倒産隔離
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倒産隔離(とうさんかくり)とは経済学用語の一つ。企業が倒産した場合でも、その企業が所有している資産には影響が及ばないようにするということである。
倒産隔離の方法として行われているのには資産の証券化という事柄が存在しており、これを行ったならば企業の資産はその企業の所有物ではなく投資家による所有物ということになり、その企業は以降は賃借をして使用し続けるということになるわけである。
このことから企業が倒産した場合でも、本社ビルなどといった企業の所有していた不動産は倒産の影響を受けなくなる、というわけである。
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倒産隔離(bankruptucy remotoness)
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「ストラクチャード・ファイナンス」の記事における「倒産隔離(bankruptucy remotoness)」の解説
A社と信託勘定の間に介在するSPCだが、これは資産をA社から倒産法上や会計分離するために用いられている。格付けを取得する場合における倒産隔離機能と呼ばれている工夫である。例えば上記のA社について、A社が倒産してしまったとする。この場合に、証券化商品が引当てにしていた対象資産をA社の更生管財人や債権者が差し押さえることが可能だとすると、トリプルAだった債券が結局A社の信用力に影響を与えてしまう。言い換えれば、資産の高い信用力をそのまま格付けに反映してもらうには、これを調達の主体の倒産リスクから隔離してやる必要がある。A社が自動車ローンを信託勘定に直接委託したうえで劣後受益権を保有したまま優先受益権だけを販売した場合、債券がA社の負債とみなされてしまう恐れがある。そのため、まず、A社とは資本関係のない独立したSPCに自動車ローンを売却し、ここで倒産法上は完全な売却を成立させてから、SPCにおいて債券の組成を行う。倒産隔離をどのように、どのくらい厳格に行うかは、格付け取得と投資家の納得性の問題であって、絶対的な基準が存在するわけではない。 売主が倒産した場合に、SPVの資産が倒産財団に組み入れられることがないことが明瞭であること(典型的には上記のような譲渡の対抗要件の問題も含めて、譲渡が倒産法上否認される可能性があるのかが問題となる)#売主が株主権の行使や派遣取締役を通じてSPVを恣意的にコントロールしてSPVの債権者に損害を与えることがないこと。#SPVや売主の監督庁が、売主の経営状況の悪化に伴い何らかの権限行使を行うことによって、予測できない損害を債権者に与えることがないこと等が要求される。 日本でも2001年のマイカルの破綻における倒産隔離の問題が有名となった。マイカルには倒産隔離措置がなかったという点と真正売買(本当に売ったのか・買ったのか)がなされたのかという点が金融関係者の間で議論となる。同社は会社更生法の適用を申請し、同社がオリジネーターになり、自社の20店舗をSPCに売却したうえで借りて営業を継続した。マイカルは会社更生法の適用を受けて銀行融資などは金利減免の措置が取られたが、管財人は「実質的には店舗を担保にした資金調達。SPCに支払われる家賃収入をカットすべき」と主張した。結果的には受益証券の配当になる家賃収入はマイカル破たんでも債権カットされず、証券化商品として初の債務不履行(デフォルト)は免れた。真正売買の条件としては 当事者の意思 譲渡価格の妥当性 譲渡にかかる対抗要件の具備 が必要とされる。
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