無痛分娩(むつうぶんべん)
無痛分娩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/01 04:10 UTC 版)
無痛分娩(むつうぶんべん、英: epidural birth)とは、麻酔を用いて痛みを緩和しながら分娩(経膣分娩)を行うことである[1]。麻酔法は一般的に硬膜外麻酔である[2]。母体の背骨の隙間から脊髄の近くに細くて柔らかいチューブを入れ、下半身だけ麻酔を行う[2][3][4][5][6]。分娩前後の痛みを緩和する手段は、硬膜外麻酔以外にも数多くある。これらは硬膜外麻酔の代替として行われるだけではなく、硬膜外麻酔と併用されることも多い。本稿では、これらの鎮痛手段についても概説する。
- 1 無痛分娩とは
- 2 無痛分娩の概要
無痛分娩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 22:26 UTC 版)
無痛分娩 とは分娩の痛みを緩和する医薬的手段である。心理的無痛分娩法としてはラマーズ法(Lamaze Technique)、ソフロロジー式分娩法、ヒプノバーシング(en:HypnoBirthing)が知られ、麻酔分娩としては分娩第2期の硬膜外麻酔法、仙骨硬膜外麻酔法、陰部神経ブロック、傍子宮頚管ブロックが知られている。麻酔分娩は微弱陣痛を起こしやすいことが知られている。適切な設備と医師のもとで行えば、自然分娩と比較して特段に危険というわけではなく、欧米ではこちらが主流であり、日本とは逆に自然分娩は希望した場合に行われる。しかしながら日本では麻酔科医が不足しており、その麻酔科医も生命に危険のある手術に優先的に配置されており、無痛分娩を希望してもかなわない場合がある。イギリスやドイツ、シンガポールでは、帝王切開も含めた分娩全体の2~6割程度が無痛分娩である。 無痛分娩で使う麻酔は「硬膜外麻酔」と呼ばれ、腰の後ろから管を入れ、脊髄を取り巻く硬膜と呼ばれる部分の外側に麻酔薬を注入する。脊髄には痛みを伝える神経が集まっており、その信号が脳に伝わるのを麻酔薬で遮断する。ただ硬膜外麻酔は、効果が出始めるまでに10~20分かかる。より早く痛みを取るために、より脊髄に近い場所に麻酔薬を入れる「脊椎麻酔」を併用することもある。この方法だと、数分で効き目が表れる。どのタイミングで麻酔薬を使い始めるかは病院により異なる。順天堂大の角倉教授は「痛みの感じ方は人それぞれ。本人が希望した時点で、我慢できる程度に投与する」と話す。出産の途中で痛みが強くなってきたら、麻酔薬を適宜追加する。無痛分娩は痛みが少ないだけでなく、出産がスムーズに進む面もある。愛育病院(神奈川県大和市)の井沢秀明理事長は「40歳以上の妊婦は、無痛分娩の方が(帝王切開でなく)経膣分娩できる可能性が高くなる」と指摘する。痛みがないと緊張が少ないため産道が柔らかく、赤ちゃんが下りて来やすいとされる。また、もし緊急に帝王切開に踏み切るような事態に至った場合、麻酔を注入するルートがあらかじめ確保されている無痛分娩なら迅速に対応できるという利点もある。一方で、麻酔によって母親の足の感覚が鈍くなり、いきみにくくなることがある。管を入れる腰部のかゆみや発熱なども報告されている。出産時間は1時間ほど長くなる。ただ麻酔をかけても、すべての感覚が失われるわけではないので、赤ちゃんが誕生した瞬間を感じることはできる。無痛分娩を考えている人にとって、大きな壁となるのは費用である。出産の費用は病院によって40万円から100万円以上と幅があるが、無痛分娩の場合、さらに10万~20万円の追加料金がかかる。側湾症や椎間板ヘルニアで手術をした経験のある人、血液が固まりにくい人、抗血栓療法を受けている人などは硬膜外麻酔が使えないこともある。日本で無痛分娩が浸透しないことについて、前述の井沢秀明理事長は「『おなかを痛めてこそ母親』との精神論が根強いこともあるのでは」と話している。家族に反対されたり罪悪感を感じてやめる人が少なくないという。
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