キルッフとオルウェンとは? わかりやすく解説

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キルッフ

(キルッフとオルウェン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/12 01:42 UTC 版)

キルッフ(Culhwch, キルフッフとも)は、ウェールズの伝説『マビノギオン』に収録されている『キルッフとオルウェン(en)』に登場する騎士。伝説ではアルスル(アーサー王に相当)の従兄弟。名前の「キルッフ」(Culhwch )は「豚走り」[1]、「豚の囲い場」(culは狭い場所、hwchはの意味)を意味する。

キルッフとオルウェン

物語は、主人公の父母の結婚から始まる。キルッフ[2]の母親が外を出歩いているときのこと、彼女は豚小屋の前を通りかかったとき、産気づいてしまい、その場で出産してしまう。そのため、この物語の主人公はキルッフ(豚の囲い)と命名されたのである。

キルッフが生まれてまもなく実母は亡くなり、継母にとってかわられるが、継母はキルッフに魔法をかけ、ある一人の見ず知らずの娘に恋させて、その娘を手に入られなければどうしようもなくしてしまう。ところがその娘というのは、巨人の長イスバザデン英語版[3]の娘オルウェンであった。求婚しても相手方に承知させるのは、無理難題で、キルッフは父親に相談し、親戚のアルスル王(アーサー王)の助力を得ることにした。

キルッフは、アルスル王に、櫛で髪を梳り断髪する儀式を執り行ってもらい[4]、王から何か一つの望みをかなえてもらう権利を得た。アルスル王は、「わが剣カレドヴルフ(エクスカリバー)、..(中略)やわが妃グウェンホヴァル以外であれば、 なんなりと所望せよ」という回答をする。キルッフは宮廷で巡りあった執事のカイ(ケイ)、隻腕のベドウィル(ベディヴィア)、アルスルの甥グワルフマイ(ガウェイン)ら6人の助っ人とともにオルウェンを求め旅に出る。

巨人の長イスバザデンはもちろん、娘オルウェンを嫁として手放すことに即諾はせず、キルッフら一行に危害を加えようとするが、ユーモラスなかたちで返り討ちにあって負傷し、やむなく条件付で結婚を承諾する。いわば数々の嫁入り道具の物品を、長々と羅列して要求するのだが、巨人のこれらの要求は、「難業」[5]とも称される。ほとんど実現不可能な無理難題であり、魔法の竪琴やら巨人の剣、はてはどこにいるか判らない人間を探して連れて来い、等々であった。(巨人はただやみくもに反対するのではなく、じつは、娘が婿取りをするときは、自分の命が尽きるとき、という運命にあったのだ。同じ物語モチーフは、ケルト文学ではクー・フーリンのエウェルとの婚姻や、バロールの娘を娶る民話「グラス・ガヴナン」にも見られる)。

キルッフには、アルスル王がその一族郎党や同盟軍も総動員して助太刀し、また、巨人に遺恨ある者たちも協力する。次いで物語では、巨人が列挙した難業を次々に達成してゆく様子が描写される(ただし、その達成がけっきょく明記されない難業もあり、巨人が述べていなかった「難業」が前触れなく行われる場面もある)。

すべての難業を果たしたキルッフたちは、巨人の長イスバザデンの元に舞い戻り、約束通りオルウェンとの結婚をかなえてもらう。巨人は、アルスルの手の者らにかかって殺され、首をさらされて最期をかざる。

和訳

完訳

  • 中野節子 『マビノギオン―中世ウェールズ幻想物語集』 JULA出版局、2000年ISBN 978-4882841937 

抄訳

外部リンク

  1. ^ グリーン 1997, p. 74.
  2. ^ ブルフィンチ (1942)ではキリッチ。
  3. ^ ブルフィンチ (1942)ではイスパダデン・ペンカウル。
  4. ^ これは元服のようなものらしい(グリーン 1997, p. 76)
  5. ^ ウェールズ語: anoeth; 複数形:anoethiau

出典


キルッフとオルウェン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/12 01:42 UTC 版)

キルッフ」の記事における「キルッフとオルウェン」の解説

物語は、主人公の父母の結婚から始まる。キルッフ母親が外を出歩いているときのこと、彼女は豚小屋の前を通りかかったとき、産気づいてしまい、その場出産してしまう。そのため、この物語主人公キルッフ豚の囲い)と命名されのであるキルッフ生まれてまもなく実母亡くなり継母にとってかわられるが、継母キルッフ魔法をかけ、ある一人見ず知らずの娘に恋させて、その娘を手に入られなければどうしようなくしてしまう。ところがその娘というのは、巨人の長イスバザデン(英語版)の娘オルウェンであった求婚して相手方承知させるのは、無理難題で、キルッフ父親相談し親戚のアルスル王(アーサー王)の助力を得ることにした。 キルッフは、アルスル王に、で髪を梳り断髪する儀式執り行ってもらい、王から何か一つ望みかなえてもらう権利得た。アルスル王は、「わが剣カレドヴルフ(エクスカリバー)、..(中略)やわが妃グウェンホヴァル以外であればなんなりと所望せよ」という回答をする。キルッフ宮廷巡りあった執事カイケイ)、隻腕のベドウィル(ベディヴィア)、アルスルの甥グワルフマイ(ガウェイン)ら6人の助っ人とともにオルウェン求め旅に出る。 巨人の長イスバザデンはもちろん、娘オルウェンを嫁として手放すことに即諾はせず、キルッフ一行危害加えようとするが、ユーモラスなかたちで返り討ちにあって負傷しやむなく条件付結婚承諾する。いわば数々嫁入り道具物品を、長々羅列して要求するのだが、巨人のこれらの要求は、「難業」とも称される。ほとんど実現不可能な無理難題であり、魔法竪琴やら巨人の剣、はてはどこにいるか判らない人間探して連れて来い等々であった。(巨人はただやみくもに反対するのではなく、じつは、娘が婿取りをするときは、自分命が尽きるとき、という運命にあったのだ。同じ物語モチーフは、ケルト文学ではクー・フーリンのエウェルとの婚姻や、バロールの娘を娶る民話グラス・ガヴナン」にも見られる)。 キルッフには、アルスル王がその一族郎党同盟軍総動員して助太刀し、また巨人遺恨ある者たちも協力する次いで物語では、巨人列挙した難業次々達成してゆく様子描写される(ただし、その達成けっきょく明記されない難業もあり、巨人述べていなかった「難業」が前触れなく行われる場面もある)。 すべての難業果たしたキルッフたちは、巨人の長イスバザデンの元に舞い戻り約束通りオルウェンとの結婚かなえてもらう。巨人は、アルスルの手の者らにかかって殺され、首をさらされ最期をかざる。

※この「キルッフとオルウェン」の解説は、「キルッフ」の解説の一部です。
「キルッフとオルウェン」を含む「キルッフ」の記事については、「キルッフ」の概要を参照ください。

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