機能不全家族とは? わかりやすく解説

機能不全家族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 00:33 UTC 版)

機能不全の家族は家族の絆に影響を与え、同じ家族空間に葛藤を引き起こす。
機能不全家族の細分化

機能不全家族(きのうふぜんかぞく、: Dysfunctional family)は、家庭内に対立不法行為身体的虐待性的虐待心理的虐待ネグレクト等が恒常的に存在する家族を指す。機能不全家庭(きのうふぜんかてい)とも称され、その状態は家庭崩壊(かていほうかい)、もしくは家族崩壊(かぞくほうかい)といわれている。

概要

機能不全家族は「子育て」「団欒」「地域との関わり」といった、一般的に家庭に存在すべきとされる機能が、健全に機能していない家庭の問題を指す。

この機能不全家族において最も被害者となるのは、自らに生活力が無いため、その家庭から脱出することができない子供である。子供は、周囲に適合しにくかったり、様々な問題を引き起こす場合がある。

主要原因

機能不全家族となる要因としては、家族構成員のアルコール依存虐待(子供への暴言や威圧的態度も含まれる)、共依存などが挙げられる。更に、このような機能不全的な家庭となっている場合は、その家庭を構成する親、または祖父母などが、機能不全家族で育った可能性もある。

アルコール依存症ギャンブル依存症薬物依存症、親の自殺、親の死亡、親の不倫、両親の離婚、親の再婚、親から見捨てられる行為(ネグレクト)、精神的な児童虐待、肉体的な児童虐待、性的な児童虐待(児童性的虐待)、兄弟姉妹間での処遇格差、家庭不和、家庭内の暴力多重債務などがある[1][信頼性要検証]

家庭内の特徴

機能不全家族で育った者は、その家庭内での経験のため、一定の傾向、行動パターンが見受けられる。

スティーブン・ファーマーによると、機能不全家庭は家庭内にいくつかの兆候が見られる[2]

  • 拒絶
  • 矛盾
  • 家族への無共感
  • 家族間の境界線の欠如
  • 親子逆転
  • 社会からの孤立
  • 曖昧なメッセージ
  • 極端な論争・対立

またDan Neuharthは、機能不全の要因として、健全でない親の8つの兆候を示している[3]

  • 条件付きの愛情
  • 非尊重
  • 発言の抑圧
  • 感情の強制
  • 嘲笑
  • 過大なしつけ
  • 内面の否定
  • 社会に対する機能不全、または社会からの孤立

彼はさらに、機能不全家庭を引き起こす8つの親のパターンについても説明している[4]

  • 窒息(子のアイデンティティーの侵害)
  • 利用
  • 虐待
  • 混乱
  • 完全主義
  • カルト信仰
  • 剥奪(子の欲するものを奪う)
  • 精神的な幼稚(虐待を排除しない)

昨今では、「毒になる親」(スーザン・フォワード著)を語源として、こういった親を「毒親」と呼ぶことも多い。

出典

  1. ^ 大越崇 『アダルトチャイルド物語』 星和書店 1996年
  2. ^ Farmer, S.: "Adult Children of Abusive Parents", pgs. 19-34. Ballantine Books, 1989,
  3. ^ Neuharth, D.: "If You Had Controlling Parents: How to Make Peace With Your Past and Take Your Place In the World", pgs. 4-5 Quill Books, 2002
  4. ^ Neuharth, D.: "If You Had Controlling Parents: Making Peace With Your Past and Taking Your Place In the World", pgs. 14-15, Quill Books, 2002

関連項目

対策

機能不全家族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:19 UTC 版)

アダルトチルドレン」の記事における「機能不全家族」の解説

詳細は「機能不全家族」を参照 アダルトチルドレンが育つ家族には、家族の問題認めない否認」、予想できない事態対し心を閉ざし身構える硬直性」、悪い出来事そのとき気持ち家族にも誰にも話さない沈黙」、問題外部知られないための「孤立」というルール見られ、「否認」は正常と異常の判断の困難・自分感情否認を、「硬直性」は感情未熟乏しさを、「沈黙」「孤立」は親密人間関係を築くことの困難を子どもにもたらすとも言われる家族機能の状態は、こどもの抑うつ感、不安感神経症的傾向関連があると指摘されている。アダルトチルドレン研究臨床研究は不十分である。諸井克英2007年に「家族機能認知アダルトチルドレン傾向」で、Woititz が挙げたアダルトチルドレン特徴沿った傾向尺度作成し社会心理学関係の講義受講している女子大生179名にアンケート行って分析し一般青年アダルトチルドレン特徴がどの程度当てはまるかを調べ結果次のように解釈した家族凝集力が高い場合家族の絆が強い場合)は自己への肯定的評価育まれAC傾向抑制される。ただし、家族の絆希薄さ直接不全症候発生させるわけではない柔軟性乏し家族は、状況対す柔軟性も失わせ、変化する状況に対して自分判断確信持てずなりゆき任せになる。家族間でコミュニケーション円滑に行われていないと、一般的な親密対人関係構築難しくなる一方子どもは、学校家族などそれぞれの環境適応しパーソナリティ随時修正しながら成長することが知られており、広範な先行研究から、長期的なパーソナリティ発達において親の影響はほとんど残らない結論づけられている(ただし、発達心理学における特定の問題社会化議論を軸に検討され結論である)。子どもが両親から情緒的な関心向けられないような非常に混乱した家族で育つことが、常に悪い結果になるわけではないというデータ11歳から中年までの反復追跡調査)もあり、子ども時代ネガティブ経験そのままその後人生決定するとは限らないことが分かっている。

※この「機能不全家族」の解説は、「アダルトチルドレン」の解説の一部です。
「機能不全家族」を含む「アダルトチルドレン」の記事については、「アダルトチルドレン」の概要を参照ください。

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