衡平法上の譲渡抵当
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/14 18:35 UTC 版)
「担保権 (英米法)」の記事における「衡平法上の譲渡抵当」の解説
衡平法上の譲渡抵当は2つの異なる方法によって生じ得る―すなわち、コモン・ロー上の譲渡抵当が目的たる資産の譲渡によって完成させられなかった場合、または特に衡平法上の譲渡抵当として創設した場合のいずれかである。衡平法上の権利(例えば信託受益権)に対する譲渡抵当はいかなる場合においても必ず衡平法上のものに留まる。 一部の法域の法においては、権原文書の預託のみによって衡平法上の譲渡抵当が生じる。土地に関してはこれはイングランドでは廃止されたが、多くの法域においては、依然として、会社の株式は、株券をこの方法で預託することによって譲渡抵当に供されている。 一般論としては、衡平法上の譲渡抵当は、以下の2つの側面を除けば、完成したコモン・ロー上の譲渡抵当と同一の効力を有する。第1に、衡平法上の譲渡抵当であることにより、譲渡抵当に気づかなかった善意の有償購入者(bona fide purchaser for value)によって消滅させられることとなる。第2に、譲渡抵当に供された財産に対するコモン・ロー上の権原(legal title)が現に担保権者に与えられていないため、受戻権喪失などの救済手段を行使することに関連してさらなる段階を踏む必要があることである(もっとも、近時の東カリブ控訴院(Eastern Caribbean Court of Appeal)におけるen:Alfa Telecom Turkey Limited v Cukurova Finance International Limited HCVAP 2007/027の事例では、イングランド法に関して(したがって、枢密院に対しても同時に上訴がなされている。)、衡平法上の譲渡抵当権者(equitable mortgagee)が金融担保(この事例では株式)上の担保権を実行するには、利害関係のある譲渡抵当設定者およびその他の利害関係のある当事者に対して当該事実を告知すればよく、最初に株式の占有を取得する必要もなければ、株主名簿に所有者として記録される必要もないとした。)。
※この「衡平法上の譲渡抵当」の解説は、「担保権 (英米法)」の解説の一部です。
「衡平法上の譲渡抵当」を含む「担保権 (英米法)」の記事については、「担保権 (英米法)」の概要を参照ください。
- 衡平法上の譲渡抵当のページへのリンク