盤古の斧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 03:31 UTC 版)
盤古の斧(ばんこのおの)は、中国神話における創世神・盤古が天地開闢に用いたとされる伝説的な斧。ただし、古代文献に具体的な名称は記録されていない。名称は後世の文芸作品や民間伝承で形成されたものである。
名称の由来
- 現存する最古の記録(三国時代・徐整『三五歴記』)では、盤古が斧を使用したという記述すら存在せず、天地開闢は彼の身体の成長によって成し遂げられたとされる。
- 「開天斧」の呼称は、明代の小説『封神演義』や『西遊記』の二次解釈、清代の『開闢衍繹』(周遊著)で初めて登場し、道教の宇宙論と結びついた[1]。
- 「盤古斧」は現代の通俗的解釈による総称で、学術文献では用いられない。
神話中的描写
- 三国~六朝時代の記録:『三五歴紀』(東漢)『五運歴年記』では道具の使用を明示せず、自然の気の分離として描写。
- 明代以降の展開:『開闢衍繹』第十八回において「斧と鑿を揮い、陰陽を切り分けた」と初めて斧の使用が明文化され、擬人化された開闢神話が完成した[2]。
道教との関係
- 東晋・葛洪『枕中書』では盤古を元始天王と同一視するが、神器の記述はない。
- 唐代以降の道教儀礼書において「天地を分かつ象徴」として斧が登場する例があるが、名称は不特定[3]。
後世への影響
関連項目
脚注
参考文献
- 『三五歴記』 徐整 著(三国時代)
- 『開闢衍繹』 周遊 著(明)
- 『中国神話伝説大辞典』 袁珂 編 1998年
- 『道教神学体系研究』 福井文雅 著 2005年
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