ヘイムダルとは? わかりやすく解説

ヘイムダル 【Heimdallr】

北欧の虹の神。虹の橋守り魔族侵入防いだが、悪神ロキ戦って共に倒れたという。→ ロキ

ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/12 05:46 UTC 版)

ヘイムダル
光の神
角笛ギャラルホルンを吹くヘイムダル
アイスランドの写本『SÁM 66』より
古ノルド語 Heimda
住処 ヒミンビョルグ
テンプレートを表示
ヘイムダルがフレイヤにブリーシンガメンの首飾りを返す場面。ニルス・ブロメールによる。
写本『AM 738 4to』に描かれたヴァルハラ。門にヘイムダルがいる。

ヘイムダルヘイムダッルとも。Heimdall もしくは、 Heimdallr)は北欧神話の光の。「白いアース[1]」とも呼ばれる。

解説

スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第27章の説明では、ヘイムダルは母親たる九人姉妹の息子とされる[1]。この章に一部が引用されている詩『ヘイムダルの謎』(『ヘイムダルガルド[1]』とも)において「9人の母の子、9人姉妹の息子」とうたわれているが、この姉妹は海の波と考えることもできる[2]。さらにヘイムダルを波の間から昇る暁光と解釈する研究者もおり、このことから本来は生成の神の性格を持っていたとも推察される[3]。眠りを必要とせず、夜でも昼と同じく100マイル先を見ることができ、草の伸びるわずかな音でさえも聞き取る鋭いを持っていたことから、アースガルズの見張り番の役目を負う。彼の住居はヒミンビョルグといい、アース神族の国アースガルズと人間の国ミズガルズを繋ぐ虹の橋ビフレストに近い場所にある[1]

角笛ギャラルホルンの持ち主[1]で、この角笛が鳴らされた時がラグナロクの訪れを意味する。すなわち、巨人の軍勢がビフレストを渡ってアースガルズへ攻め上って来るのを見つけると、彼はギャラルホルンを鳴らして神々にそのことを知らせるのである[4]

古エッダ』の『スリュムの歌』第15節では、容姿が神の中で最も美しく、ヴァン神族と同じように未来がわかる神だとされている[5]

主なエピソード

『エッダ』、スカルド詩

彼はしばしば、『古エッダ』の『リーグルの詩』に登場する、人間の3つの階級(奴隷、自由農民、貴族)を作ったリーグRígrRíg)と同一視される[6]。 『巫女の予言』冒頭では、人間のことを「ヘイムダルの子ら」と呼んでいるが、そのケニングの由来となるのが『リーグルの詩』であろうと考えられている[7]

ロキの口論』第48節においては、ヘイムダルはロキから、昔は背中を濡らしながら常に目を覚ましていて見張り番をしなければならなかったと詰られている[8]

ロキとの関係については、ロキが女神フレイヤの所有するブリーシンガメンの首飾りを盗んだときにはこれを奪還すべくロキを追跡して激しい戦いののちに無事に取り戻したという逸話がある。 スカルド詩人のウルヴ・ウッガソンによる『家の頌歌』では、ヘイムダルとロキが、戦いの場であるヴァーガ岩礁とシンガ岩においてアザラシの姿になったことを語っている[9]

このことが因縁になってか世界の終末ラグナロクでは、戒めから解放されたロキと戦い相打ちになる[4]

『ギュルヴィたぶらかし』第27節によると、ヘイムダルはグルトップという素晴らしい馬も持っていたといわれている[10]。同第49節では、ヘイムダルがバルドルの葬儀にグルトップで出かけたと説明されている[11]

『スリュムの歌』によると、巨人の王スリュムによってトールミョルニルが盗まれた際には、トールが花嫁に化けて巨人の国へ行くことを提案している[5]

なお『詩語法』ではヘイムダルを表すケニングとして、「ロキの敵」、「フレイヤの首輪の探し手」などを紹介している[9]

『ユングリング家のサガ』

スノッリ・ストゥルルソンは『ユングリング家のサガ』第5章においても、ヘイムダルがヒミンビョルグに居住したとしている。それはログ湖(現在のスウェーデンメーラレン湖)のほとりの古シグトゥーナ(en)にあり、ヘイムダルは神殿のゴジとして、オーディンからその地を与えられた[12]

脚注

  1. ^ a b c d e 『エッダ 古代北欧歌謡集』247頁。
  2. ^ 『北欧の神話』145頁。
  3. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』15頁
  4. ^ a b 『エッダ 古代北欧歌謡集』276頁。
  5. ^ a b 『エッダ 古代北欧歌謡集』90頁。
  6. ^ 『北欧の神話』146頁、『エッダ 古代北欧歌謡集』201頁。
  7. ^ 『巫女の予言 エッダ詩校訂本』124頁。
  8. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』85頁(「ロキの口論」)。
  9. ^ a b 『「詩語法」訳注』22頁。
  10. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』247頁。
  11. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』272頁。
  12. ^ 『ヘイムスクリングラ - 北欧王朝史 - (一)』41-42頁。

参考文献

関連項目


ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 07:11 UTC 版)

戦乙女と屋根の下」の記事における「ヘイムダル」の解説

虹の橋ビフレスト」を守る光の神神話では男性の神であるが、本作では女性の姿で描かれている。

※この「ヘイムダル」の解説は、「戦乙女と屋根の下」の解説の一部です。
「ヘイムダル」を含む「戦乙女と屋根の下」の記事については、「戦乙女と屋根の下」の概要を参照ください。


ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 08:49 UTC 版)

ヴァルトラウテさんの婚活事情」の記事における「ヘイムダル」の解説

天界アスガルドの端に設置されている、7本の滑走路ビフレスト司る番人』。ワルキュリエやその他の神たちを天界から人間界へ、人間界から天界移動する際の『転送』を管制する

※この「ヘイムダル」の解説は、「ヴァルトラウテさんの婚活事情」の解説の一部です。
「ヘイムダル」を含む「ヴァルトラウテさんの婚活事情」の記事については、「ヴァルトラウテさんの婚活事情」の概要を参照ください。


ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 14:17 UTC 版)

アベンジャーズ・アッセンブル (テレビアニメ)」の記事における「ヘイムダル」の解説

時空アスガルド繋いでいる門の番人実写劇場版同様外見黒人となっている。

※この「ヘイムダル」の解説は、「アベンジャーズ・アッセンブル (テレビアニメ)」の解説の一部です。
「ヘイムダル」を含む「アベンジャーズ・アッセンブル (テレビアニメ)」の記事については、「アベンジャーズ・アッセンブル (テレビアニメ)」の概要を参照ください。


ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 11:16 UTC 版)

神域のカンピオーネス」の記事における「ヘイムダル」の解説

虹の橋ビフレストのそばに住む、賢く100マイル先まで見とおす目と、ヤギの毛伸びる音まで聞き取れ能力を持つ神。『人間』の祖先にあたり、3人の息子それぞれ奴隷農民貴族階級の祖になったとされる虹の橋ビフレストに敵が迫ったときにギャラルホルン角笛吹き鳴らしラグナロクの時を報せるとされ、最期ロキ相討ちになると予言されている。

※この「ヘイムダル」の解説は、「神域のカンピオーネス」の解説の一部です。
「ヘイムダル」を含む「神域のカンピオーネス」の記事については、「神域のカンピオーネス」の概要を参照ください。


ヘイムダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 14:52 UTC 版)

戦×恋」の記事における「ヘイムダル」の解説

世界樹境界防衛機構通称植物でできた巨大な嬰児のような外見をしており、神界人間界狭間陣取り通り抜けようとする者を探知する。かつて邪神派人間界への侵攻試みた際、その戦力半壊させたという。

※この「ヘイムダル」の解説は、「戦×恋」の解説の一部です。
「ヘイムダル」を含む「戦×恋」の記事については、「戦×恋」の概要を参照ください。


ヘイムダル(使用者:No.VIII・バルドリアス=S=ファンギーニ(通称バルドル))

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 03:24 UTC 版)

BLACK CAT」の記事における「ヘイムダル(使用者:No.VIII・バルドリアス=S=ファンギーニ(通称バルドル))」の解説

4つブースター付いたオリハルコン製の鉄球のような武器ブースターにより投げた後の軌道修正ある程度は可能。

※この「ヘイムダル(使用者:No.VIII・バルドリアス=S=ファンギーニ(通称バルドル))」の解説は、「BLACK CAT」の解説の一部です。
「ヘイムダル(使用者:No.VIII・バルドリアス=S=ファンギーニ(通称バルドル))」を含む「BLACK CAT」の記事については、「BLACK CAT」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ヘイムダル」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ヘイムダル」の関連用語

ヘイムダルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ヘイムダルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
中経出版中経出版
Copyright (C) 2024 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのヘイムダル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの戦乙女と屋根の下 (改訂履歴)、ヴァルトラウテさんの婚活事情 (改訂履歴)、アベンジャーズ・アッセンブル (テレビアニメ) (改訂履歴)、神域のカンピオーネス (改訂履歴)、戦×恋 (改訂履歴)、BLACK CAT (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS