ボアザン星間帝国
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「超電磁マシーン ボルテスV」の記事における「ボアザン星間帝国」の解説
プリンス・ハイネル 声 - 市川治 ボアザン帝国の皇子。敬称は「殿下」。長浜忠夫によると、宝塚歌劇をヒントにした「女のように薫り立つような趣きを漂わせながらも、きりりとした顔つきの美少年」。二本角のモチーフは孤高の聖獣であるユニコーン であり、角ある者は貴族であるというボアザンの格式に則った貴族の誇りを持つ人物。ラ・ゴールが労奴に落とされた後に生まれ、母の早世後は母方の祖父母に育てられたため、自身は父を知らず、ラ・ゴールも息子の存在を知らない。 皇帝ザンバジルは妾腹である自分の地位が正統な血筋のハイネルに脅かされることを恐れ、ボアザン帝国地球征服軍司令官という、ボアザンにしてみれば辺境の危険な任務につかせてしまう。幼い頃から「謀叛人の子」としてことあるごとに迫害を受けていたハイネルは、ザンバジルの企みを知らず、この戦いによって自身のボアザン帝国への忠誠心を証明しようとこの任務を意気揚々と受け、地球にやってくる。しかしボルテスの反撃に苦戦、その失敗を理由に皇帝派のド・ズールやド・ベルガンからもその地位や命までも脅かされる。 角の無い地球人を下等扱いしているため、地球人には愛が存在することを簡単には信じなかった。 物語終盤でベルガンが伝えた皇帝の勅命により、司令官を解任され地球に1人取り残されるが、ジャンギャルの犠牲とカザリーンの手引きによってボアザン星に帰還する。全てを諦めて2人で生きていこうと言うカザリーンの説得をことごとく退き、貴族としての責務を果たすために王城「黄金城」へと向かう。反乱軍の襲撃により逃げ出す貴族たちを叱責するが、混乱した貴族は逆にハイネルを撃ってしまう。カザリーンが身を挺して庇ってハイネルの命を救うが、ハイネルは貴族として死してもボアザン星を守ろうと心に決める。そしてボアザンの古い言い伝えにある守護神ゴードルの炎に身を投じ、ゴードルを駆ってボルテスと一騎討ちをする。ゴードルとボルテスが相討ちで倒れた後にも、生身で健一と戦い続けるが、その時に持っていた父の形見の短剣から、共にラ・ゴールの息子であり、剛三兄弟の異母兄であることが判明、父と弟を敵として戦い続けてきたと知り、愕然として「何たる運命の悪戯だ、兄弟同士が血で血を洗う戦いをして来たというのか」と呟く。その後、自らの政権が崩壊したことで錯乱し、自分に全責任を押し付けたザンバジルを形見の短剣で誅殺する。その際、ザンバジルが手にしていた爆弾の爆風から健一を庇うも、黄金城の崩壊に巻き込まれ、最期は涙ながらにラ・ゴールを「お父さん…」と呼び、炎の中に消える。 同じく市川の演じた『勇者ライディーン』のプリンス=シャーキン、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の大将軍ガルーダ、『闘将ダイモス』のリヒテルにならぶ美形悪役とされる。 名前の由来は「ユアハイネス(your highness)」から。 リー・カザリーン 声 - 小原乃梨子 ハイネルの側近の一人。貴族らしい物腰の美女。科学者として随行し、新兵器や獣士の素体開発を担当している。ハイネルの乳母がカザリーンの母であり、ハイネルの乳兄弟として幼い頃より共に育ち、ハイネルを愛している。司令官を解任されたハイネルを連れてボアザン星に帰還した後、これ以上の戦いは無意味とハイネルを説得する。しかし、貴族の誇りと責務を捨てきれず戦いに身を投じんとするハイネルを追った末、黄金城での決戦の混乱の中、逃走を試みる貴族に銃を向けられたハイネルを庇って撃たれ死亡する。設定上のフルネームはリー・カザリーン・ド・ファロア。 未放映シナリオでは、角のないリー・マリーン・ド・ファロアという妹がいて、カザリーン出征後労奴に落とされ、後に地球に逃亡、健一と淡いロマンスを繰り広げる、という話もあった。 角のモチーフは昆虫の触角(側頭部から二本角)。角に引っかけてベールを垂らしている。 ルイ・ジャンギャル 声 - 飯塚昭三 ハイネルの側近の一人。ボアザン貴族にはふさわしからぬ粗暴な性格で、赤ら顔の大男。ハイネルに忠誠を誓う武人であるが、「虫けら」である地球人相手ならば卑怯な手段も構わないと考えていたようであり、人質をとったり、音声変換でラ・ゴールを装ったりもする。本来は謀略と無縁の職務に忠実な軍人であり、ハイネルの父が誰であろうと、皇帝の思惑がどうであろうと、ハイネルの補佐が職務であるとしてそれらを意に介さない。一方で物事にこだわる性格でもあるらしく、第32話で捕虜になりかけた際、剛健太郎がボアザン星人である事や健一達三兄弟がボアザン星人の血を引く事実をボアザン軍で最初に知ることとなり、確証を得ようと第33話で鎧獣士を介してボアザネリア菌(ボアザン星人ならば免疫を持っている病原体)を使った。第37話でベルガンに兵士を全て引き揚げられてしまい、単独でボルテスに挑み、敗北後もハイネル撤退の時間稼ぎのため自らボルテスメンバーと戦い、降伏を潔しとせず自ら命を絶つ。その直前、健一らに健太郎がボアザン星に拉致されたことを伝える。 角のモチーフはその性格、風貌同様、荒々しい野牛。ただし、額からも角が生えている三本角。 ド・ズール 声 - 増岡弘、徳丸完(スーパーロボット大戦シリーズでの代役) ハイネルの側近の一人で、短身痩躯の老人。角は額に1本。カザリーン同様に優秀な科学者で、施設、要塞の建造や獣士の製造を担当している。実はザンバジルがハイネルを失脚させるために送り込んだ間諜。策を弄してラ・ゴールを捕らえたり、ハイネルを暗殺しようとしたりするが、それらの計画は露見し、第22話でハイネルに最後通告を突きつけられる。進退窮まったズールは、ボルテスチームに投降するふりをして地底城に彼らを招き、ハイネルと相討ちさせようと企むが、ハイネルは最初から裏切り者を赦すつもりはなかった上に計画も既に見抜かれていたため、逆に待ち構えていたハイネル達に処刑される。この時のハイネルの怒りは凄まじく、ド・ズールに関係するものは写真・遺品に至るまでことごとく処分された。 角のモチーフは爬虫類(額から一本角)。 ド・ベルガン 声 - 内海賢二 第24話から登場。マキシンガル合金をもたらしたボアザンの将軍。同じ合金製の鎧で身を包んでいる。兜には面当てもついているが、初登場回のみの使用で、あとはずっと素顔を晒している。地球征服軍司令官の地位を狙っており、その地位と引き換えに、ハイネル暗殺の密命を皇帝から受けていた。しかし、マキシンガル合金製の獣士が敗れて自らの地位が危うくなると、皇帝の密命をハイネルに暴露し、引き換えに失敗を帳消しにしてもらおうとし、結果的にハイネルの腹心となる。しかしそれも結局は上辺だけのものであり、第37話で皇帝の勅命としてハイネルを解任、全ての戦力を引き揚げる。その後、追撃をしてきたボルテスと戦い、ザルタンもろとも地獄へ落ちる。 ド・ズールの実弟(もしくは従兄弟)という裏設定があるが、作中では特に触れられていない。卑劣な人物ではあるものの、初登場時にいきり立つボルテスチームを余裕をもって捌くなど、ある程度の度量はある。めぐみが放った手裏剣を皇帝から下賜された懐中時計が防いで命を救われた際に見せた感謝など、皇帝への忠誠心は芯からのものである。武器として両刃の槍を用いる。 一度も兜を外すことがないため、角の形状は不明。 ザキ侯爵 声 - 大木民夫 第8話に登場する、皇帝ザンバジルの懐刀。表向き督戦の勅使として地球にやって来るが、皇帝の内意を受けハイネルを死地に追いやるのが真の目的である。地球征服が遅々として進まないハイネルを臣下の面前で痛罵して辱め、欠陥のある獣士ガルゴーに搭乗して直接ボルテスと戦うよう仕向け、戦死を狙うが、計画はカザリーンに察知され、ハイネルは戦いを優位に進める。最期は搭乗していた円盤をボルテスに引きずり下ろされ、ガルゴーへの盾にされて爆死、母星には「名誉の戦死」として報告される。 グルル将軍 声 - 塩見竜介、西村知道(スーパーロボット大戦シリーズでの代役) 皇帝派の将軍。ベルガンとともに皇帝の勅命を伝えハイネルを解任する。その後、皇帝から大軍勢を預かるが、ボアザン星上空での戦闘でザルタンもろとも爆死する。ボルテスVの迎撃を命じられて臆するなど、軍人としての才覚には乏しい模様である。 ギルオン 声 - 黒部鉄(現:屋良有作) 第29話に登場する剣闘士。奴隷の両親の下に生まれたため、本人は角があっても差別される階級であり、剣闘士となる。ダンゲ将軍の捕獲を目論むハイネルによって鎧獣士に取り立てられ、ベルガンの指揮下で出撃する。健一からダンゲの死を知らされた後も正々堂々とボルテスチームに挑むが敗北、地底城に帰還するも裏切り者として処断される。当初の処分は裏切り者として鎧獣士の資格剥奪を言い渡されただけであったが、死者の尊厳を重んじる性格から、死んだダンゲの遺体を持ち帰らなかったことについてハイネルに抗弁、死刑を申し渡され、鎧獣士ザルザによって銃殺される。ダンゲの部下として戦いたいかったとの望みを語り、死に際してダンゲを賛美しつつ息絶える。彼の処刑にカザリーンは顔をそむけ、ジャンギャルもやり過ぎであるといった表情を見せる。 兵士 貴族の周囲や本国に配置されている。その姿は完全に甲冑に覆われており素顔を見せない。兜には角の意匠がある。元は労奴階級の者を洗脳した存在であるが、ギルオンのように労奴から志願した者もいる。 皇帝ズ・ザンバジル 声 - 寺島幹夫 ボアザン星間帝国第124代皇帝。先代皇帝と腰元との間に生まれた妾腹の子であるため、周囲の冷たい視線を浴びて育ってきた。それ故に周囲への深い怨念と鬱屈した性格を持つに至り、先の皇帝が死去した時点で最も優位な皇位継承権を持つラ・ゴールを妬み、5人の腹心の軍人に命じて密かに工作し、そのうちの一人がロザリアの前で人工の角を取るラ・ゴールの姿を目撃、また人工の角を付ける手術を行った医師バルムらを拷問してその事実を訊き出した。こうしてラ・ゴールに角がないことを突き止め、戴冠式の際にそれを暴露、ラ・ゴールを失脚させて皇帝の座に就く。その後は晴れることのない怨念をぶつける形で、過激な軍事拡大路線を展開し、地球など他星侵略を進めた。 ラ・ゴールを労奴に落としたものの、その息子ハイネルには角があったため、ザンバジルはその座を脅かされる可能性があった。そのためハイネルを地球征服軍司令官に任命し、あわよくば戦死してくれることを望む。ド・ズールやド・ベルガンはそのために遣わされた皇帝側の部下であり、機会をうかがって暗殺することすら想定の範囲内であった。 黄金城に住み、労奴階級からの搾取によって豪華な生活を営む。ボアザン星には一定の確率で角のない者が生まれるため、それらを労奴としており、また角のない労奴同士の子供に角があっても闘奴や兵卒にしかなれない。帝国のさらなる繁栄のために労働力を求めて、他星を侵略していたようである。ボアザン帝国では、こうした差別に不満・憎悪をいだく労奴や、他星への侵略をよしとしない和平派が、ラ・ゴールに限らず多く存在していて、ボアザン貴族社会は揺らぎ始めていた。最後はボルテスのボアザン本星侵攻と時を同じくして起こった労奴の大反乱により、旧体制は一気に崩壊する。黄金城へと近付く革命の足音により皇帝の誇りも正気も失い、ハイネルに地球侵略の全責任を転嫁したため、貴族のプライドを傷付けられたハイネルにより短剣を突き立てられ、その直後自らが手にしていた爆弾により爆死。それまで「叔父上」と呼び敬っていたハイネルは、その見苦しい狂態に「余はこんな蛆虫のために戦っていたのか」と呟いている。
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