架空の本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/01 23:15 UTC 版)
架空の『トートの書』は、プトレマイオス時代に創作された古代エジプトの物語の一つとして登場する。トートによって書かれたその本には二つの呪文を収録されていることが語られる。その一つは天地、海と山、さらに地獄にまで魔法を用いることができ、もう一つは死して地下に収められても生きていた頃の地上での姿を保ち続けることが可能になるものだという。 物語によれば、本は元々はコプトス (en) の近くのナイル川の底に隠されており、そこでは、蛇によって守られる一連の箱の中に保管されていた。エジプト人の王子ネフェルカプタハ (Neferkaptah) は蛇と戦い、本を取り出した。しかし、彼の盗みに対するトートからの処罰によって、神々が彼の妻と息子を殺害した。ネフェルカプタハは自殺し、本と一緒に埋葬された。幾世代後になって、物語の主人公サトニ・ハームス(サトニ・ハーキムとも。Setne Khamwas)は、ネフェルカプタハの霊が抵抗するにもかかわらず、本をネフェルカプタハの墓から盗んだ。その後、サトニは美しい女性に会ったが、彼女はサトニに対し、彼の子供たちを殺害しファラオの前で自尊心を傷つけることをそそのかした。この出来事がネフェルカプタハによって考案された幻覚であったことにサトニは気付いた。そして、さらなる報復を恐れて、サトニはネフェルカプタハの墓に本を戻した。それからサトニは、ネフェルカプタハから、彼の妻と息子の身体を取り戻し、二人を彼の墓に置くよう言われた。ネフェルカプタハの霊が書記官の家の下でその場所を示した時に、サトニはそのようにした。続いて、墓は閉鎖された。 物語は、エジプト人の信じるところでは神々の知識がそれを所有する人間に対して善意を見せないことを反映している。
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