ていとう‐けん〔テイタウ‐〕【抵当権】
抵当権(ていとうけん)
抵当権
(1)抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲
改正前の民法では、抵当権の効力は、原則として抵当不動産の果実に及ばず、例外として抵当不動産の差し押さえ後にのみ及ぶとされていた。しかも、この果実は、天然果実のみをさし、法定果実(例:家賃収入)を含まないと解されてきた。
改正により、抵当権の効力は、抵当権で担保されている債権について債務不履行があったときは、その不履行後に生じた果実(法定果実を含む)に及ぶこととなった。これにより、債務不履行があった場合、抵当不動産の占有を設定者から裁判所が選任した管理人に移し、抵当不動産の収益(例:賃貸料)から抵当権者が弁済を受けることが可能になった(担保不動産収益執行制度)。
(2)抵当権消滅請求
改正前は、抵当不動産の第三取得者が、抵当権者に一定の金銭を提供して、抵当権を消滅させる滌除(てきじょ)という制度があった。改正法は、この制度の名称を「抵当権消滅請求」と改め、内容も簡素化した。
抵当不動産を取得した第三取得者は、その代価または一定の金銭を抵当権者に提供して、抵当権消滅の請求をすることができる。この請求は、抵当権の実行としての差押さえの効力発生前にのみ可能である。
抵当権者が、第三取得者の提供額に不満のあるときは、抵当不動産を競売してその競売金から債権の回収を図ることになる。抵当権者は、第三取得者から抵当権消滅請求を受けた後2ヶ月以内に競売の申し立てをしないときは、第三取得者の提供額を承諾したものとみなされる。抵当権者が第三取得者の提供額を承諾し、かつ第三取得者がその承諾を得た金額を払い渡し、またはこれを供託したときに、抵当権は消滅する。
(3)一括競売
旧法では、更地に抵当権を設定後、その設定者が抵当地に建物を築造したときは、抵当権者は、土地と建物を共に競売することができた。改正法では、更地に抵当権設定後、設定者以外の者が抵当地に建物を築造した場合も、一括競売ができることとなった。
ただし、その建物の所有者が抵当地の占有について抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、一括競売を行うことはできない。すなわち、Aの更地にBの抵当権が設定された後に、Aがこの土地をCに賃貸してCが賃借権の登記を備え、かつCが抵当権者全員の同意を得てCの賃借権が先順位の抵当権に優先する旨の同意の登記を経たときは、もはやBは一括競売することができない。
(4)短期賃借権の保護の廃止
改正前の民法では、短期賃貸借権(山林10年、土地5年、建物3年以下)は、抵当権の登記後に登記したものであっても、抵当権者に対抗でき、抵当権の実行としての競売がなされても、当該期間は賃借し続けることができた。改正法により、この短期賃貸借権の保護制度は廃止された。
短期賃貸借権制度が廃止された代わりに、新しい賃貸借制度が創設された。すなわち、抵当権設定登記に後れる賃借権であっても、その設定についての登記がなされ、かつ、その登記前に登記したすべての抵当権者の同意を得て、その同意についても登記したときは(前掲(3)参照)、賃借権者は、当該抵当権者及び競売における買受人に対抗できるようになった。この同意の登記後に、抵当権者が抵当権を実行して競売がなされた場合、買受人は、賃借権の負担のついた物件を買い受けることになる。
(5)建物使用者の保護
短期賃借権制度の廃止により、抵当権に遅れる賃借権は、その期間の長短に関わらず、同意の登記等がない限り、抵当権者と競売における買受人に対抗することができなくなった。その代わりに、建物の賃借権に限り、一定期間内に限り賃借人が保護されることとなった。すなわち、抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当権の目的たる建物を使用収益するものであって、下記の1.または2.の要件に該当する建物使用者は、建物の競売があっても、買受人の買受のときから6ヶ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてもよいことになった(建物明渡猶予期間)。
1.手続きの開始前から当該建物の使用収益を行っている者
2.制管理または担保不動産収益執行により、当該建物の管理人が競売手続きの開始後に行った賃貸借によってその建物の使用収益を行う者。
建物使用者は、6ヶ月間はその建物を買受人に引き渡さなくてもよい。しかし、その間の建物使用料は、買受人に支払う必要がある。この支払いを怠る建物使用者に対しては、買受人は、買受の時から建物の使用の対価について、相当の期間を定めて1ヶ月以上の支払いを催告することができる。その相当の期間内に支払いがないときは、明渡猶予期間は終了する。
都市計画法
「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴い、都市計画法と建築基準法の一部が改正された。
(1)特定防災街区整備地区
都市計画法上の地域地区(例:美観地区)に、特定防災街区整備地区が追加された。この地区は、防災地域または準防火地域内の一定の区域に定められる。
(2)防災街区整備事業
一定の区域を総合的な計画に基づいて開発する市街地開発事業(例:土地区画整理事業)に、防災街区整備事業が追加された。
(3)開発行為の許可
開発行為とは、建築物の建築または特定工作物(例:コンクリート工場)の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更である。開発行為を行う場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、開発許可を不要とする開発行為もある。(例:土地区画整理事業の施行として行う開発行為)。 この許可不要な開発行為に防災街区整備事業内の施行として行う開発行為が追加された。
改正前の民法では、抵当権の効力は、原則として抵当不動産の果実に及ばず、例外として抵当不動産の差し押さえ後にのみ及ぶとされていた。しかも、この果実は、天然果実のみをさし、法定果実(例:家賃収入)を含まないと解されてきた。
改正により、抵当権の効力は、抵当権で担保されている債権について債務不履行があったときは、その不履行後に生じた果実(法定果実を含む)に及ぶこととなった。これにより、債務不履行があった場合、抵当不動産の占有を設定者から裁判所が選任した管理人に移し、抵当不動産の収益(例:賃貸料)から抵当権者が弁済を受けることが可能になった(担保不動産収益執行制度)。
(2)抵当権消滅請求
改正前は、抵当不動産の第三取得者が、抵当権者に一定の金銭を提供して、抵当権を消滅させる滌除(てきじょ)という制度があった。改正法は、この制度の名称を「抵当権消滅請求」と改め、内容も簡素化した。
抵当不動産を取得した第三取得者は、その代価または一定の金銭を抵当権者に提供して、抵当権消滅の請求をすることができる。この請求は、抵当権の実行としての差押さえの効力発生前にのみ可能である。
抵当権者が、第三取得者の提供額に不満のあるときは、抵当不動産を競売してその競売金から債権の回収を図ることになる。抵当権者は、第三取得者から抵当権消滅請求を受けた後2ヶ月以内に競売の申し立てをしないときは、第三取得者の提供額を承諾したものとみなされる。抵当権者が第三取得者の提供額を承諾し、かつ第三取得者がその承諾を得た金額を払い渡し、またはこれを供託したときに、抵当権は消滅する。
(3)一括競売
旧法では、更地に抵当権を設定後、その設定者が抵当地に建物を築造したときは、抵当権者は、土地と建物を共に競売することができた。改正法では、更地に抵当権設定後、設定者以外の者が抵当地に建物を築造した場合も、一括競売ができることとなった。
ただし、その建物の所有者が抵当地の占有について抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、一括競売を行うことはできない。すなわち、Aの更地にBの抵当権が設定された後に、Aがこの土地をCに賃貸してCが賃借権の登記を備え、かつCが抵当権者全員の同意を得てCの賃借権が先順位の抵当権に優先する旨の同意の登記を経たときは、もはやBは一括競売することができない。
(4)短期賃借権の保護の廃止
改正前の民法では、短期賃貸借権(山林10年、土地5年、建物3年以下)は、抵当権の登記後に登記したものであっても、抵当権者に対抗でき、抵当権の実行としての競売がなされても、当該期間は賃借し続けることができた。改正法により、この短期賃貸借権の保護制度は廃止された。
短期賃貸借権制度が廃止された代わりに、新しい賃貸借制度が創設された。すなわち、抵当権設定登記に後れる賃借権であっても、その設定についての登記がなされ、かつ、その登記前に登記したすべての抵当権者の同意を得て、その同意についても登記したときは(前掲(3)参照)、賃借権者は、当該抵当権者及び競売における買受人に対抗できるようになった。この同意の登記後に、抵当権者が抵当権を実行して競売がなされた場合、買受人は、賃借権の負担のついた物件を買い受けることになる。
(5)建物使用者の保護
短期賃借権制度の廃止により、抵当権に遅れる賃借権は、その期間の長短に関わらず、同意の登記等がない限り、抵当権者と競売における買受人に対抗することができなくなった。その代わりに、建物の賃借権に限り、一定期間内に限り賃借人が保護されることとなった。すなわち、抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当権の目的たる建物を使用収益するものであって、下記の1.または2.の要件に該当する建物使用者は、建物の競売があっても、買受人の買受のときから6ヶ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてもよいことになった(建物明渡猶予期間)。
1.手続きの開始前から当該建物の使用収益を行っている者
2.制管理または担保不動産収益執行により、当該建物の管理人が競売手続きの開始後に行った賃貸借によってその建物の使用収益を行う者。
建物使用者は、6ヶ月間はその建物を買受人に引き渡さなくてもよい。しかし、その間の建物使用料は、買受人に支払う必要がある。この支払いを怠る建物使用者に対しては、買受人は、買受の時から建物の使用の対価について、相当の期間を定めて1ヶ月以上の支払いを催告することができる。その相当の期間内に支払いがないときは、明渡猶予期間は終了する。
都市計画法
「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴い、都市計画法と建築基準法の一部が改正された。
(1)特定防災街区整備地区
都市計画法上の地域地区(例:美観地区)に、特定防災街区整備地区が追加された。この地区は、防災地域または準防火地域内の一定の区域に定められる。
(2)防災街区整備事業
一定の区域を総合的な計画に基づいて開発する市街地開発事業(例:土地区画整理事業)に、防災街区整備事業が追加された。
(3)開発行為の許可
開発行為とは、建築物の建築または特定工作物(例:コンクリート工場)の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更である。開発行為を行う場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、開発許可を不要とする開発行為もある。(例:土地区画整理事業の施行として行う開発行為)。 この許可不要な開発行為に防災街区整備事業内の施行として行う開発行為が追加された。
抵当権
抵当権
「抵当権」の例文・使い方・用例・文例
- 銀行から住宅ローンを借りると、銀行はその住宅に根抵当権を設定する。
- …に抵当権を設定する.
- 抵当権者
- 抵当権
- 地主への賃借人の家賃未払いや、器物は損に対する救済手段であったが、現在は地主は地主の抵当権を与えられる
- 我々には、非常に大きな抵当権が設定されている
- 抵当権を受ける人
- その銀行が新しい家に関してわれわれの抵当財産を受け入れたときにその銀行は抵当権者となった
- 支払うべき金銭の見返りに、抵当権を与える人
- 銀行が我々の抵当を受け入れ、我々の新しい家を買う金を貸したとき、我々は抵当権設定者になった
- 法律によって課された抵当を除いて、すべての抵当と先取り特権より勝る抵当権
- 米国の抵当権で、責任を負うべき税金を連邦政府に支払わない納税者のすべての所有地に対するもの
- 債務者により所有される、個別財産だけではないすべての資産の抵当権
- 税金の滞納に対して収税官が彼自身に利用する可能性のある抵当権(判決留置権に類似している)
- (先取り特権または抵当権としての)資産に対する制限
- 抵当権という権利
- 不動産抵当権を消滅させること
- 抵当権者が,自分の持つ抵当権を債務の担保に当てること
- 根抵当という,不定額の債券の担保として,あらかじめ限度を定めて設定しておく抵当権
- 各種財団を目的とする抵当権
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抵当権と同じ種類の言葉
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