しょうけん‐か〔‐クワ〕【証券化】
証券化
証券化
証券化
【英】:securitization
概要
企業が抱える様々な資産や負債を証券として市場で販売する方法のこと. 例えば, 大量の資金を住宅ローンとして貸し出す銀行は, 将来の金利変動によるリスクを避けるため, ローンを小口「証券化」して市場で販売し, 返済される元本や金利収入(から手数料を差し引いたもの)を, クーポンとして投資家に支払う. この証券はモーゲージ担保証券と呼ばれ, 安全で有利な投資対象として人気を呼び, 米国では400兆円に達する市場を形成している.
詳説
証券化とは,ある特定の資産の原物とそれから生じる法定果実を収受する権利を,そ の権利を表章する「証券」に化体させることをいう.証券化の手法は,金融機関のリス ク資産圧縮,または事業法人やノンバンクなどの資金調達の手段として,広く活用され ている.自らの信用力が乏しいがゆえに,直接あるいは間接を問わず,資金調達の機会 が限られているノンバンクの存在を仮定する.このノンバンクが,保有する資産を活用 して,必要資金を調達することを考える.その資産が取引される市場が存在し,当該資 産の買手をすぐに見つけることができるのであれば(つまり,当該資産に流動性がある 場合),当該資産を単純に買手に売却することにより,容易に売却代金を手にすることが できる.ところが,取引市場が完備されており,流動性のある資産は,債券や株式など の有価証券に限られており,それら以外の資産を売却することは容易ではない.このよ うな流動性の乏しい資産を売却するためには,流動性を付与する仕組み(すなわち証券 化)が必要となる.
■ 資産担保証券
流動性の乏しい資産として,リース会社やクレジット会社などのノンバンクが保有す る金銭債権(リース債権やクレジット債権)を例にとり,金銭債権証券化の仕組みを説明 する.証券化の対象となる原債権の債権者(本例の場合はノンバンク)をオリジネーター というが,このオリジネーターが,保有する金銭債権を束にしたものを,特別目的会社 (Special Purpose Company;SPC)などのSPV(Special Purpose Vehicle)に譲渡する(SPV としては,SPCのほかに信託銀行(の信託勘定)などが該当する.「特別目的」たるゆえ んは,流動性の乏しい資産を,社債や信託受益権証書などの流動性のある実体に変換す るという特別な目的のみを果たしているからである).SPVは,譲渡された金銭債権を裏 付けとして,債券を発行する.このように,資産(本例では金銭債権)を裏付けとして発 行された債券を,資産担保証券という.
SPVは,発行代金として投資家が払い込む債券の購入代金を受領し,オリジネーター は,譲渡した金銭債権の譲渡対価として,SPVからこの金額を受け取ることになる.
資産担保証券の元利金の原資は,金銭債権から生じるキャッシュフローである.原債 務者から回収されたキャッシュフローが,債権の譲受人であるSPVを通って,債券の元 利金として投資家に支払われる.
SPCとは,資産担保証券の発行などの特定された目的を果たすためだけに設立される 会社である.一般の社債の発行体は,本来の主たる事業を営んでおり,事業の成り行き しだいで倒産する可能性をはらんでいるが,SPCは倒産の可能性を排除するために様 ざまな工夫をこらして設立される.したがって,資産担保証券の投資家は,投資の判断 にあたっては,オリジネーターの信用力ではなく,資産に伴う信用力を考慮すればよい.
資産担保証券は,投資家に受け入れられやすくするために,格付けを取得するのが一 般的である.前段のSPCの倒産隔離性より,資産担保証券の格付けは,原資産のキャッ シュフロー創出力により決定されるので,シングルAの格付けをもつオリジネーターで も,キャッシュフロー創出力の高い良質な資産を証券化することにより,シングルAよ りも高い格付の債券を発行することが可能となりうる.
資産担保証券は,償還年限やクーポンあるいは格付などの条件が互いに異なる複数の 種類(これをトランチあるいはトランシェという)に分けて発行されることが多い.
モーゲージ担保証券(Residential Mortgage Backed Securities;RMBS)とは,資産担保証 券のうちで,住宅ローン債権を裏付けとして発行されたものをいう.住宅ローン債権 は,土地の購入や住宅の建築のために,個人の借り手に貸し出された貸付債権である(住 宅ローン債権のように,分散の効いた多数の債務者向けの債権集合を,小口債権プール (あるいは大数プール)という).
民間金融機関の住宅ローン債権が1999年にはじめて証券化されて以来,公的機関であ る住宅金融公庫を含め,複数のRMBSが発行されている.特に,住宅金融公庫はこれま で継続してRMBSを発行しており,RMBSの市場規模の拡大に大きく寄与している.
住宅ローンの借り手は,返済期限前に任意にローンを返済できる.ローンが期限前返 済されると,貸し手は返済された資金の再運用リスク(これをプリペイメントリスクと いう)を抱えることになる.貸し手は,住宅ローン債権を証券化することにより,この リスクを投資家に転嫁することができる.逆に,RMBSの投資家は,期限前弁済の存在 により,RMBSの想定償還年限が伸縮するというリスクを抱えることになる.期限前弁 済は,借り換え時の金利水準や景況感などの要因に左右されると考えられるので,投資 家は,これらの要因から期限前弁済の動向を推定するプリベイメントモデルをつくって プリベイメントリスクの定量評価を行っている.
住宅ローンの貸付期間は20~30年である場合が多く,金融期間の負債のデュレーショ ンと比較すると非常に長い.これは,当該金融機関がALMリスクを抱えていることに ほかならない.住宅ローン債権の証券化は,ALMリスク軽減化の有効な手段としても 活用されている.
■ 不動産担保証券
金銭債権ではなく,実物資産である不動産を裏付けとしたものが,不動産担保証券 である.対象となる不動産の種類としては,オフイスビル,商業用施設,外国人向け高級 賃貸マンシヨン,ホテルなどがあげられる.
金銭債権の証券化の仕組みと同様に,不動産もSPVへの譲渡の仕組みがとられるが, 移転に伴い発生する不動産取得税や登録免許税などの税コスト削減のため,いったん信 託設定をしたうえで,その信託受益権がSPCに譲渡されることが多い.
不動産担保証券の信用力は,裏付けとなつている不動産のキャッシュフロー創出力で ある.不動産担保証券のクーポンの原資は,当該不動産からの賃貸料収入であるから, 証券化の対象としては,テナントづきがよく,安定した賃貸料収入が期待できる良質な 不動産であることが求められる.不動産担保証券の元本の原資は,当該不動産を売却し て得る代金か,もしくはその不動産を裏付けとして新たに発行する不動産担保証券の発 行代金あるから,やはり,証券化の対象としては,将来的に価値の増大が期待できる 良質な不動産であることが望ましい.
[1] 大垣尚司(1997), ストラクチャード・ファイナンス入門, 日本経済新聞社.
証券化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/01 08:02 UTC 版)
証券化(しょうけんか、英: Securitization)とは、帰属主体(オリジネーター)から原資産を特別目的事業体(SPV)等へ移転させ、原資産から生じるキャッシュフローを裏づけとした、資産担保証券などの流動性が高い金融商品を発行する技術である[1][注釈 1]。
注釈
- ^ 資産担保証券は、たとえば社債、特定社債、株式、あるいは知的財産権を裏づけとしたボウイ債などをいう。有価証券または動産担保融資の発行による資産流動化は、狭義のアセット・ファイナンスである[2]。REIT発行も狭義にあたるときがある。広義には、担保付借入れ・担保付社債から、保有資産の単純な切り売りまでをふくむ。
- ^ オリジネーターが破産しても、過去に譲渡した資産が破産財団に組み入れられることを防ぎ、破産債権者等の弁済の引き当てとされることを防ぐ仕組みである。
- ^ 2021年現在の日本においては、倒産隔離について正面から判示した裁判例は知られておらず、確たる基準がない状態である。
- ^ ケイマン持ち株会社の普通株は、英国法に基づく慈善信託において慈善団体が受益権という形で保有するが、議決権を行使しないことを遵守する。これにより、ケイマン持株会社には、議決権を行使する株主が存在しない。
- ^ 回収業務について、SPV自身が行うのではなく、委託を受けたサービサーが行うのはこのためである。
- ^ たとえばユーロ危機は致命的となった。機関投資家が諸国の財政に干渉する動機の一つである。
- ^ CMBSやREITを発行。賃料収入など不動産から上がる収益を裏づけとする。いわゆる自社ビルの不動産証券化の場合には、証券化した対象資産をそのまま当該オリジネーターに対して賃貸することが多く行われる。
- ^ 事業者の営む特定の事業について、その将来キャッシュフローを見合いに証券化する資金調達手法。日本国内では、ソフトバンクモバイルの携帯電話事業をはじめ、ゴルフ場事業、レジャーホテル、インターネット事業等で証券化の事例があるが、件数は少ない。イギリス等海外の国々では、輸送、パブ、水道事業等の各種事業で多数実施されている。
- ^ キャップつき変動利付債など。
- ^ 銀行子会社はABCPのため信用枠を用意し、投資銀行のレポ借入を信用創造で支えていた。
- ^ 財務省証券やエージェンシー債等の取得・処分・引受、マーケットメイク、ヘッジ業務は例外となった。
出典
証券化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:19 UTC 版)
「世界金融危機 (2007年-2010年)」の記事における「証券化」の解説
1970年代のアメリカから、住宅ローンの証券化が始まった。これは地域金融の弱点である各地域のリスクを補うために考えられ、国策会社である政府支援機関(GSE)によって進められた。地方銀行は地域のリスクから守るために住宅ローンを証券化してGSEに売った。GSEは証券化された住宅ローンを買うために、プールした住宅ローンを担保にして債券を売った。これが不動産担保証券(MBS)であり、GSEに多大な利益をもたらした。GSEの発行ではないプライベート・ラベルのMBSも1990年代に急増し、質の低いローンを証券化する方法としてトランチング(英語版)が考案された。トランチングとは、住宅ローンを細分化し、リスクが異なる債券に分けてローンに対する優先順位を定める方法を指す。トランチングが繰り返されて大量のMBSが作られ、安全な証券として投資家に販売された。投資家はリスクが低いと考え、格付け機関も保証していたが、実際には質が低くリスクの高い住宅ローンから作られていた。
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「証券化」を含む「世界金融危機 (2007年-2010年)」の記事については、「世界金融危機 (2007年-2010年)」の概要を参照ください。
証券化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 13:59 UTC 版)
「ストラクチャード・ファイナンス」の記事における「証券化」の解説
証券化の定義と4つの要素ここでは最大公約数として、岩村充による定義を引用すると、“証券化とは、企業や銀行がその保有資産を新たに設立した資産保有の為の仕組みに移し、移した資産を保有するための資金調達を、自己資金から、そうした仕組みが発行する保有資産を裏付けとした証券発行による資金調達に切り替えること”。この定義を分解してみると、 資産を移すという要素 新設の仕組みという要素 資産を裏付けとした資金調達という要素 証券発行によるお資金調達という要素 ということになる。そして、証券化のスキームに共通する特徴を分析して本質を導きだした結果、証券化固有のセカンダリー・マーケットの付与という要素と、「有価証券」にするという字義通りの要素を取り出すこと。そして、下記において日本における狭義の証券化について述べてみたい。 セカンダリー・マーケットの定義 証券化商品にとって必要十分な、そして、これを確保することによって、実質的な発行体としても有利な調達コストを実現できるセカンダリー・マーケットの定義は以下。“単に取引のための市場があるというだけでは足りず、少なくとも投資家が投資対象を売却したいと思った時には、必ず(規定価格ではなく)自由市場原理にもとづいた購入希望価格(ビット・プライス)を提示する者が存在することが制度的に確保されている金融資産の流通市場” 出口戦略 投資を行う上で利回り以上に重要となるのが出口戦略である。どのようにして投資を完了して投資損益を実現するか?ということであり、公社債や貸付けであれば期限あるので、期限がくれば投資は完了するが、そのような商品は少ない。証券化商品のように歴史が浅く、また複雑な金融商品の場合、どのような出口戦略が確保されているかが、商品性を決定する非常に重要な要素となる。セカンダリー・マーケットは、投資家にこの出口戦略を確保するための仕組みの中で最も進化した形態といえる。そして、これが正しく機能する為には、投資家が購入した証券化商品を売ろうと思った時に、必ずプライスを出してくれる業者(マーケット・メーカー)が必要となる。さらに、セカンダリー・マーケットによって投資が一般に開放されることから、投資判断の前提として、投資内容についての開示が十分に果たされる必要がある。通常はディスクロジャー制度(企業内容等開示制度、有価証券の発行・流通市場において、一般投資者が十分に投資判断を行うことができるような資料を提供するため、有価証券届出書を始めとする各種開示書類の提出を有価証券の発行者等に義務づけ、これらを公衆縦覧に供することにより、有価証券の発行者の事業内容、財務内容等を正確、公平かつ適時に開示し、もって投資者保護を図ろうとする制度)に図られ、投資の客観性が保証されることになる。現実のマーケットでは個々の投資家がディスクロージャー制度で、有価証券報告書等を読むとは限らない、多くの場合、証券会社がこれに基づいて行った分析内容や投資判断の材料をまとめ、手掛かりにして意思決定を行っていく。典型的な有価証券については、もともと流通市場が確保されているので、資産を有価証券にすることでインフラとしてのセカンダリー・マーケットが確保されていることになる。しかし、日本でのABSを証券会社や銀行がが販売する場合の出口戦略については、あまり考慮に入れられることはなく、むしろ、どうしても企業にABSの発行を勧めるという販売者側に力を入れがちである。例えば、従来の社債については、シンジケート団(有価証券の引き受けのために、銀行・保険会社・証券会社などが結成する証券引受団)の組成にあたって、主幹事が商品に関する詳しい情報を直前まで提供しないという慣行があるようだが、ABSの引受に当たっては、商品の仕組み等、プライシング以外の情報については、むしろ早い段階からシンジケート団に知らしめる必要がある。日本でも三井不動産投資顧問では、ストラクチャード・ファイナンス部門を設けて、リファイナンス(不動産証券化スキームにおいては、出口戦略として対象資産を売却して終了するケースと、リファイナンスを行って不動産証券化を継続する)等を図り、国内外の多くの金融機関とのネットワークや長年にわたり積み上げてきたノンリコースローン(返済の原資(元手)とする財産(責任財産)の範囲に限定を加えた貸付方法)の調達実績により、 ファンドの実情にあわせた最適な調達条件での資金調達を図り、資産規模や売却時期等に応じて「個別売却/一括売却」「入札/相対取引」「直接探索/媒介による探索」などの売却方法を選択したうえで、幅広いネットワークを通じて売却先候補者を探すことをしている。 日本における証券化ファイナンス 住宅ローン信託債券は、住宅ローンの貸し手が信託銀行に債権をまとめて信託し、その受益権を第三者に売却することにより、住宅ローンを証券化して資金調達を行うための信託で、信託業北条は金銭債権の信託にあたる。日本で住宅ローンに対する需要が高まった1970年代前半に住宅金融専門会社(以下「住専」)の設立や、長期信用銀行が行う住宅ローン債権信託と同趣旨の制度である住宅抵当証書を産み落とした金融制度調査会の報告にもとづいて、信託商品のひとつとして1973年6月に創設された。導入当初における住宅ローン債券信託の存在意義は、同時期に設立された住専の資金調達を円滑にするために、信託銀行の有する長期性資金(特に年金ファンド)をこのセクターに流し込むことにあった。当初は委託者も制度上住専に限られていた。例えば、期間25年程度の住宅ローンの最初の7年については、信託を介して、残高が一定の第二受益権と残余部分の第一受益権に分け、前者を年金ファンドにはめこんで、後者は住専が保持し、7年後には住専が第二受益権を全額買い戻すという買戻方式が認められていた。そしてその後1980年代中頃にBIS(国際銀行)の自己資本比率規制の導入に至って、金融機関が資産をオフバランス化するための手段を充実する目的で、一般貸付債権の流動化、地方公共団体向け貸付債権の流動化と合わせて、金融機関にも受託がローンの流動化を解禁すべきだということになり、住宅ローン債権信託を金融機関が委託者となって設立することが1988年に認められた。住宅ローン債権の売切方式はアメリカのMBSやCMOと同じであるが、もともと制度改定時に金融機関の保有債券の流動化のみが年頭におかれたことから、対象としてよいローンは金融機関系の保証会社保証付債券か保険会社保証保険付債券のいずれかということになっており、このため優先・劣後だとか、一部保証だとかいった、信用補填についての工夫はされていない。1992年には、世界的に進行する金融・国際化・自由化・証券化に対応するため、銀行・証券の相互乗り入れが認められる一方、証券取引法上の有価証券の定義を広げ、証券化商品を取り込む努力が行われる。この中で住宅ローン債権信託は、証券取引法上は有価証券として取り扱うことが適当である「みなし有価証券」の代表例として条文にとりこまれた。しかし、住宅ローン債権信託は証券化の需要がないため、ほとんど日の目をみることないまま、事実上休眠状態にあった。受益権が有価証券として認められるには、貸し手が金融機関または、住宅金融専門会社にならなければならない。ただし、住宅金融専門会社はすでに経営難に陥って、その全資産を住宅金融債権管理機構に譲渡して解散してしまっているので、事実上、この制度を利用できるのは金融機関だけである、もともと信用力もあり、預金や保険等の資金調達源を持っている金融機関にとっては、証券化により住宅ローンによる資金調達を行う必要は少ない。ノンバンクのようなところにこそ資金調達の必要性が多い。ノンバンクは一般に銀行と比べると信用力が劣るうえに、歴史的な理由から出資法を根拠に、日本ではノンバンクを資本市場に組み込ませない体制が長らく続いてきた、この結果、ノンバンクの資金調達の大部分は、金融機関からの借り入れに依存せざるを得ず、住宅ローン等と金融機関と競合するビジネスでは、ノンバンクを限界金融機関の隅に追いやっている。「みなし有価証券」である住宅ローン債権信託の受益権証書も、その私法上の性格は他の金銭債券信託と異なることはない。一般に信託の受益権は民法上の指名債権(一般的な債券の形態)であるとされ、受益権証書はその権利を証明する単なる証拠証券にすぎないとされている。この結果、受益権の譲渡は指名債権譲渡の方法に従って、譲渡人(投資家)が債務者(受託者)に通知するか、債務者(受託者)が承認するかしないと、譲受人(新しい投資家)は受託者に対して投資家としての地位を主張できない。これに対して、通常の有価証券は、私法上は無記名債券ということになっているのが大半であって、証券を物理的に引き渡すことによって権利が移転する。投資家は、物理的な証券というものを唯一のよりどころとして取引を行えるので高度の流通性が確保されるとされる。こういう視点から、受益権証書についても無記名性を付与するような立法がなされるべきとう議論がなされることがある。少なくとも、信託契約の中で何等かの工夫を行って無記名性を受益権証書に付与する必要があると思われる。アメリカでは税法上の理由で、発行された有価証券は全て記名式であり、無記名式はあまり存在しないが、日本より流通性がある。 海外起債 日本の売り手による海外発行はそれほど存在しているわけではないが、特徴的なのは、海外の投資家にプレースすることに一義的な目的があるわけではなく、どちらかというと、国内の規制を避けるためのものである。典型例が海外SPCの東京支店を通じた国内売掛債権流動化のための日本向けABCPプログラムである。96年の解禁に伴って、日本でのCP発行事例が増えている。
※この「証券化」の解説は、「ストラクチャード・ファイナンス」の解説の一部です。
「証券化」を含む「ストラクチャード・ファイナンス」の記事については、「ストラクチャード・ファイナンス」の概要を参照ください。
証券化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 07:00 UTC 版)
「新宿住友ビルディング」の記事における「証券化」の解説
不動産の流動化などを目的とする資産の流動化に関する法律(特定目的会社法)が1998年9月に施行されたことを受け、住友不動産は有利子負債の削減を目的に、60%保有していた新宿住友ビルを2000年に証券化して売却し、2005年6月、発行した資産担保証券や借入金が償還を迎えるため、同社は償還資金として再度の証券化で1360億円を調達している。
※この「証券化」の解説は、「新宿住友ビルディング」の解説の一部です。
「証券化」を含む「新宿住友ビルディング」の記事については、「新宿住友ビルディング」の概要を参照ください。
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