責任 責任の概要

責任

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/22 08:51 UTC 版)

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概説

近・現代に用いられている責任(英:responsibility、フランス語:responsabilité)という用語・概念は、元をたどればラテン語のrespondereレスポンデレ(答える、返答・応答する、英語ならばrespond)に由来しており、-ityの形では、何かに対して応答すること、応答できる状態、を意味している。respondereという語自体は古代ローマ時代には、法廷において自分の行為について説明したり弁明したりすることを意味していた。

責任とは、社会的に見て自由があることに伴って発生する概念である。自由な行為・選択があることに伴い、それに応じた責任が発生する。

ある行為・結果に対してある人(例えばAさん)には責任がある、とされているということは、ある行為がAさん本人にとって選択の余地がある(つまり哲学的な用語で言えば自由意志に基づいて行うものである)と判断されていることを意味する。責任と自由は常に同時に存在し、切り離すことは出来ない。自由の無いところに責任は存在せず、責任の無いところに自由は存在しない、とされる。

責任の概念は、他のことを意志できること、少なくとも意志したとおりの行為を為すことができるという意味での自由意志の概念を前提としている。そのため、責任という概念は、伝統的に自由意志の概念とも結び付けられてきた。

責任にまつわる近・現代的な観点からは、心に重きを置く考え方と、ある人の行為に重きを置く考え方とがある。

現代の社会において、ひとりひとりの人間は、何らかの自由を行使し行為を選択する際には、その自由に応じた責任があると認識・自覚する必要がある。ただし、その自由に応じた責任以外まで認める必要はない、ともされるので、どこまでが自由であったか、どこまでが選びえた行為か、どこまでが強制された行為か、ということはしばしば曖昧で、争いの原因となることがある。

また、責任という概念は、何らかの行為を行ったことだけについて適用されるのではなくて、行われるべきだったのに行われなかったことに対しても適用される。

また一般には、責任は原因とは区別される概念である。BがAの原因ということだけからは、BがAの責任を担うべきことが結論されることはない。

自分の仕事や行為についての責任を果たそうとする気持ちを「責任感」と言う[1]。責任感がないことや、責任を自覚しないことを「無責任」と言う[2]。責任を果たそうとしない状態が集団的・組織的に作り出されていることを「無責任体制」などと言う。

自分が負うべき責めを他の者に負わせることや、責任を他になすりつけることを「責任転嫁(せきにんてんか)」と言う[3]。なお、一般に日本語では、他者から期待されている反応・行動をその期待どおりに実行することを「責任を果たす」と言い、反対に期待されている反応・行動を実行しないことで結果として事後的に罰を受けたり、指揮権や地位などを手放すことを「責任をとる」と言う。誰かが「責任をとった」と表現される状態は、基本的に、「本来なら果たすべき責任を果たさなかった」ということを意味している[注釈 1]

歴史

責任は、英語では responsibility、フランス語ではresponsabilitéというが、今道友信(1956)によれば、これに相当するギリシャ語単語はなく、responsibilitasなる古典ラテン語も中世ラテン語もない。英語で言えば、responsibility の文献初出は1780年代である。

そして、マッキーオンによれば、ジョン・スチュアート・ミルの書物にあり、しかしミルの造語でないという。

ミルにおける「責任」は、ほとんどpunishabilityという語によって表現されている。また、ドイツ語のVerantwortung、Verantwortlichkeitは、19世紀に造語されたのであり、その語義はZurechnungにすぎなかった。

responsibilitasやresponsibilityという語形そのものの存在の有無は上記のような状況であるが、語形はともかくとして概念の歴史として説明がなされる場合、通常はかなり古い時代にまで遡る。

アウグスティヌスは、人間が自由であるからこそをなすことが可能なのであり、またその悪に対して責任を持つことも可能となる、とした。

マックス・ヴェーバーは『職業としての政治』において、責任を心情倫理と責任倫理を対比させて論じた。


注釈

  1. ^ 例えば、遠足で生徒の引率者(引率の責任がある者)が生徒たちを適切に引率し、遠足の目的を果たし、かつ無事に生徒らを家に帰宅させれば「責任を果たした」ということになる。反対に、たとえば途中で事故などに巻き込まれそうな事態になったのに、事故を回避するための反応・行動をとらなかった場合は「(引率者は)責任を果たさなかった」と表現される。また、その結果、引率者が解雇されたり、賠償したりする状態などに陥った場合に「責任を取った」と言う。

出典






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