エノク書とは? わかりやすく解説

エノク書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/05 04:00 UTC 版)

エノク書』(エノクしょ ゲエズ語(古代エチオピア語):መጽሐፈ ሄኖ,ヘブライ語: ספר חנוך א' )または『第一エノク書』は、紀元前1 - 2世紀頃成立と推定されるエチオピア正教会における旧約聖書の1つ。エノクの啓示という形をとる黙示である。多くの文書の集成であり、天界や地獄最後の審判ノア大洪水についての予言などが語られており、天使堕天使悪魔の記述が多い。

『第一エノク書』は元々アラム語か、またはヘブル語で書かれていたらしい。アラム語の断片が死海文書の中に見出される。現在エチオピア語訳が現存しているが、19世紀エジプトにおいて、ギリシア語でかかれた『エノク書』の断片が発掘された。しかし、スラブ語訳・エチオピア語訳共に、原本の通りに訳されたわけではなく、様々な記述が加えられている。

書かれた当初は広く読まれたらしく、教父達の評価も高かった。初期のキリスト教の一部やエチオピア正教では『エノク書』は聖書の一部とされる。 他では偽典とされるが、七大天使などでエノク書にしか現れない天使名が使われており、キリスト教初期には広く知られていた。

ユダの手紙』1章14-15節は『エノク書』60章8節と1章9節を引用している。しかし、『エノク書』1章8-10節は『申命記』33章2-3節のミドラーシュだと認識されている。

関連項目

参考文献

  •  日本聖書学研究所編 「スラヴ語エノク書」『聖書外典偽典3 旧約偽典 I』 教文館、1989年、ISBN 9784764219038
  •  日本聖書学研究所編 「エチオピア語エノク書」『聖書外典偽典4 旧約偽典 II』 教文館、1990年、ISBN 9784764219045  

外部リンク


エノク書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/23 05:00 UTC 版)

アザゼル」の記事における「エノク書」の解説

旧約偽典のひとつであるエチオピア語の『第一エノク書によればアザゼル人間女性と交わる誓い立ててヘルモン山集まった200人の天使たち一人で、その統率者一人であった(第6章)。 200人の天使たち女性と関係をもち、女たち医療呪いなどを教え女性たち巨人産んだ第7章)。 アザゼル人間たちに剣や盾など武具作り方金属の加工眉毛の手入れ染料についての知識授けた第8章)。 神の目から見ればアザゼルのしたことは「地上不法教え天上おこなわれる永遠秘密明かした」ことであった第9章)。 神はラファエルアザゼル縛って荒野の穴に放り込んで石を置くよう命じた第10章)。 エノク縛られ審判を待つアザゼル見て声をかける第13章)。 天使言葉のなかでアザゼル堕天使頭目として言及される。第69章では堕天使たちのリスト10番目にその名が挙げられている(第54・55章)。 『エノク書』に記される伝説では、堕天使としてのアザゼルはもともとは神に命ぜられて地上人間監視する見張りの者たち」(エグレーゴロイ)の一人であったアザゼル見張り天使首長たちは、人間監視する役割であるはずが、人間の娘の美しさ魅惑され、妻に娶るという禁を犯すアザゼルとともに200人ほどの見張り天使たち地上降り人間女性夫婦となった。『第二エノク書』では、この堕天使一団スラブ語グリゴリGrigori見張り)と呼ばれるこうした物語は、“「神の子ら」(ベネ・ハ=エロヒム)が人間の娘と交わった”とする創世記の記述後世黙示文学作者たちが発展させたものと考えられている。

※この「エノク書」の解説は、「アザゼル」の解説の一部です。
「エノク書」を含む「アザゼル」の記事については、「アザゼル」の概要を参照ください。

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