譲渡抵当
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/27 09:35 UTC 版)
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この記事は特に記述がない限り、英米法諸国の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。
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譲渡抵当(じょうとていとう)とは、物的財産(不動産等果実を生じる財産、以下便宜上不動産と表記)に対する担保権である[注釈 1]。譲渡抵当付き債権はモーゲージ(仏: mortgage)と呼ばれ、抵当不動産の占有と果実の帰属に特色がある[注釈 2]。貸付などを原因とする抵当不動産は、借入人である債務者から引き渡され、貸付人である原債権者が占有する[注釈 3]。抵当不動産の果実は、元本支払に充てられることなく占有者の所有・所得となる。以上の特色であるとすれば、不動産質である。
モーゲージの証券市場
モーゲージは、抵当不動産の引渡し[注釈 4]をともなって譲渡できる。証書は譲渡抵当約束手形が用いられる[注釈 5]。モーゲージを売却する際には、サービス・リリース・プレミアムと呼ばれる収入を得る。
欧米史におけるモーゲージは世界恐慌にかけて金融機関保有資産の流動性を奪った。するとアメリカでリスク判断のため統計のとりやすい市場構造が生まれた。独占資本たる銀行と生保が、傘下のモーゲージ・カンパニーへ資金を提供し、モーゲージをブロック単位となるまで買い集めさせたのである。このブロックを独占資本は買い上げ、一部の不良債権を公的機関が引受けた。モーゲージの設定に代理人を立てなければならないことが多い理由は、借入人と貸付人の個別関係を超えた市場構造によるところが大きい[注釈 6]。抵当不動産の引渡しをともなうからというだけではないのである。モーゲージを設定しようとする者が住宅ローン・ブローカーや財務顧問の助けを得て貸付人と好条件の発掘を委ねるのも、市場構造ゆえに推奨される。
第二次世界大戦後のモーゲージには公的保証がより厚く付与されたが、やがて限界を迎えた。そこでモーゲージを担保とする証券化が進められた。サブプライムローンが典型であり、投資信託のポートフォリオに混ざってリスクを隠した。
譲渡抵当の実行
受戻権喪失とノン・リコース・ローン
多くの法域においては、貸付人は、借入人がモーゲージを債務不履行したときなど一定の条件において、譲渡抵当付き不動産に対して受戻権喪失を行うことができる。その後、現地法上の要件に従って、当該不動産は売却される。売却により得られた金額(費用を控除後のもの)は担保されていた負債(元本)に充当される。
法域によっては、特に米国においては、[2] モーゲージはノン・リコースである。すなわち、譲渡抵当付き不動産の売却によって回収した金額が負債の残高に足りない場合、貸付人は受戻権喪失後に借入人に対して遡及(リコース)することができない。その他の法域においては、借入人は、不足金判決に基づいて残存する負債について責任を負う。法域によっては、第一順位モーゲージはノン・リコース・ローンであるが、第二順位以降はリコース・ローンである。
受戻権喪失および譲渡抵当付き不動産の売却については特定の手続がほぼ必ず適用され、関連する政府によって厳格に規制される。ある法域においては、受戻権喪失および売却は迅速に行われるが、法域によっては、受戻権喪失に何ヶ月もあるいは何年もかかることもある。多くの国においては、貸付人の受戻権喪失を行う能力は厳しく制限されている。
債務不履行と分割された不動産
ある土地が譲渡抵当付きで購入され、その後分割されて売却された場合、譲渡の逆順序ルール[注釈 7]が適用され、不払の負債について責めを負う当事者が決定される。
ある譲渡抵当付き土地が分割されて売却された場合、債務不履行時には、譲渡抵当権者による受戻権喪失は、最初に譲渡抵当設定者が依然として所有する土地について行い、それから他の所有者に対して、売却されたときとは「逆順序」で行うこととなる。例えば、「甲」が3エーカーの譲渡抵当付き土地を取得し、これを1エーカーずつ3つ ウィキメディア・コモンズには、譲渡抵当に関連するカテゴリがあります。
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