり前だが、実際にはそれ以前から次第に疑問がもたれるようになっていた。精虫論の台頭は卵子論の進展がないためでもあったようだ。 それに対して、精虫論は、単為生殖を説明できなかった。アブラムシの単為生殖はレーウェンフックが観察したことでもあるが、ボネ(1720-93)は雌だけで飼育してこれを実験的に確認した。これによって精虫論は致命的な打撃を受けた。しかしそれでこの論者がいなくなった訳ではなく、18世紀後半まで散発し、たとえばチャールズ・ダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンもその一人である。また、哺乳類については1827年に卵が発見されるまで精虫論が否定しがたかった。 また、前成説全般にわたっての難点として、遺伝現象の問題がある。つまり卵か精子のどちらかに元の形が含まれているのであれば、子の形はそのどちらかによって決定されてしまうことになる。実際の遺伝現象では、両親の影響が見て取れる例も多いから、これは大きな矛盾である。 さらに、これに関連して奇形の原因に関する論議があった。18世紀にこれが問題となり、エティエンヌ・ジョフロワ・サンティレール等はその原因が後天的なものとの見方から発生段階で様々な刺激を与えて奇形の発生を見る実験を行っている。これはある意味で実験発生学に先行する面がある。
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