人種・勢力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 08:46 UTC 版)
グール(Ghoul) 核爆発による高熱と放射線の影響で、遺伝子が変質した人間の総称。共通して皮膚が焼け爛れたような醜悪な外見となり、肉の腐ったような体臭に見舞われる。代わりに、肉体的な老化現象が抑制され、寿命が大幅に伸びている(なかには200年前の大戦時から現在も生き続けている者もいる)。放射線による害を受けず、下記のスーパーミュータントやフェラル・グールから敵視されていないため、過酷なウェイストランドでの生存能力は著しく高い。知性や精神は人間と変わらないが外見のために差別や迫害の対象となっており、それらの経緯から非グールの人間に恨みを持つ者も少なくない。忌み嫌う者からはその性質も含めてか「ゾンビ」などと呼ばれており、彼らにとっては最上級の蔑称である。対して、非グールの人間に対して「スムーズスキン」という蔑称を用いるグールもいる。モールの歴史博物館跡にグールだけの町を作り暮らしているが、彼らの間でも通常の人間社会と同様に様々な軋轢が存在している。 なお、知性が失われ凶暴化したフェラル・グール(Feral Ghoul)も無数に存在し、ウェイストランドに住まう人々の脅威になっており、これがさらに理性あるグールへの風当たりが強くなる原因にもなっている。こちらはかつて人口が密集していた都心部の廃墟、特に地下鉄に集中して生息している。 もはや別種であり、理性を持った通常のグールがフェラル化することなど無いのだが、理性のあるグールについても「脳が腐りいずれはフェラル化する」という偏見が一部で存在し、差別どころか問答無用で「害悪」と見なされることもある。 スーパーミュータント(Super Mutant) 2メートルを超す巨大な人間型の生命体。硬質化した黄緑色の皮膚に凶悪な人相が特徴で、極めて高い体力、防御力と放射線耐性を持つ。総じて知能は低く、仲間以外には見境なく襲いかかるほどに凶暴。しかし銃器をはじめ道具の扱いには長けており、非常に厄介。その正体は『Vault87』で核戦争後の世界でも生存できるヒューマノイド作成を目的とした実験の末路で、そこで研究された「FEVウイルス(Forced Evolutionary Virus)」に感染した人間の被験者を原初として、『Vault87』が温床となりキャピタル・ウェイストランド全土に大量発生したものである。性別の概念がなく生殖機能を持たないため、人間をさらい「FEVウイルス」に感染させてスーパーミュータント化させることで仲間を増やしている(しかしほとんどの者は人間を見つけ次第殺害しているようである)。番犬役としてケンタウロス(これはスーパーミュータントに進化し損ねた人間の成れの果てである)を連れて行動することが多く、同種だと思っているのかグールの事は襲わない。 多くのスーパーミュータントは群れで行動し仲間を攻撃することはないが、『ベヒモス』と呼ばれる超巨大なスーパーミュータントに限っては知能が完全に衰退しているためか、視界に入ったあらゆる生物を見境無く攻撃する。 ただしFallout 1および2で登場した西海岸のスーパーミュータントとは感染した「FEVウイルス」の種類が違うらしく、多少の差異が見られる。時々、通常の人間と同等の知能を保った者が現れ、そういった個体は仲間の行いを問題視しているが、同時に仲間から迫害される傾向にある。 ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel) 大戦以前、もしくは大戦時におけるテクノロジーや文化的遺産の捜索、回収を目的とした巨大な武装組織。遺産の調査・発掘を目的とした科学者とそれらの護衛および敵対者の排除を担う戦闘員で構成が二分されている。本部は西海岸にあり、各都市に支部が存在。キャピタル・ウェイストランドには2250年にエルダー・リオンズが廃墟であったペンタゴンを要塞化させて支部を設立。しかしこの地の悲惨な状況を見かねたリオンズが住民の保護を最優先にする決断をしたため、本来の任務は後回しの状態となっている。 これに対し本部は「リオンズのエルダーとしての地位は引き続き認めるものの、増援や物資の支援は一切行わない」という処分を下したため、現在ウェイストランドのブラザーフッドは孤立無援の状態にあり、更に組織内部でもリオンズの方針に反発した一派が造反し、精鋭の大部分を引き連れて『アウトキャスト』を名乗り組織を離れてしまう。このため、物資・人員共に常に困窮状態にあり、現地のウェイストランド人を徴用するなど異例の措置で欠員を補っている。しかし、ウェイストランド人兵は正規兵に比べて練度の低さが目立ち、戦力としては余り頼りにならないらしい。 戦闘員はほぼ全員がパワーアーマーを装着しているものの、そのほとんどが回収したものに応急修理を加えて再利用しているだけに過ぎず、度重なる使い回しの影響で性能の大きな劣化が目立ってきている。 ギャラクシー・ニュース・ラジオやリベット・シティとは協力体制にあるなど各地で高いプレゼンスを誇るが、要塞や主要機関・建造物の警護に人員を割いているためか定期巡回や地理探索は現在行っていないようである。 本来は核戦争直前、アメリカ政府が生物兵器を造ろうとした際に、被験者として選ばれた兵士達が蜂起したもの(Fallout 1)であり、エンクレイヴ、並びにスーパーミュータントとは深い因縁がある。 相対的に見てウェイストランド支部はかなりの穏健派であり、人員がアウトキャストに流れる原因を造り、その際に厳罰を与えなかった事等について内部での批判的意見も少なくない。また、組織としてはグールを敵視しており、穏健なウェイストランドの『ブラザーフッド』もまたグールに攻撃を加えていることがアンダーワールドの住人の台詞からうかがえる。 10年後となる『4』でも登場。マクソンがエルダーを襲名し意識改革を行った事が会話から窺えるが、これがなければ『3』での行動を「要塞に引きこもって力を誇示していただけ」と皮肉る姿も見られる。人造人間(Synth)を統括する秘密組織インスティチュート壊滅のためコモンウェルスへの遠征を進め、先遣隊としてコモンウェルスに入った一部のBoSが拠点を構えている。アウトキャスト(Outcast) エルダー・リオンズに反発し、袂を分った元ブラザーフッドのメンバーが設立した武装集団。変節者の集団という位置づけではあるが、組織の性質としてはこちらが本来のブラザーフッドに近い。リーダーは元パラディンのヘンリー・キャスディン。テクノロジーの発掘と回収が最優先事項で、それ以外は全て二の次というスタンスをとっている。教条主義的で酷薄な者が多く、ウェイストランドの住民を公然と蔑んだり、人命をも軽視する非情な性質を持つ。しかし基本的には中立組織であり、金属製品やハイテク機器を持っていくと他の物品との交換に応じてくれる。ブラザーフッドと違い定期的にウェイストランドを巡回している姿を見ることができる。黒と赤にカラーリングされたパワーアーマーが特徴。攻撃しない限り敵視もされないが、一度でも攻撃を受けたと判断されると以降は一方的に攻撃を仕掛けてくるようになる。なお、構成員たちはかつてブラザーフッドで精鋭として主力を担っていた者たちが主であり、少数ながら総じて戦闘員の練度は高い。 自分達こそが本当のブラザーフッドであると考えており、いずれはリオンズを糾弾して裁きを受けさせ、本隊に合流するという目的がある。 レイダー(Raider) ウェイストランドに散らばる無法者集団の総称。物品、あるいは食肉目当てで見境無く生物を襲う。略奪・強盗・拷問・殺人などの荒くれ者の集団だが、まとまった組織は持っていない。基本的に数人で襲い掛かってくるが、士気は低く、ある程度のダメージを負うと逃げ出したりする。プレイヤーにも会話や交渉の余地はなく、発見されれば問答無用で攻撃されることになる。例外として、パラダイスフォールズやピットにいる奴隷商人のレイダーは組織化されており、選択次第ではまともに会話を交わす事が出来る。 タロン社(Talon Company) 悪名高い傭兵企業で、所属する傭兵たちは全員社章の刻まれた黒の専用コンバットアーマーに身を包んでいる。金のためなら女子供まで殺害する極めてストレートな外道組織。都心部の廃墟や、郊外に点在する拠点を活動の場としている。レイダー同様出会い頭に攻撃を加えてくるが、より組織化されており、装備も強力。プレイヤーのカルマが善良な場合や、テンペニー関連のクエストを断った場合には首に賞金が懸けられ、以降ランダムに出現し命を狙われることとなる。日本語版では仕様上メガトンに家を持った時点でヒットマンが現れ、否応なく命を狙われることとなる。Companyには中隊という意味もある。 レギュレーター(Regulator) 揃いのコート、カウボーイハットという出で立ちの集団。いわば自警団で、悪党の退治を目的に活動している。タロン社とは逆に、プレイヤーのカルマが悪に傾いている場合に襲ってくる。Perkで彼らの一員となることができ、コートを貰えるほか、Karmaが悪属性のNPCを倒したときに手に入る指を買いとってもらうことができる。 エンクレイヴ(Enclave) 大戦直前、核戦争を予期した極右政治家や軍人、軍産複合体などの有力者が中心に結成した武装結社。中枢権力だけで核戦争をやり過ごし、その後に大陸へ帰還、合衆国を復活させようという目的で組織された。事前に海上油田や極秘の政府バンカーなど安全な場所に退避していたため核の被害を受けておらず、現在でも戦前からの技術を保持、発展させ続けている。組織の成り立ちは米政府とその軍隊を模しており、リーダーは『大統領』を自称している。その規模と統率性から正規の軍隊のようだが、本隊はFallout 2の時点で壊滅しているため、ゲーム中に登場するものはその残党である。ウェイストランドでは北西のレイヴンロックに拠点を持つ。合衆国全土の奪取、変異生物とみなしているスーパーミュータントやグール、ひいては合衆国再建の障害となるウェイストランド全住人の根絶を目的としている。戦闘員が装着するエンクレイヴ・パワーアーマーはエンクレイヴ独自開発の物で、戦前の技術で作られたブラザーフッドのそれよりも性能が高い。 連邦(Commonwealth) Dr.ジマーと、あるアンドロイドの出身とされる場所で、本編では名称のみの登場。the Pittでアッシャーが敵として認識している組織であることを話している。アンドロイド製造技術についてはほぼ生身の人間と変わらない仕様などエンクレイヴすら凌駕する技術を持つとされる。キャピタル・ウェイストランドから見て北部に位置するとされていたが、『4』において連邦の正体がかつてのマサチューセッツ州(Commonwealth of Massachusetts)であった事が判明する。
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