反則行為とは? わかりやすく解説

反則行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 13:22 UTC 版)

反則行為(はんそくこうい)とは、任意のルール社会またはルールを定めた状況下において、それを行った場合に何らかの罰則が課せられる行為を指す。

ただし社会体制に関する事例については、「犯罪」もしくは「違反」・「不正」と称する場合が多く、「反則」という言葉は道路交通法などで使われている以外にはスポーツや任意の競技に用いられる事が多い。

スポーツ/競技

任意のルールが定められた競技において、そのルールを逸脱する行為を行った場合、原則としてそれに対する罰則が課せられる。罰則の内容や評価は競技によって異なるが、多くの場合は、直ちに試合は止められて該当する行為を行った側の敗戦とされる他、悪質度によっては、それ以上の処分が下される例も多い。公式戦においては通常の敗戦よりも劣るものとして扱われることが多いが、これで勝ちを拾った相手がその分高く評価されることはまず無い(例えば大相撲においては平幕横綱に勝つと金星が記録されるが、横綱が反則をしていた場合は金星を認めない)。モータースポーツでは罰則に対するペナルティ(重りの搭載やタイムの加算)を受ければ完全に帳消しとなり仮に勝利した場合でも不名誉な扱いを受けない物もある。以下は反則の例である。

ボードゲーム全般

これらの反則行為はボードゲーム個別の禁じ手とは異なり出場停止の対象になる事が多い。

将棋
大相撲
  • 頭髪(まげ以外の髪も含む)をつかむ
    • 朝青龍がまげをつかんで反則負けになった時には、横綱としては史上初ということで大きな騒動となった(まげをつかむ反則負け自体はそれほど珍しくない)
  • 握り拳で殴る(指を曲げていても掌が隠れていなければ合法)
  • 故意に廻しの前袋を握る
  • 両手で同時に張り手を出す
  • 指をつかんで折り返す
  • 目や鳩尾等の急所を攻撃する
  • のどをつかむ
  • 胸や腹を蹴る
    • 花相撲での初切ではこれらの反則が演出として行われる。
柔道
  • 禁止技として指定されている、河津掛け蟹挟み足緘胴絞をかけた時
  • 技をかけずに指導を3回とられた時
  • 拳・蹴りと言った当て身技を行った時
  • 髪・体を掴んだ時
  • 脚取りを2回行った時
野球競技

盗塁しようとする走者投手が欺くことを制限するため、所定の様式に沿わない投球フォームを、意図を問わず一律にボークとして規制している。近年ではビーンボールクロスプレイなどの危険なプレイに対する規制も強化されている(危険球コリジョンルール)。

サッカー競技
  • ゴールキーパー以外のプレーヤーが手でボールに触れた場合
  • フィールドプレーヤーが相手選手を故意に倒したりした場合
バスケットボール競技
  • ボールを持ったまま3歩以上移動する

 車いすはボールを乗せたまま車輪を3回以上回す

  • 一度ドリブルを止めた後、パスやシュートなどを出さず再びドリブルを始める
  • 脚でボールに触れる
  • ボールをフロントコートからバックコートに返す
テニス競技
  • ラケットのガット以外で打ち返す
ラグビー競技
アメリカンフットボール競技

特徴的な反則としては、相手のフェイスマスクを掴むことや、スナップ前に早まって動作することなどがある。 反則へのペナルティは、プレイ開始位置を自陣側に移動される「罰退」や、プレイの成果の取り消しの形で与えられることが基本である。

格闘技

ボクシング総合格闘技などの格闘技では、反則行為は故意によるものと偶然によるものに分かれ、それぞれ異なる裁定を下している。

ボクシングでは、

  • 相手選手の頭部や脚に対し、自らの頭部や脚によって攻撃を加えた場合(バッティング)
  • ローブロー
  • 拳による相手選手の後頭部への打撃行為(ラビットパンチ)
  • ピボットブロー
  • レスリング行為

総合格闘技では、

が主な反則とされる。

故意によるものの場合、反則行為を犯した側に減点あるいは失格の処分を科す事になるが、偶然による場合(バッティングが多い)は、一旦試合は停止するものの、注意のみで特に処分を科すことなく試合を再開する。ただし、WBCのように負傷していない方を減点にする団体もある。また、K-1のように負傷の原因が自身の不注意である場合は負傷した方を失格とする団体もある。

偶然の反則により、一方あるいは両方の選手が負傷によって試合続行が不可能となった場合、規定ラウンド(大抵は前半、ボクシングにおける10回戦以上は第4ラウンド、K-1は第1ラウンド)に満たない場合は判定に入らず引き分け(K-1などでは無効試合)、規定ラウンド以降の場合はその時点で判定(テクニカル・デシジョン)に入る(J-NETWORKのようにラウンド問わず判定に入る団体もある)。なお、トーナメント戦で偶然の反則が起こり引き分けまたは無効試合に終わった場合、負傷していない方を勝者扱いとする団体が多い。

かつてのWBOのように偶然の反則に限らず有効な攻撃による負傷の際にも同様の裁定を採る団体も存在する。

UFCではドーピング検査に失格した場合は薬物使用者の反則負けとなる[1]

プロレス

プロレスにおける反則行為は、団体にもよるが興行上の一種の演出として行われている。反則行為とされるものとしては、

  • こぶし(ナックル)による殴打
  • 相手選手への急所(金的)に対する攻撃
  • 相手選手の気管を絞める攻撃(チョーク)
  • 噛みつき
  • サミング
  • 凶器の使用
  • リング周辺の器具を利用した攻撃[注 1]

のようなものがある。反則行為の定義や運用は団体によって異なるが、試合中の選手同士の凶器攻撃は5カウント以内に中止すれば許される一方、試合に関係のない選手の乱入やレフェリーに対する暴行は瞬時に反則負けになるなど、その扱いは多様である。特に北米ではタイトルマッチでは王者が反則負けとなっても王座を失わないというルールの下で行われることも多く、王者が劣勢になったときに故意に反則を犯して王座を守ることもある。反則行為がレスラーのステータスとなることもあり、ニック・ボックウィンクルリック・フレアーなどのように、反則行為によって王座防衛を続けるというスタイルで名レスラーとしての地位を築いた例もある。一方、全日本女子プロレスの主要タイトルを認定するWWWAのルールでは、王者の反則負けは無効試合扱いとして王座剥奪(協会預かり)にした上で再戦を指令していた。

なお、プロレスにおいて反則負けの裁定が出来るのは、レフェリーだけであるため、レフェリーの目をタッグパートナーが引きつけている間・レフェリーが選手との接触でダウンしている間・レフェリーの死角を利用などの手段で反則攻撃をした場合は(どんなにレフェリー以外から丸見えであっても)反則負けにはならない。過去の例として1981年12月のザ・ファンクスVSブルーザー・ブロディジミー・スヌーカ戦では、レフェリーの死角を利用してブロディ側のセコンドのスタン・ハンセンテリー・ファンクラリアットでKOしてしまったが、「レフェリーが見ていなかった」ということで反則は取られず、ブロディ&スヌーカのフォール勝ちで決着している。ただし、団体によってはレフェリーの死角であってもコミッショナーや立会人の目が行き届く範囲であれば反則裁定が採られる場合もある。

また、ノーディスクォリフィケーション(DQ)マッチと呼ばれる反則裁定を排除したルールで行われる試合も存在する。

流血の魔術 最強の演技』によると、ピンフォールタップアウト(ギブアップ)による勝敗をつけることによって選手同士の地位の差をつけることを回避するために、反則で試合が決着されることがあるとされる。また、レフェリーがヒール選手の反則をあえて見過ごすことで観衆のムードを盛り上ることがあるともされる。

道路交通法

日本において道路交通法違反の事実があった場合、交通反則切符を含めて以下の何れかにより処理される。

  1. 司法警察員基本書式例
  2. 司法警察員簡易書式例
  3. 交通切符
  4. 点数切符
  5. 交通法令違反少年被疑者家裁直送事件

交通反則制度は、

  1. 事実に誤認が無く
  2. 軽微な違反に相当する

違反について反則金相当額をあらかじめ納付する手続きにより刑事事件として処理しない制度である。この結果、違反者は逮捕勾留などは受けず、違反事件は刑事事件として検察官に送致されないこととなる。これは法律の定める刑事事件処理の例外規定であり、あくまでも刑事事件として事件を検察官に送る刑事手続き上の微罪処分とは全く異なる。処分に対して不服な者は、反則切符の受領を拒否するか期限までに反則金を納付しないことで刑事裁判での決着を求めることができる。また、違反により事故を起こした場合や特に重大な違反の場合、違反者の居所や氏名が明らかでない場合などは、現行犯逮捕を受けることもある。

なお、この制度は、基本的には運転に免許を必要とする車両等による違反に対して適用されるが、重被牽引車など軽車両であっても適用される場合はある(道路交通法第百二十五条第一項)。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 具体的には、フォールの際に自らの足をロープにかけ体重を乗せることで返されづらくしたり、逆エビ固めをかける際に自らの頭部をコーナーポストに押し付けて、相手が足の力で跳ね返そうとするのを防ごうとする行為などがあげられる。

出典


反則行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/04 17:26 UTC 版)

エム×ゼロ」の記事における「反則行為」の解説

発覚した場合失格退場 治療要する怪我を敵選手負わせる。 体からPB外して隠す、及び試合開始後にPB交換する試合エリアの外に出る。

※この「反則行為」の解説は、「エム×ゼロ」の解説の一部です。
「反則行為」を含む「エム×ゼロ」の記事については、「エム×ゼロ」の概要を参照ください。


反則行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:29 UTC 版)

将棋」の記事における「反則行為」の解説

次に挙げる行為反則決められており、着手した場合ただちに負けとなる。対局中であれば、反則行為が行われた時点ではそれに気付かずに手が進められても、終局前に反則指摘され場合反則した時点戻して反則した側の負けとなる。対局中助言一切禁止されるが、反則行為が行われた場合限り第三者がそれを指摘してもよい。 終局後に反則判明した場合も、原則として反則をした側の負けとなる。たとえば、対局者反則に気づかずに手を進め反則された側が投了したとしても、反則行った対局者負けとして勝負結果変更されることになる(棋戦運営による例外の対応もあり。以前投了優先であったが、2019年10月1日将棋連盟対局規定一部変更が行われている)。 ルール違反以下の例を含む、基本ルール反す行為駒の初期配置間違えたまま対局開始(角と飛を左右配置、駒を裏返したまま成り駒配置等) 2手続けて指す(二手指し)、後手誤って初手を指す ルール移動できない位置に駒を移動する(特に、角(馬)を遠い位置移動させるときに間違えやすい) 駒を成れない状況成ってしまう、玉や金を成ってしまう、成り駒盤上裏返し元の駒に戻す、成り駒を打つ(持ち駒裏返して打つ) 持ち駒駒台乗せず手に隠し持つあるいは将棋盤駒台陰に置く(隠し駒)など。 いったん着手した手を元に戻し変える行為待った)も基本的には即負けである。駒から手を離した時点着手完了となるため、いったん駒を動かしても手を離さなければその時点では元に戻して別の手を指してかまわない仲間同士気楽な対局駒落ちなど指導目的とする対局場合は、例外的に待った」は許可される場合もあるが、多くの人は「待った」をマナー違反とみなすため、注意が必要である。 禁じ手基本ルールには反していないが、特別に禁止されている手のこと。 連続王手の千日手連続王手での千日手王手している側が指し手変更しなければならないが、これを行わず千日手成立してしまった場合千日手成立した時点反則になるため、対戦相手指した手によって反則確定する場合もある。 二歩成っていない歩兵2枚以上同じ縦の列に配置することはできない行き所のない駒禁止盤上の駒を行き先のない(動けない)状態にしてはいけない。味方の駒に進路塞がれ一時的に動けない場合これにあたらない。 打つ場合不成で進む場合ともに敵陣1、2段目の桂馬、1段目の香車歩兵配置してはいけない。したがって盤上桂馬香車歩兵その場所に進む場合強制的に成らなければならない打ち歩詰め持ち駒の歩を打つことで、直接相手の王を詰ませてはいけない。 ただし、歩による王手詰め手順の最終手でなければ、歩を打ってからの王手そのもの反則ではない。したがって、歩を打って王手をかけたのちの連続王手最終的に詰み」が成立することは問題がない。 盤上の歩を突いて玉を詰ます突き歩詰め反則ではない。 自玉を相手駒の利きにさらす手(王手放置)自らの着手の後、自らの王が王手かかった状態にあってはいけない。すなわち、 相手王手された場合は、次の手番直ち王手回避しなければならない。 王を相手の駒の利き移動してならない。 王以外の駒を移動させた結果、王が相手の駒(香車飛車龍王)、角行龍馬))の利きさらされるようにしてはならないプロ棋戦発生した反則は、記録残っているもので回数が多い順に下記のとおり2018年10月20日現在)。プロ棋戦において、打ち歩詰め行き所のない駒によって反則負けになった例は現時点では1例もない。 プロ棋戦発生した反則1位二歩 862位二手指し 283位ルール違反の手を指す 25回 4位王手放置、自らの王を相手の駒の利きにさらす 14回 5位後手初手を指す 6回 6位連続王手の千日手 2回 プロが行ってしまった「ルール違反の手」として、下記のような事例がある。 持ち駒を、成り駒の状態で打った一字駒の「成銀」を「金」と見間違えた参考)。 駒を飛び越える位置に角を動かした自分取った駒を相手駒台乗せた盤上から駒台移ってしまった香車持ち駒として使用した(服の袖が当たったことが原因である。参考)。 相手の駒を取ったあと、別の場所に駒を動かした(8八の王将で7八の相手の馬を取ろうとして、馬を駒台移したあと王将を8七に移動させた。棋譜上は馬を取らずに王を8七へ指した王手放置となっている。参考)。 いったん不成敵陣置いたように見えた駒を持ち直し成り変えた対局そのまま継続されたが、テレビ放送後の視聴者抗議を受け、「待った」であるとされた。 なお、「王手をするときには王手!』と言わなければいけない」と誤認する者も多いが、そのようなルール存在しない。これは、本来「自分で気づかなければいけない」とされているためである。そのような王手の発声は、指導対局縁台将棋初心者同士対局などで慣習的に行われる場合があるに過ぎずプロ公式戦などで行われること皆無である。

※この「反則行為」の解説は、「将棋」の解説の一部です。
「反則行為」を含む「将棋」の記事については、「将棋」の概要を参照ください。


反則行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 23:59 UTC 版)

麻雀の反則行為」の記事における「反則行為」の解説

麻雀における反則行為の例をあげる。

※この「反則行為」の解説は、「麻雀の反則行為」の解説の一部です。
「反則行為」を含む「麻雀の反則行為」の記事については、「麻雀の反則行為」の概要を参照ください。

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