調査会の民営化に関する議論とは? わかりやすく解説

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調査会の民営化に関する議論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:40 UTC 版)

日本産業標準調査会」の記事における「調査会の民営化に関する議論」の解説

上記省庁再編以降日本標準化行政における調査会位置づけ役割存廃民営化可否などについて議論がしばしば行われるようになった調査会民営化推進論と国営維持論の主な内容は、次の表のとおりである。民営化推進論者にはメーカー等の出身者が、国営維持論者には経済産業省(旧通商産業省出身者を含む)の関係者が多い傾向にある。 表:調査会組織に関する議論概要 会議名・資料民営化推進国営維持21世紀向けた標準化課題検討特別委員会(2000年) 野村堯雄三菱化学株式会社技術部長(当時) 「先進国の中で大臣規格制定しているのは日本だけであると聞いている。工業標準化法制定当初は国がイニシアティブを取ることによりかなりの成果をあげたのであろうが、現在はそのような時代ではない。今後は、国が引っ張るより民間活力引き出仕組み作るべきであろう」「時代変わっているのだから、いつまでも国が引っ張るではなく民間引っ張って行くようにするべきではないか。」 増田通商産業省工業技術院標準部長当時、現:お茶の水女子大学教授) 「『民間にできる』といっても、能力面・品質面・時間面という様々な評価軸があり、その上で受益者である企業負担すべきであるという考え方ができるのではないか。」「そうした場合JISC何が残るかということ問題となるが、まずは国家規格として承認するという役割残っている。」 齋藤一財法人日本規格協会理事当時、元:通商産業省工業技術院総務部研究開発官、独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長) 「『民間中心標準化』という方向性は結構である。一方で民間には500近い標準化団体があるが、資金的人材的・ノウハウ的には皆ご苦労されていると思うので、引き続き政府支援期待したい民間作れということになると、これまで工業技術院蓄積されてきた標準化ノウハウ拡散してしまうのではないか国際的な標準化委員会対応するための国が持っていたノウハウなども、継続的に蓄積していくことが重要であろう。」「規格作成するのみならず社会浸透していくということが重要というのもそのとおり著作権の問題にも関係するが、規格JISのみならずISOASMEASTMなどといった国際規格実際に使われているということ踏まえるとなると、ある場所でそうした規格一括して管理し、常に提供可能な体制を整えることが必要となるのではないか?」 『21世紀向けた標準化課題検討特別委員会報告書案』パブリックコメント(2000年) 吉木日本プラスチック工業連盟規格部ISO/TC61国内審議委員会事務局及びISO/TC61/SC11/プラスチック/製品 国際幹事当時今後標準化システムの完全な民営移管今後日本標準化システムは、主要規格先進国システムである『国家標準機関政府機関でない国』(注:下記主要国政府国家標準機関状況』の米国英国ドイツ、フランス参照)の形態をとるべきであるとの考えいたっている。(注:工業標準化)法第12条による民間自主的な規格が、いまだに担当する大臣の名において制定されているのは、もはや時代かなった方式ではない。」 日本工業標準調査会21世紀向けた標準化課題検討特別委員会事務局我が国場合欧米において存在するような中立性及び財政的自立性をもった標準化団体SDO)が我が国存在しない代わりに民間団体作成した原案対し幅広く民間有識者集めたJISC議決得た上で利害関係者バランスや非差別性有無関し主務大臣最終チェックを行う体制とっています。これにより実質的に相当程度民間意見を採り入れつつ、規格中立性や非差別性を国が最終的に認証するバランスのとれた策定方式といえるというのが当委員会評価であります一方民間団体著作権を残す等、民間による規格作成インセンティブを一層高めるような政策が(注:『21世紀向けた標準化課題検討特別委員会報告書案』)第4章第2節(1)において提言されています。情報処理学会情報規格調査会 NEWSLETTER(1998/2010年) 高橋茂東京工科大学長(当時故人) 「標準化政府の仕事なのか? 国家規格とは?」 「『国家規格』とは 本来 "International Standard" に対応する "National Standard" であって少なくとも欧米先進諸国では "National Standard" は政府制定規格ではない。米国ANSI始め先進国多く標準化団体経費企業メンバー会費規格文書売り上げなどによって賄っており、政府からは助成金さえもらっていない。…政府制定していること自体間違っていて、是正必要だというのが筆者考えである。 」「我が国経済大国になってからも、発展途上国同様に官庁加盟していることは許されないではないか行財政改革規制緩和叫ばれているときに、なぜこれを産業界戻そうとしないのか。それは官僚一度手にした権限を自ら放棄することは絶対にないからである。…一方産業界の方も通産省が嫌がることは言い出したがらないし、近視眼的にはISOIEC国際分担金政府税金から払ってくれるなその方が得だと考えるに相違ない。 」「政府標準化口を出すことを止めてもらい、委託のようなものも徐々に当てにしないようにして、その間本当にボランタリー標準化団体確立すべきであろう。」 山中経済産業省産業技術環境局情報電子標準化推進課長補佐 「現在有効な法令約7,400件の中で、JIS規格引用した法令は約360件(5%)もあります。…さらに法令中には、数は少ないのですが、ISO規格IEC規格直接引用したものも23ありますこのようにデジュール標準は、単なる技術標準としてだけでなく、行政制度とのつながりも深いものとなってます。」「国の機関するかしないか違いは、経済発展過程だけでなく、ルール対す欧米日本考え方違いにも根ざしているように思えます。…標準化世界でも、欧米ルール変えることを考えるのに対し日本ルール内での改善考えるといわれますこのような状況は、『お上』に対す信頼でもあり、ある意味では依存といえるのかもしれません。」「JISC機能としては、国内JIS制定だけではなくISOおよびIECへの登録メンバとしての国際標準化活動含まれます。具体的な標準作成するTC(注:技術専門委員会)やSC(注:技術専門委員会分科会)では、情報規格調査会などの各種団体主体となった活動となりますが、組織運営にかかわる上層委員会では、JISCからの委員活動支えてます。時には、国と国の交渉ごととなる場合ありますので、この部分では,国の機関である方が有益かと思われます。」 その他(2006/2007/2009年) 江藤経済産業省産業技術環境局認証課長当時、現:独立行政法人日本貿易振興機構ジュネーブ事務所長) 「諸外国を見ると、欧米先進諸国では、殆どの国が国家規格作成覚書契約により民間委ねている。政府は、作成され規格利用に関して政策的活用を図る立場だ。…日本標準化体制後進国ということ出来るかもしれない。」 原田節雄財団法人日本規格協会国際標準化支援センター主幹当時、現:一般財団法人日本規格協会技術顧問、元:ソニー株式会社スタンダード&テクノロジーアライアンス戦略グループダイレクター) 「標準化先進国では民営標準化団体および認証機関ビジネスになっている日本中途半端な状態で、行政から民間への移行ができていない。…富裕時代には、規制ビジネス認証ビジネスおよび市場ビジネス知財ビジネス全部民営化され、これら4種類ビジネス融合することになる。行政仕事多く民営化されている欧米では、これらすべてのビジネス民間企業主体行われている。やがて日本も、それにならうことになるだろう。」 田中正ISO会長当時、現:財団法人日本規格協会理事長、元:通商産業省工業技術院標準部長) 「世界の中でJISCというのは、国が事務局やっているかけがえのない組織です。標準分野公共財的な性格持った財を提供する分野でもあって、私はその意味JISCについて、国がタッチしていることによるいろいろなやり方世界的に評価してもらえるし、世界貢献できる思ってます。」 以上の議論においては、①国家標準機関としての国の役割JISC設立され第2次大戦直後比べて変化があったのか、ある場合民営化すべきなのか、②民間団体国家標準機関である欧米先進国同様にすべきであるのか(下記の表参照)、③国際標準化活動においては政府機関が中心的な役割を担うべきなのか、④JIS公共財的な性格民間団体利益の関係が、主な論点になっているこのうち④については、民間団体JIS原案著作権を残すことを以って対処する旨の見解調査会事務局示しているが、JISのように主務大臣制定し、その普及徹底目的とする規格については著作権法第13条第2号適用されることから、JIS本文著作権法保護されない著作物であるとの指摘がある。これに対して調査会事務局側は、規格本文官報掲載されていないこと、また必ずしも官公庁自らが作成したものではないことを理由として、否定的な見解示しているが、官報への本文掲載官公庁自らの作成著作権法第13条第2号適用要件となっていないことから、その妥当性疑問があるとの批判がある。 調査会は現在、『21世紀向けた標準化課題検討特別委員会報告書』(平成12年5月29日)の提言基づいて日本工業標準調査会標準部会議決平成14年4月24日適合性評価部会議決)を定め財団法人日本規格協会はこれらに基づく運用により、JIS規格票、JISハンドブック等の販売で1,574,901,508円の収入平成21年度)を得た。しかしJIS本文著作権法により保護されなければこのような販売標準化活動資金源などについて見直必要がある。さらに、平成13年中央省庁再編の際に問題となった調査会民営化について再度検討する可能性がある状況となっている。 詳細は「日本産業規格」を参照

※この「調査会の民営化に関する議論」の解説は、「日本産業標準調査会」の解説の一部です。
「調査会の民営化に関する議論」を含む「日本産業標準調査会」の記事については、「日本産業標準調査会」の概要を参照ください。

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