架空の武器とは? わかりやすく解説

架空の武器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 09:09 UTC 版)

架空の武器(かくうのぶき)は、主に神話伝説文学作品、あるいは小説漫画演劇映画テレビドラマアニメコンピュータゲームなどのフィクションに登場する武器のことを指す。登場はフィクションが先だが、現実に実用化されて実際の戦争に使用されたものは含まない。

架空の武器一覧として、神話・伝説や近代以前の創作に登場するものを列挙する。現代の創作に関しては、列挙すると膨大になるため、複数の創作に共通して用いられている概念や、詳細な設定があり物語の中で大きな役割を担っているものなどに限定して記載する。

(注)実在している武器、過去に実在した武器、架空の防具・服等については、神話・伝説の物一覧で扱う。

剣・刀・東洋剣

ギリシア神話

アーサー王物語

全般

ウェールズ語圏の伝承

フランス語圏・英語圏などの伝承

妖精の女王

シャルルマーニュ伝説

ローランの歌

その他

北欧神話・ゲルマン語圏の伝承

エッダ・古代のサガ

デンマーク人の事績

  • ミミングの剣 - 森に住む神(サチュルン)であるミミングが持つ剣。その後、この神剣の所有者は英雄ホテルス。

アイスランド人のサガ

ニーベルンゲンの歌

ディートリッヒ伝説

ベーオウルフ

  • ネァイリング (Nægling) - ベーオウルフが使用した、ドラゴン退治の剣。ただし劇中では打撃を与えられなかった。
  • フルンティング (Hrunting) - ベーオフルフが使用した剣。ウンフェルスより借り受けた。
  • ヨートゥンの剣 - 劇中でグレンデルの母親を打ち倒した剣。ヨートゥンは北欧神話の巨人。

その他

神話物語群

アルスター物語群

フィン物語群

その他

  • マカブイン (Macabuin) - マン島の民間伝承に登場する。伝説的な鍛冶師ローン・マックリブイン英語版によって鍛えられた。

インド神話

中国神話

中国の伝承に登場する武器

  • 泰阿(『越絶書』)-王が風胡子に命じ、の干将と欧冶子に造らせた三振りの剣のうちの一つ。『楚辞』では「太阿」とする。
  • 画影剣(『拾遺記』) - 二代目の帝顓頊の剣。空を飛び、四方に敵が居た場合、指を指した方の敵に飛びかかる。剣を収めていない時には、しばしば竜や虎のごとく吼える。
  • 干将・莫耶(かんしょう・ばくや)(『呉越春秋』等) - 呉王(伝承によっては楚王)が干将(伝承によっては莫耶)に鍛えさせた2振りの剣。
  • 軒轅剣中国語版(けんえんのけん)(明の李承勲著『名剣記』、晋の葛洪著『抱朴子』など) - 中国最古の統治者であり、伝説上の王とされる「五帝」の第一人「黄帝軒轅」が所持していたとされる伝説の剣。この神剣の真名は記載されていないため、黄帝の名前にちなんで「軒轅の剣」と呼ばれている。
  • 三尖両刃刀 - 顕聖二郎真君(『封神演義』では、楊戩とも)の武器
  • 毒匕寒月刃(『史記』) - 伝説的な成り行きで刀鍛冶であり剣豪でもあった男性徐夫人が手に入れた寒気を発する剣状結晶質の隕石を加工したもの、鉄を泥のように切り裂き相応しくないものに災いをもたらす。徐夫人作の匕首始皇帝の暗殺未遂にも使用された。
  • 神銀剣 - 中国彝族神話の英雄支格阿龍の武器

中国の小説類に登場する武器

三国志演義
  • 倚天の剣(いてんのけん)(『三国志演義』) - 曹操が造らせたという宝剣。天をも貫く剣の意。
  • 青釭の剣(せいこうのけん)(『三国志演義』) - 倚天の剣と同じく曹操が造らせた剣。青白い光明をはなつ剣の意。鉄を泥のように両断できたという。曹操の親族でもある家臣の夏侯恩に預けられるが、夏侯恩は長坂の戦いの武将の趙雲に斬られ、剣は奪われてしまう。
  • 古錠刀(『三国志演義』) -孫堅の剣[27]
  • 青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)(『三国志演義』) - 関羽がふるう大刀。別名:冷艶鋸、関刀。
  • 双股剣(『三国志演義』) - 日本では「雌雄一対の剣」と呼ばれる劉備の二本セットの双剣。別名:鴛鴦剣(『紅楼夢』)で金属も切断する劉家の宝剣。また、金庸著『鴛鴦刀』では天下無敵の双刀(鴛刀、鴦刀)の争奪戦が行われる。
水滸伝
  • 玄元混天剣 - 包道乙の剣、術で百歩先の相手に飛ばす。
  • 黄金丸(こがねまる)(『水滸伝 (漫画)』) - 百八星のひとり、「豹子頭」林冲が、軍での上官である高俅のさしがねの者から、三千貫の価値のものを千貫で買い叩いた刀。ただし横山光輝の漫画版で創作された剣名。正子公也・森下翠共作の『絵巻水滸伝』でも使われる。
  • 松文古定剣 - 公孫勝の術具。
  • 吹毛剣(すいもうけん)(『新・水滸伝』) - 百八星のひとり、天暗星の青面獣楊志が所持する楊家伝来の宝剣に、吉川英治が原作の内容を借用してつけた名。
  • 劈風刀(へきふうとう)(『水滸伝』) - 方臘配下の将軍石宝の持つ宝刀。三重の鎧であろうと風を断つがごとく斬り破る鋭さを持つ。
封神演義
  • 誅仙四剣(誅仙剣・戮仙剣・陥仙剣・絶仙剣) - 通天教主が持つ4振り1組の剣。この4振りの剣を使用し誅仙陣が張られる。他に、紫電槌、六魂旛を持つ。
  • 瑤池内白光剣 -『封神演義』の竜吉公主が所有した剣。

明代の小説『西遊記』に登場するもの

  • 七星剣 - 金角と銀角が太上老君から盗んだ5つの宝の内の一つ。

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

坂上田村麻呂伝説

中世・近世における創作に登場するもの

  • 村雨(むらさめ)(『南総里見八犬伝』) - 犬塚信乃が持つ刀。刀身が水を帯びており人を斬った血を洗い流すとされる。
  • 三明の剣(さんみょうのけん) - 坂上田村麻呂と契りを交わした鈴鹿御前が振るった三振りの宝剣。
  • 物干竿(ものほしざお) - 佐々木小次郎が使用していたとされる、刀身3尺3寸余(約1m)の長刀。巌流島の決闘ではその長さゆえ鞘を持ったまま戦えず、鞘を投げ捨てた小次郎を見て宮本武蔵は「小次郎敗れたり!」と語ったといわれている。

アイヌの神話に登場するもの

  • イペタム - 各地のアイヌの伝承に登場する妖刀の総称。『人喰い刀』を意味し、勝手に飛び回って人を殺すが特別な方法でないと止められないという話が多い。『ピンネモソミとマッネモソミ(細身の男剣と女剣)』や『オポコロペ(妊婦を斬った刀)』などが有名。
  • クトネシリカ - アイヌの口伝叙事詩『ユーカラ』に登場する刀。ポンヤウンペという英雄の刀で、刀身や柄に龍や狐の姿をしたカムイが宿っており、ポイヤウンペに危機が訪れるとカムイが顕現し敵を打ち倒すとされる。金田一京助がアイヌ人達と協力してユーカラを蒐集・編纂した『虎杖丸の曲』では『虎杖丸』(いたどりまる)という銘でも呼ばれる。

その他の伝承

ヨーロッパ

中世英国ロマンス
その他
  • アスカロン - 聖ゲオルギウス竜退治に用いたとされる剣。
  • アッティラの剣英語版 - 羊飼いが、その辺で拾った剣。フン族とその諸侯の王アッティラの剣。マルスの剣・神の剣(ハンガリー語:Isten kardja)とも呼ばれる。フン族はマルスを信仰していないので、これはローマ語に翻訳した際の解釈によるものである。
  • クロケア・モルス(Crocea Mors, 「サフラン色の死神」の意味) - カエサルの剣。
  • ジャンヌ・ダルクの剣 - ジャンヌに語りかけてくる声に従い、サント・カトリーヌ・ド・フィエルボワ英語版にある教会フランス語版にて地面から剣を掘り起こした、という伝承がある[29]
  • ブルンツヴィークの剣 - チェコの伝説の王ブルンツヴィークの剣、手に取って命じるだけで敵の首を落とすことが出来る黄金の魔剣。

ロシア・スラヴ語圏

コーカサス・中央アジア

中東

アフリカ

  • Mmaagha Kamalu - イボ人の神話に伝わる戦争の神 Kamalu の剣。悪意を持った人々が近くにいるときに赤く輝き、地面にぶつけて振動を起こす。
  • ギネイ- 西アフリカ神話の大英雄アナンシの魔法の剣。

アジア

  • 順天 (剣)英語版 - ベトナム後黎朝の初代皇帝黎利が、漁師の網に何度もかかった剣の刃と、木の枝に引っかかった柄を組み合わせた魔法の力を持つ剣。
  • 分景 - 西王母の剣

神話類型

  • 炎の剣 (神話)英語版 - シュメール神話のAsaruludu、聖書に登場する智天使、北欧神話のスルト等が持つ。

槍・鉾・薙刀

  • ハデス(プルートー)の二又槍(Bident)
  • ピッチフォーク - キリスト教の神話によると悪魔が使用する二又槍

エジプト

  • ホルスの槍 - シーンによってshm-hrとsgmhの名がある[31]

ケルト神話

  • アラドヴァル(『神話物語群』) - ルグ神の槍。
  • ゲイアッサル(『神話物語群』) - ルグ神の槍。
  • ゲイジャルグ(『フィン物語群』) - ディルムッド・オディナの赤槍。
  • ゲイボー(『フィン物語群』) - ディルムッド・オディナの黄槍。
  • ゲイボルグ(『アルスター物語群』) - クー・フーリンが持つ槍。
  • ドゥヴシェフ(『アルスター物語群』) - クー・フーリンが持つ槍。
  • ブリューナク(『神話物語群』) - ルグ神が所有したとされる槍。ただしこの名前の出典は不確かで、近代の創作とされることも多い。
  • ルーン(『アルスター物語群』) - ケルトハルが持つ槍。かつてはルグ神の槍だったともされる。
  • 屠殺者 - アイルランド神話「トゥレンの息子たちの最期」に登場するペルシア王ペザールの所持する毒槍。槍先が灼熱しているため、平時は大釜(氷、または氷水)につけて保管されている。ルグがトゥレンの息子たちに要求したものの1つ。その後の所有者はコンホヴァル・マク・ネサ
  • クールグラス - Culghlas。アルスターの戦士コナル・ケルナハの槍

北欧神話

  • グングニル - 死神オーディンが所持している槍(投げ槍)。その後の所有者はヘグニ王の息子ダグ。ダグはオーディンに供物を捧げ、願いを聞き入れたオーディンは彼に自身の槍を貸し与える。
  • ギースリ - (『ギースリのサガ』の主人公の伯父)が、兄アリの仇ビョルンと決闘する際、兄の妻の奴隷から奪った剣。決闘には勝利するが、剣を取り返そうとした奴隷を斬りつけた際、折れてしまう。のちに槍の穂に鍛えなおされ、甥のギースリ(同サガの主人公)のものとなる。

ギリシア神話

インド神話

ペルシア神話

  • 牛頭の矛 -大英雄フェリドゥーンはカーヴェにビルマーヤの頭を模した牛頭の矛を作らせ、自身の武器とした。
  • ガルシャースプの矛- ゾロアスター教神話の大英雄ガルシャースプの鎚矛。悪竜アジ・ダハーカを打ち殺したときに使用した打撃武器。

ホータン神話

アーサー王物語

ローランの歌

  • グランテピエ(grant espiet) - 大司教テュルパンの槍[32]
  • マルテ (槍)(Maltet) - バビロニア王バリガンの槍[33]

スペインの伝説

ローマ神話

  • ロムルスの槍:ローマの王ロムルスの持つ槍。彼の槍はパラティウムという丘の上に突き刺した際、樹木になった。

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

中世・近世における創作に登場するもの

  • 天逆鉾(あめのさかぼこ) - 高千穂の嶺の頂に聳える鉾。天沼矛と同一視されることもある。
  • 岩融(いわとおし)(『義経記』) - 武蔵坊弁慶が持っていたとされる薙刀

アイヌの神話に登場するもの

  • イペオプ - 妖女イムパッコの伝承に登場する人食い槍

中国神話

中国の小説類に登場する武器

三国志演義
その他

イスラム教

  • ムハンマドの5本の槍

北欧神話

棍棒・鎚

メソポタミア神話

  • エリムサルエ - ザババ神の武器。
  • クルドゥブバ - ザババ神の武器。
  • シタ - 女神イナンナの武器。
  • シャルル (武器)英語版(シャルウル、シャルーア) - 全てのものを破壊するものという意味の豊穣と戦闘の神ニヌルタの武器。疫病の悪魔アサグを倒すのに使用された。長距離を飛行し、意思を持ち戦術を提案し、持ち手と通信を取って戦闘を行う。また翼持つライオンラマッス英語版の姿を取ることもある。
  • トゥクル - ニヌルタ神の武器。
  • ミトゥム - 女神イナンナの武器。ニヌルタ神も持っていたとされる。

ウガリット神話

エジプト神話

ケルト神話

  • ダグザの棍棒(『神話物語群』) - 生と死の力を持つ棍棒。

北欧神話

ペルシア神話

  • ワズラ - ミスラ神の武器。
  • 牛頭の矛 -大英雄フェリドゥーンはカーヴェにビルマーヤの頭を模した牛頭の矛を作らせ、自身の武器とした。

インド神話

フィンランド神話

中国神話

  • 雷公の槌と楔 - 中国の雷神が雷を落とすのに使用する[36]

明代の小説『西遊記』に登場するもの

  • 如意金箍棒(にょいきんこぼう) - 如意棒とも。孫悟空が所持している武器。長さや大きさを自在に変えることが出来る。
  • 混鉄棍 - 孫悟空の義兄弟牛魔王の武器[37]
  • 搗薬杵 - 玉兎が月で不老不死薬の材料をすり潰すのに使用する[38]

その他

  • ウェスチェラ(Wetschera または Aijeke Wetschera、Ajeke veċċera)- サーミ人の雷神ホラガルレスの槌、悪霊に裁きを与えるのに使用される。
  • ヘラクレスの棍棒

エジプト神話

北欧神話

  • ガンバンテイン - スキールニルが持っているとされる武器。
  • グリダヴォル - 女巨人グリーズがトール神に貸した杖(グリーズの杖の意)。

ギリシア神話

インド神話

  • カラダンダ - ヤマ神の杖。

日本神話

中国神話

明代の小説『西遊記』に登場するもの

  • 九環錫杖 - 【中国の白話小説】観音菩薩から三蔵法師の手に渡るよう手配された錫杖[39]
  • 降妖宝杖(ごうようほうじょう) - 沙悟浄が所持している武器。

その他

  • アロンの杖(旧約聖書出エジプト記) - モーセがイスラエルの神から授かり、兄のアロンが使用した。敵対者に災いをもたらす杖。モーセが海を割るときに使用された杖とも言われる。
  • 魔法の杖

弓矢

ヘラクレスの棍棒で弓を作るキューピッド。ヘラクレスから棍棒を軍神マルスからは武器を盗みキューピッドが弓矢を作っている大理石像

北欧神話

  • ミストルテイン - オーディンの息子バルドルの命を奪ったヤドリギの矢。フロームンドが持つ剣とも。
  • グシスナウタル (Gusisnautar) - オルヴァル=オッド(矢のオッド)英語版が操る3本の矢。それぞれフラウグ (Flaug)、フィーヴァ (Fífa[40])、フレムサ (Hremsa[41]) という名で呼ばれることもある[42]。自ら弦を離れて飛び、また自ら戻ってくるため探す必要がない、という力を帯びている[43]

インド神話

  • ヴィジャヤ英語版 - インドラ神の武器。その後の所有者はパラシュラーマカルナ
  • ガーンディーヴァ(『マハーバーラタ』) - アルジュナアグニ神から授かった弓。
  • コダンダ(kodanda) - ラーマの弓、一部の地域ではラーマの弓はシャランガ。
  • シャランガ英語版(『ラーマーヤナ』) - ヴィシュヌ神の弓。
  • チャンドラダヌス(『マハーバーラタ』) - アルジュナアグニ神から授かった弓。
  • パシュパタ(『マハーバーラタ』) - アルジュナシヴァ神から授かった弓。
  • ピナカ英語版 - シヴァ神の弓。別名ダヌーシュ
  • ブラマダッタ(ブラフマダッタ) - 【ラーマーヤナ】創世神・鍛冶神ヴィシュヴァカルマンが作った金剛石をちりばめた黄金の弓。ラーマが使用した[44]
    • 無尽の矢筒 - 【ラーマーヤナ】ブラマダッタと共に大聖アガスティヤからラーマに授けられた無限に燃える矢が出せる矢筒。
    • インドラの矢(インドラの雷) - 【ラーマーヤナ】ラーマによって使用された。
  • ハラダヌの弓 - 【インド神話】『ラーマーヤナ』に登場する8台の荷車に乗せて運ぶほど重い弓。この弓を引けた者にシータとの結婚が約束され、ラーマが引く際に破壊された。
  • サルンガ - ラーマが持つ太陽神の弓矢。この矢にだけは翼があり、その先端は太陽の光と炎で出来ている。矢の重量は計りしれないもので二つの山を足したほどの重みがある。

アーサー王物語

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

  • 天之麻迦古弓(あまのまかこゆみ)と天羽々矢(あめのはばや) - 天稚彦高皇産霊神より賜った弓矢。この弓矢は雉の鳴女(なきめ)を射抜き、そのまま高天原まで届いたとされる。
  • 生弓矢(いくゆみや) - 大国主根の国から持ち帰ったスサノオ神の弓矢。この弓矢と生大刀で八十神を倒し、葦原中国を平定した。美具久留御魂神社に奉納されている。
  • 金の弓箭(きんのきゅうせん) - キサガイヒメが誓約をして現れた金の弓箭で、これで岩屋を撃ち抜いたのが現在の加賀の潜戸である。
  • 幸弓、幸矢 - 彦火火出見尊が所有した弓矢

中世・近世における創作に登場するもの

  • 角槻弓 / 角突弓(つののつきゆみ) - 田村語りおよび坂上田村麻呂伝説で藤原俊宗が使用した弓。また『田村の草子』『田村三代記』などでは神通の鏑矢を通して親子の確認がおこなわれる。
  • 雷上動 - 『前太平記』で源頼光の夢に現れた弓の名手養由基の娘からもたらされた弓。他に水破、兵破という矢ももたらされた。この弓は子孫によって鵺退治に用いられた。

中国神話

中国の伝承に登場する武器

  • 烏号 - 中国神話伝承における黄帝の弓。名前の意味は「むせび泣き」。
  • 乾坤弓 - 中国を統治した五帝の最初の帝の黄帝乾坤の弓。『封神演義』中の乾坤弓という名で李靖が所有していたが、哪吒が遊んでいる時に碧雲童子を殺してしまう。
  • 落日弓 - 丹弓。9つの太陽を撃ち落とした后羿の弓。
  • 降伏三界 - チベットの大英雄リン・ケサルの宝弓。
  • 威猛降敵 - ケサルの妃、女性英雄アタラモの弓。

中国の小説類に登場する武器

三国志演義
  • 万石弓 - 『三国志演義』の黄忠が所有した弓。
  • 竜舌弓 - 『三国志演義』で呂布が所有した弓[45]。また、『三国志演義』中の轅門射戟で使用した「虎筋弦の弓」なども知られる。
水滸伝
  • 游子弓 - 『水滸伝』の花栄が所有した弓。

中国の史実に登場する武器

その他

  • アイジェク・ドージ(Aijeke dauge) - サーミ人が崇めた雷神ホラガルレス英語版が悪霊の頭を打ちぬくのに用いた虹の弓。
  • シェキナーの弓 - エノク書に登場する天使ケルビエル英語版の弓。
  • キューピッドの弓 - 矢は2種類あり、黄金の矢は愛を暴走させ、鉛の矢は愛を失わせる。
  • ヘラクレスの弓とヒュドラの矢 - ギリシア神話でヘラクレスが使用した。また死後、トロイア戦争の英雄ピロクテーテースが譲り受け使用した。
  • アポロの弓(Bow of Apollon) - ギリシア神話で太陽神アポロが持つ光をあらわす弓矢。百発百中の命中率。さらに傷の治療まで行う事もできる。
    • アバリスの矢ポーランド語版 - ギリシャ神話で太陽神アポロが司祭ヒュペルボレオスのアバリス英語版に授け、アバリスからピタゴラスに学問のレッスン料として支払われた。持ち主を見えない存在にし、未来予知を可能とし、空の旅に使われ、病気を治した。
  • ムハンマドの6張の弓
  • 宝石の弓 - ビルマの英雄王ピューソーティの神弓、魔獣を討ち倒した雷神インドラの弓。
  • ウッコンカーリ - Ukkon kaari。フィンランドの天空神ウッコの虹弓。
  • ヨウカハイネンの弓 -『カレワラ』序盤に登場する呪歌使いの狩人の弓。猛毒の黒い血を塗りつけ弓と矢に魔法を篭らせた。
  • ハイク・ナハペトの長弓 - アルメニアの始祖王の弓。ハイ族を自分の専制政治下に課すことを試みた巨人の王ベルを超々遠距離射撃から射殺し、王の部隊を混乱に陥れた。巨人殺しの長弓。
  • 天の弓 - The Bow of The God。ダニルウ(ダニエルとも)が工芸神コシャル・ハシスに頼んで、息子アクハトの為に特別に作らせた弓。これを女神アナトが欲するが不死と引き換えることを条件にしたため神の怒りを買い、アナトに操られたヤトパンに殺されてしまった。

投擲・兵器

ケルト神話

ギリシア神話

インド神話

その他武器

アステカ神話・マヤ神話

ヒッタイト神話

  • クルッジ(Kuruzzi) - 巨人ウルリクムミを倒すのに使用された工具(鋸)。元は天地を切り分けるのに使用された。

メソポタミア神話

ギリシア神話

インド神話

日本神話

日本神話(記紀神話)に登場する武器

  • 鉄輪(読み不明)- 洩矢神が諏訪でタケミナカタ神と戦った際に使用した武器。詳細な形状、用途は全く不明で、タケミナカタ神の藤蔓によって破壊された。

中国神話

  • 盤古の斧(『開辟衍繹通俗志伝』) - 創世神 盤古が世界を切り開く際、と共に使用した(後代の創作では、開天斧、盤古斧など多様な名前で呼ばれる)。

中国の小説類に登場する武器

  • 釘耙(ていは) - 『西遊記』の猪八戒が所持している武器。九本の歯を持つ馬鍬(まぐわ)。九歯馬鍬(九歯釘耙)とも、上宝沁金耙(上宝沁金の耙)とも呼ばれ、太上老君の作とされる。
  • 宝貝 (パオペエ)(『封神演義』) - 武器を含めた道具の総称。劇中で仙人道士らが使用する。日本の漫画作品等、作品によっては架空の幻獣として登場させるものもある(主人公太公望の四不象(スープーシン)など)。
  • 金鋼琢(もしくは金鋼套) - 【西遊記】第6回で太上老君が菩薩に自慢した自作の武器。金色の輪の形状をしており、相手の武器を奪い無力化する。孫悟空を捕らえ、多くの神々の武器を奪った。

ポリネシア神話

  • マナイアカラニ - 大英雄マウイの魔法の釣り針、ハワイ諸島を海の底から釣り上げた
  • マレレヌイマルアトア(Marere-nui-marua-to'a)- マオリの神話に登場する半神の英雄タファキの神斧、タヒチの島を安定させる。

その他

  • アビリディアブラダ - 西アフリカ神話の大英雄アナンシの喋る自動鞭。
  • アクケルテ - キルギスの民族叙事詩の主人公マナスの持つ百発百中の白い銃。

近代の創作

近代における創作に登場する武器。

指輪物語』など、J・R・R・トールキンの小説に登場するもの。

  • オルクリスト(『ホビットの冒険』) - 「かみつき丸」とも呼ばれる剣。
  • グラムドリング(『ホビットの冒険』・『指輪物語』) - 「なぐり丸」とも呼ばれる剣。
  • つらぬき丸(『ホビットの冒険』・『指輪物語』) - 無銘のエルフの短剣で、ホビットビルボ・バギンズが名付けた。
  • ナルシル(『指輪物語』) - 一度折れた後に鍛え直され、「アンドゥリル」と呼ばれるようになる剣。
  • アイグロス(『指輪物語』) - エルフの上級王、ギル=ガラドの槍。
  • 塚山出土の剣(『指輪物語』) - 塚山から出土した魔法剣で、そのうちの一振りは魔王を倒した。
  • モルグルの刃 - 小さな傷でも相手を死に至らしめる。アングマールの魔王の短剣。

現代の創作

複数の作品に近い概念(もしくは同名の品)として使用されているもの。

非常に有名、あるいはその作品の中で大きな役割を担っているもの。

出典

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  5. ^ スノッリのエッダ』の『詩語法』に登場する。
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関連項目


架空の武器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 20:57 UTC 版)

光線銃」の記事における「架空の武器」の解説

概説解説したように、H.G.ウェルズ小説登場して以降20世紀前半パルプ・マガジンアメリカンコミックなどに掲載された、サイエンスフィクションなどのフィクション架空物語)の作品はしばし登場してきた武器である。 可視光線レーザー光線などを発し、人に対す殺傷力を持つものとして描かれる作品によってはレーザー用いることから「レーザーガン」とも呼ばれる熱線銃と呼ぶこともある。 『スタートレック』シリーズフェイザーでは、テレビ受像機リモコン連想させるようなものも想定され携帯サイズで光を一定方向発するものとして描かれた。 『スターウォーズ』では、ストームトルーパーブラスターという名の何らかのビーム発射する銃を制式装備している。 『ドラえもん』では、ひみつ道具に「光線じゅう」が存在するが、あまり登場しない。 なお、電子発射するものは光線銃ではなく電子銃」と呼ばれる。ただしフィクションでは、光線銃電子銃プラズマガンその他のビーム兵器の間に明確な区別がされないことも多い。「光線」を発射する銃ではないが、人間携帯できるサイズ荷電粒子砲のことも光線銃と呼ぶこともある。SF系の漫画アニメ作品でも以前未来的な兵器として多数登場した

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