19世紀のアメリカとは? わかりやすく解説

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19世紀のアメリカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:40 UTC 版)

オズの魔法使い」の記事における「19世紀のアメリカ」の解説

オズの魔法使いの政治的解釈」も参照 この物語政治的アレゴリー意図するという決定的証拠は見つかっていない。1960年頃、歴史家ランジット・S・ディゲは事実上誰もそんな解釈はしていない記した1964年高校教師のヘンリー・リトルフィールドが学術誌『アメリカン・クォータリー』に『オズの魔法使い: 大衆主義寓喩』を執筆し19世紀後期金融政策に関する金銀複本位制論争アレゴリー含んでいると断言したボーム周囲から物語の着想得ただけでなく、当時問題解決していたアメリカユートピアオズ表現していた。ユートピアおとぎ話の国はそれほど違いがないボームより良い社会作るには想像力不可欠信じていた。オズ・シリーズ後期の本でボームは「想像と夢は世界改善に導く。想像力豊かな子供創造発明得意な想像力豊かな大人になり市民導いてくだろう」と記した。またこの過程ボーム現代おとぎ話としてのオズの魔法使い』はオズ19世紀後期から20世紀初頭の言及問題解決表現するアメリカユートピアとしてオズ描いている。 オズ王国アメリカ類似している。東西南北4つの国があり、首都エメラルドの都である。アメリカおよび国民中西部南部などに分割される19世紀、これらの地域によって表現する色が違っていた。東部工業地帯ブルーカラーから青、南部赤土レッドネックから赤、西部カリフォルニア州ゴールドラッシュから黄色表現されていた。そしてエメラルドの都となるワシントンD.C.紙幣の色から緑で表現される物語悪役東西の悪い魔女である。悪い魔女たち市民魔法にかけ奴隷のように扱う。良い魔女と悪い魔女力関係はほぼ同等で、このバランスオズ変化なく続くか発展するかに関わってくる。この関係はアメリカ支持政党関連付けられる。西の悪い魔女発達した鉄道石油王、そして自然豊かな西部表現される19世紀西部軍事色が強かったが自然が豊かでそして干ばつ被害甚大だった。これは火事竜巻よりも被害大きく、その年の収穫大きな影響が出る。そのため西の悪い魔女を殺す武器として引用されている。魔女遺体茶色の塊は大きな嵐の後の泥に類似している。ドロシー水たまりの上歩き溶けた魔女の跡のある床を掃除する。 東の悪い魔女農業従事者圧迫するウォール街など東部経済工業表現しているとされている。19世紀東部工業労働者重労働課せられていたように、東の悪い魔女国民奴隷のように扱う。ドロシーが東の悪い魔女を殺すと、力のバランス変わってくる。貨幣価値および投資下がって以降人民党は国を金銀複本位制に向かわせた。労働者階級および貧困農民債務負担を減らすため金本位制から遠ざかった人民党南部中西部小作人北部労働者階級賛同目指した。 物語冒頭ドロシー農場からオズ竜巻飛ばされる。これは、しばしばこの時代の銀の自由鋳造比較される黄色レンガ道は金銀複本位制を、ドロシー居心地良い所へ連れていってくれる銀の靴人民党金銀複本位制への方針表現している。オズは金を量るのに使用されるオンス略字である。ドロシーカカシ歩き始めると、道がデコボコであるためにカカシ何度もつまづいて転ぶ。黄色レンガ道でカカシが転ぶのは、デフレにより農民損害を被ることに類似している。ドロシー簡単に歩き回るのは、いかに金銀複本位制進めるかを披露している。たとえ金が少なくとも、バイメタルの他の金属の方が安く手に入りデフレ回避することができる。全体通して登場人物多く銀の靴魔力知らないドロシーが南の良い魔女グリンダに会うまで、銀の靴カンザスに帰らせてくれる力を持っていることを全く知らなかったボーム金銀複本位制経済危機解決することなど誰も知らないということ暗示していた可能性がある。ドロシーがかかとを3回鳴らすとカンザス帰れるが、「空中飛んでいる最中銀の靴砂漠脱げ落ち二度と見つからなかった」。銀の靴なくなったことは、1900年金銀複本位制次第衰えていく様子類似している。 魔法使いオズ王国国王で、19世紀のアメリカ合衆国大統領類似している。「全ては皆のために」が原則ありながら政治家多面的であると考えられている。偉大なオズの魔法使い謁見者と個々に、それぞれに合った容貌変身して会う。魔法使い願い叶えてもらうために一行再度戻ってくると、魔法使いというのはまやかしで、民衆偉大だ信じていたのは単なる普通の男」であることが判明するカカシは彼を詐欺師と呼ぶと、魔法使い悪びれもせずその通りだと語る。19世紀の政治家たちと同じよう魔法使い約束を守ることができない。のちに魔法使いは「どうして詐欺師になったというと、皆ができないことを私がやることができたから」とし、皆が騙されることを望んだから騙した語ったエメラルド都に向かう途中ドロシー農民象徴であるカカシ出会うカカシは頭にわらが詰まっていて脳がないことから自分をばかだと思い込んでいる。出版4年前の1896年シカゴ出身ジャーナリストのウィリアム・アレン・ホワイトは『カンザス何が問題か』という記事書いたこの中でホワイト西部農民無知怠惰経営能力がないことを暗示しアメリカにはホワイトカラー頭脳はあまり必要ないとなぜカンザス人々は不満と皮肉を込めて応えるのかと疑問呈したカカシ自分は脳がなく劣っている打ち明ける同年ホワイト民主党全国大会でのウィリアム・ジェニングス・ブライアン有名なCross of Gold speech記事執筆したブライアン農民のために戦いホワイト記事の「農民夜明け前始まり1日疲弊し春に始まり夏中疲弊しているが、国が富を作り出す天然資源として脳と筋肉備えることにより、穀物値段決め商務省労働者同等となる」という内容同じよう主張したブライアンアメリカ農民評価しているように、ボーム物語全体通してカカシ行動により、彼は本当賢く能力があると表現している。この物語最後にある通り、「農業は国にとって重要」であり農民政治的可能性明らかになり、無知であるという前提を覆させた。 次にドロシー黄色レンガ道で会うのは亡き東の悪い魔女からいたぶられてきたブリキ木こりである。彼は生身人間だった時にマンチキン少女家庭作るための資金得よう重労働していた。魔女が斧に魔法をかけ、手足切断され最終的には体もなくなる。切断されるたびにブリキ職人ブリキ補修しており体全体ブリキとなった時には心を入れ忘れたためもう人を愛せなくなってしまう。ブリキ木こり東部労働者階級表現している。19世紀労働者機械動かし続けなければいけなかった。東の悪い魔女は「人間でなく単なる労働者となったのだから機械のようにより速くよりいい仕事をやるがいい」と罵るブリキ木こり打たれ錆びつき、約1年そのままの形で固まってしまい、ドロシー関節に油をさして彼はようやく動けるようになるブリキ木こり固まっていた1年間は、1893年から1897年恐慌東部労働者階級失業期間を表現している。経済復興期のグロバー・クリーブランド大統領冷酷な拒否同様、ブリキ木こり助け求めても誰の耳にも届かないブリキ木こり1年間固まっていたが、その間人生考えるいい機会となったこの頃、彼は「これまでなくした最大のものは、心」であり、それなくして人を愛することできないことがわかる。ボーム東部労働者階級家族かえりみず働き続けたことをブリキ木こり表現している。19世紀進歩主義一部は、アメリカの生活の中心である家族再構築だった。東の悪い魔女暴言19世紀後期から20世紀初頭にかけてのウォール街東部大企業での実態描写している。 最後に一行参加したのは臆病なライオンである。人民党著名な政治家ウィリアム・ジェニングス・ブライアンモデルにしたとされている。6フィート(183cm)でガッチリしていた彼は心優しいことで知られ熱弁家でライオン吠え方に例えられた。物語通してボームカカシなど共感しやすい大衆向けキャラクターが多い中、ブライアン臆病に描いたことは奇妙であるとされる。しかし19世紀後期アメリカ帝国時代始まりスペインからグアムプエルトリコフィリピンのような国々支配を奪うのに苦慮していた。1898年米西戦争でのブライアン非暴力反帝国主義はしばし非国民または臆病と批判された。ボーム批判を一旦受け入れブライアン向けたライオン百獣の王だが、人の目を気にせず無駄な争い参入せず静観する勇気がある。臆病なライオンブリキ木こり関係性ブライアン東部労働者階級関係性類似している。彼らが出会った時、臆病なライオンブリキ木こりに鋭い爪で引っこうとするが、木こりが道に倒れている間、臆病なライオンはそのブリキ自体に驚く。これは1896年大統領選挙で、東部労働者階級雇用主によるウィリアム・マッキンリー投票するようにとのプレッシャーからブライアン得票できなかったことに言及している。ブライアン自身も「選挙キャンペーン中、直接的あるいは間接的にマッキンリーへの投票強制感じていた」と語った。ただし単に労働者階級印象残せなかっただけという意見もある。ブライアン吠え方が東部労働者階級印象残せなかったのと同様に臆病なライオンの爪はブリキ木こりに傷をつけることもなかった。 ボームおとぎ話19世紀後期から20世紀初頭にかけてのアメリカで多く解釈なされている。ドロシー忠実な仲間であるトトお酒飲んだことのない「Teetotaler 」に例えられる禁酒法支持者アルコール摂取違法あるべきだとみなし、19世紀後期人民党長年関連していた。この旅でトトドロシー後ろを「真面目に」(「Soberly 」は「しらふ」の意味も持つ)駆けていた。プレーンズ・インディアンと類似している飛ぶはかつて自由民だったが、西の悪い魔女奴隷のように扱われている。彼らを統治する者によって悪者になった良いになったりするが、彼らは単に国に所属しているためその地を離れることはできず、そのためアメリカン・インディアン例えられる西の国に住むイエロー・ウィンキーはゴールドラッシュ時代カリフォルニア州劣悪な環境奴隷のように働かされていたアジア人労働者表現したとされるオズの国に入る前にエメラルド輝き目が眩むのを防ぐためにサングラスかけさせるのは魔法使い同様にまやかしである。エメラルドの都は実際エメラルドでできたわけではなく単なる白い街で、緑色グラス通して見るため全てエメラルド色になる。これは色眼鏡で見ると、見たまま信じてしまうことを表現している。ボーム全米旅し19世紀様々な事件事故知り彼の周りから着想得て物語完成したボーム現代的おとぎ話である『オズの魔法使い』は東西の悪い魔女死にドロシートト魔法使いアメリカに戻るところで終わる。カカシエメラルドの都の当主引き受け農民が国にとって重要であることを示したブリキ木こり西の国産業もたらした臆病なライオンブライアン少数政治家率いてたように守り神となった。 リトルフィールドの主張同意する者もあるが、激し反対に遭っている。

※この「19世紀のアメリカ」の解説は、「オズの魔法使い」の解説の一部です。
「19世紀のアメリカ」を含む「オズの魔法使い」の記事については、「オズの魔法使い」の概要を参照ください。

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