主人公・怨身忍者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 09:22 UTC 版)
カクゴ / 零鬼(れいき) 「零鬼編」「霞鬼編」「竜宮編」の主人公。怨身忍者「零鬼」に摩骸神変する。 大和民族から追われた化外の民の住まう「葉隠谷」に住む青年。弓矢や鉈での狩りを得意とする野生児。 葉隠衆は伊織を匿ったかどで浪人と民兵によって皆殺しにされてしまう。カクゴも惨死したが、突き刺された刃物を吸収して怨身忍者として蘇り、覇府に反逆する。伊織は同志であり、また彼女に惚れているが、身分の差で結ばれないことも理解している。 装備している大鉈と脛当は、真田幸村が葉隠谷に贈った業物。鉈での攻撃に加えて、髪で切り裂く「忍法笹掻き」や、髪の針撃ち技を多用する。伐斬羅の血を発火させることも可能。 憐(れん) / 震鬼(しんき) 「震鬼編」の主人公。怨身忍者「震鬼」に変身する。震動を起こして熱を発生させることができる。 ヤクザ者である動地一家の忘八。板倉宿の風呂屋の主。巨体に無数の傷跡がある。二十人力と評される剛力の持ち主。得物は持たない主義。 豊臣秀頼の落胤狩りに関わったことで釜茹でにかけられ刑死したが、熱釜の破片を取り込んで、怨身忍者として蘇る。 六花(りっか) / 雪鬼(せっき) 「雪鬼編」の主人公。怨身忍者「雪鬼」に変身する。冷気を操ることができる。 飛州出羽国雪深き「初夜ノ森」出身。まつろわぬ民の末裔の少女。世間知らずで言葉も拙い。体格はかなり小柄。 森の外には居場所がなく、知り合った浪人の深見権九郎(阿修羅丸)と共に暮らすようになる。だが権九郎を追ってきた覇府の武士の猛毒に巻き込まれ、山まるごと殺されてしまう。凍った病樹をまとい蘇り、この樹を圧縮して怨身忍者の姿となる。 波裸羅(はらら) / 霞鬼(げき) 「霞鬼編」の主人公・敵。「霞鬼」に変身するが、家康側に与する。異常出生の逸話をもつ両性具有者で、「現人鬼(あらひとおに)」の異名をとる。 志摩国は石鏡の漁村出身で、身ごもっていた母もろとも殺されるも、龍と出遭い、突き刺された刃物を吸収して蘇生した。常に不敵な態度で、武技は無双を誇り、化身せずとも人体をたやすく断ち切る。武器は胴田貫の太刀。 型破りにして孤高。あまりにも破天荒すぎて、志摩城主の守隆では御し切れなかった。出生ゆえに、下位身分の少数者に寄ってたかって暴力をふるう「民草」の者たちを嫌悪している。桃太郎に敬意を抱いており桃太郎からも「現人鬼、その美しさ鬼とは呼べぬ」と評されたが、零鬼との対戦の後に桃太郎と実際に対面して端麗人(≒不老不死)のことを聞くと思うものがあったようで後に桃太郎配下の累人と対立、反逆している。 猛丸(タケル) / 霹鬼(ひゃっき・ヒャッキー) 「霹鬼編」の主人公の1人。シーサーの化身たる「霹鬼」の姿をもち、犬養幻之介と怨身融合を果たし、完全な怨身忍者となる。 九十九御城の按司やニライカナイの戦士を名乗る、碧眼の美童。琉球方言で喋り、一人称は「ワー(俺)」。 奴婢として生まれたが脱して、自分達が暮らせる集落を築いたという経歴がある。ゆえに身分という檻に縛られることがない。 伐斬羅の血液を硬質化させて、飛び道具や鉤爪として用いることができる。 明石レジイナ / 雹鬼(ひょうき) 「雹鬼編」の主人公であり、「宮本武蔵編」の敵。豊臣方のキリシタン武将である明石全登(洗礼名ジュスト)の姫。 素性を徳川方に偽り落ち延びたものの見抜かれ、父と家臣達を殺され、自身も責め殺されたところで龍に出遭い、怨身忍者として蘇生した。 責め苦を受けた際に、胸に十字架形の生傷を刻まれ、両手の爪は剥がされた。その指先から呪いを帯びた「鬼の爪」を発射して攻撃する。 怨身忍者となった事実を、信仰と神による地獄堕ちと認識しており、家康派と尖兵の薩摩武士を滅ぼすべく行動する。その際には家臣三人と父に鬼の血を与え、眷属として蘇生させた。 雑誌掲載時は瞳が描かれないシーンが多く、また大人びた容姿であった。明石全登の子女として記録にある人物。 ツムグ / 霧鬼(むき) 「霧鬼編」の主人公。怨身忍者「霧鬼」に変身し、さらに巨具足「舞六剣」を従える。 朝鮮奴僕の少年。背に仏の刺青が掘られている。同胞の死を頼水に侮辱され、また彼がテヤンを攫った犯人と知り、対決するも敗死する。骸は舞六剣に咀嚼されて武田信玄の兜・軍扇と融合して霧鬼として蘇り、舞六剣の新たな主となる。 雑誌掲載時は朝鮮語名「チグム」、和名「ツムグ」とされていた。 谷衛成(たに これなり) / 霓鬼(げいき) 「霓鬼編」の主人公であり、「沖田総司編」の敵。眼鏡の武士。徳川の刀剣鑑定を務めており、剣技は作中白眉を誇る。「兜首落面割重ね胴截断」「土塀越し四ツ胴截断」等の剣技は、試し切りの成果として刀の銘に刻まれるもの。 高潔な人間性を持ち、権力者の指示で剣を振るい人の命を奪う行為に、葛藤を抱いていた。虹鬼の血を浴びて怨身の鬼と化したことをきっかけに、己の正義に従って江戸の旗本を斬り殺し回っている。服部半蔵の調査によって、幕臣でありながら鬼であるという秘密が暴かれ、討伐にやって来た総司と対決。壮絶な戦いの末に総司に敗れて散る。 霓鬼は左右非対称の体の鬼。熱血の異能を補助に、もっぱら剣技で戦う。霓鬼の刀には、柄頭に回転式の刃がついている。 雑誌掲載時の名の読みは「もりなり」。 雀(すずめ) / 虹鬼(ななき) 「霓鬼編」の主人公の一人であり、「沖田総司編」の敵。小柄な少女。舌が無いため会話することができず、また全身には無数の傷跡がある。これらの負傷は、武家奉公での粗相の咎として、舌切り雀になぞらえて舌を切られ、さらに衛成に「古代の銅剣」で斬られて全身をバラバラに切断されたゆえのもの。鬼として蘇り、衛成を同族の鬼に変えた。さらに騙されて毒殺されかけ、完全に覇府を敵視する。 武芸ならぬ鬼の異能だけで柳生宗矩を圧倒し、攻略不能と追い詰める。だが乱入した桃太郎の圧倒的武力に、身体を引きちぎられて敗北。蘇生の可能性もあったが、桃太郎が宗矩に授けた知恵により封じられ、完全に絶命した。 鬼として、火炎を吐く異能を有する。四足獣のような鬼の形態と、雀の人型、そして両者の中間態を自在に使い分ける。 雑誌掲載時の名の読みは「こうき」。 黒須京馬(くろす きょうま) / 雷鬼(らいき) 「雷鬼編」の主人公。真田十勇士に次ぐ忍者で十勇士からは弟分として扱われている。大坂の陣では豊臣方の弟・幸村ではなく、徳川方の兄・信之に与していた。元は備中生まれで、雷厄を呼ぶと忌まれていた家の子供。己を殺して本音を全く語らず、十勇士を冷徹に敵と呼ぶが、心では兄達と強く慕う。己の望みを「稲妻となり砕け散ること」と称し、鬼哭隊上泉信綱に挑戦する。 十勇士の遺骸を移植したことで十忍法を会得し、また信綱がかつて狩った鬼の皮革を纏って雷鬼となる。雷鬼のカラーは赤鬼(9巻表紙)と青鬼(雑誌カラー)の二色がある。 兵藤 伊織(ひょうどう いおり) 「零鬼編」から、主にカクゴと共に登場する。足軽の娘。実は真田幸村の落胤らしい。 武芸の心得がある。武士の娘としての誇りと義を重んじており、教条的な事柄を重んじる。凄むと口調が荒っぽくなる。気持ちの上ではカクゴを憎からず思い、また身分の差という隔たりを前にして揺れ動いている。 「霞鬼編」では、現人鬼・波裸羅と戦い、龍の力を以って一旦は退ける。後に波裸羅が翻意しカクゴと和解した際に徳川を打ち倒すべく共闘を要請する。 銀狐(ぎんこ) 「震鬼編」に登場。大坂城奥御殿女中九尾組(女中を兼ねたくノ一)。 行き倒れていたところを憐に助けられ、その器量に惚れた彼と結婚する。覇府に「豊臣の落胤」としてを狙われ、忍法で奮闘するも、吉備津彦命の放った魔弓石女の矢(まきゅううまずめのや)に射抜かれて石像になってしまう。「竜宮編」にて石化を解かれて蘇り、竜宮でアメノウズメの舞を踊る。 テヤン / てや 「霧鬼編」に登場。朝鮮奴僕の少女。右頬にほくろがある。身内からは「テヤン」(太陽=태양という意味)、倭人からは「てや」と呼ばれる。 諏訪頼水に見初められ愛妾となり、信玄の七星軍扇を用いて舞六剣起動の儀式を行ったところ、山本勘助に憑依されて人格が変貌する。勘助憑依後は右眼を閉じており、また右足がもげたため義足になった。舞六剣の復活以後ツムグと行動を共にする。 舞六剣(ぶろっけん) 武田信玄の巨具足。「霞鬼編」にて存在が言及され、「霧鬼編」=『人間城ブロッケン』にて登場。 山本勘助の作。武田の家訓「人は城」を体現させ、「人間城」の異名をとる規格外の超巨具足。三方ヶ原の戦いにて、家康の金陀美を敗走せしめた。勘助は天下人だろうが止められないと自信がある。 信玄亡き後は諏訪湖に眠っていた(伊織には琵琶湖に眠っていると伝わっていた)が、信玄の兜と軍扇を用いた復活の儀式を経て胴体が起動し、信玄の乗馬「鬼鹿毛」(おにかげ)が変形した頭部と合体して完全になる。
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