ディビジョンM所属者
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真理子・ローズバンク(まりこ・ローズバンク、ディビジョンM指揮官) 本作の主人公。通称は「マリー」。物語開始時点で26歳の女性。日本人だが米国人男性と結婚して米国籍となっている。旧姓は森永。夫ハロルドと息子ティミーを失い、自らも瀕死の重傷を負ったシドニー空港での爆弾テロを契機に「CAT」に入隊。CAT内でトップクラスの実績を残すチーム・ディビジョンMを率いテロ撲滅に執念を燃やす。テロに対する感情が昂ぶると、テロで負った胸元の薔薇形の傷跡 が紅く染まる。 連載開始当初は暗い過去を引きずり独善的な面も描かれたが、中盤以降は明るく優しく有能な理想的指揮官として描かれる。過去の実績、指導力などからほぼ全ての隊員から絶対的な信頼を受けており、また他のディビジョンの兵士達からも「薔薇のマリー」と敬愛され、またCAT上層部の信頼も厚い。過去の悲惨な体験からテロを憎む気持ちは人一倍強く、テロリストに対する容赦は全くない。一方で、最終話では「私がここまで頑張れたのはたくさんの仲間がいたから」と涙ながらに感謝する場面も見られる。 物語序盤は「真理子・ローズバンク、ニックネームはマリー」と名乗っていたが、途中から書類上でも「マリー・ローズバンク」と名乗るようになり、書類上の情報しか入手していなかった学生時代の友人と偶然出会った時も困惑され、マリーをヨーロッパ系アメリカ人女性だと思っていた人物もいる。日本には父と姉たちがいるが、母は幼少時に死亡。家族にはアメリカの情報処理会社で勤務していることにしており、自分が「CAT」にいることを内緒にしている。訓練所時代からの親友ヘルガが亡命する際に持ち出せた、数少ない所持品である彼女の置時計を大切にしている。 グリフォンが爆死した筈の最愛の夫ハロルドだと知り心が砕けそうなショックに襲われるが、投降し罪を償うよう進言したもののグリフォンはそれを拒否したため、テロリストとして倒した。彼を倒したらテロとの戦いから退くつもりだったが、仲間と共にその後もテロと戦い続けることを選ぶ。 ヘルガ・ミッターマイヤー 旧東ドイツ出身。長い黒髪と鋭い目つきが印象的な女性。デライラと並んで、かなりのヘビースモーカーである。 ディビジョンM副官。肝が据わり行動力に富むだけではなく、自他共に厳しく冷徹な言動から「鉄の処女(アイアン・メイデン)」と呼ばれる。その反面、血の気が多く直情径行に走る一面もある。戦闘力は高く作戦中は率先して前線に赴くことが多い。 親友であるマリーの最大の理解者であり、また親愛の情も強く、公私に渡る強い支えになっている。隊長であるマリーをファーストネームで呼ぶことはヘルガにのみ許されており、他の隊員達は「隊長」または「コマンダー」と呼ぶことが、ディビジョンM内での暗黙の了解となっている。 タス通信の東ベルリン支局に勤務していたが、結婚相手のウォルター・ヘインズがアメリカの情報機関員であったため、結婚式当日にへインズが射殺される惨状を目の当たりにする。自身もスパイ行為の嫌疑をかけられ過酷な取り調べを受けたことや、親友でルームメイトであった女性がKGBの監視員であったことから東ドイツに嫌気がさし、ベルリンの壁の検問所を強行突破して西側に亡命(その際に重傷を負ってヘインズの子を流産)。CAT訓練所での厳しい訓練を通じて同期マリーとは無二の親友となる。訓練所卒業後はマリーとは別の部隊に配属されていたが、後にディビジョンMの新設時に副官として着任した。マリーが作戦中に隊と離散した時とマリーが負傷入院したときの2回、作戦指揮を執ったことがある(1回目はデライラと対立しそうになったが、2回目は臨時の指揮官として的確に役目を果たした)。作戦中に心停止し死亡しかかった事があるが、同行していた優秀な女性外科医とアイリーンの手による心臓マッサージ によって蘇生した。 アイリーン・サンダース 第一分隊・突撃分隊長。高給に引かれてのCAT入隊後、子供を巻き込んだあるテロ事件からテロへの嫌悪を募らせて撲滅に心底から注力するようになった女性隊員。小柄な体格ながら気性は荒く口も悪いため、非協力的な関係者などには率先して食ってかかったりもする。プライベートでの異性交遊も奔放で、しばしば相手が変わっている。しかし根は優しく責任感が強く、結婚に憧れる女性らしい一面も見られる。CAT入隊当初、問題のある隊員が多く所属するクィンシー隊長のディビジョンQにデライラと共に配属されていた。ディビジョンMに異動後は、マリーの優しさや部下への信頼を受けて、彼女に対して絶対の信頼を置くようになる。入隊前はアメリカ海兵隊の航空部隊に所属していた経験から、ヘリコプターやビジネスジェット機など、あらゆる航空機の操縦を得意とする。 デライラ・カンクネン 第二分隊・後方支援分隊長。スウェーデン出身で、元ファッションモデルの女性隊員。通称は「デラ」。常にサングラスを掛けており、長身で威圧感がある。アイリーンとの会話から男性関係は希薄と推察される。共にディビジョンQからディビジョンMへ異動してきたアイリーンとは、一見仲が悪そうだが大の親友であり互いに信頼し合っている。昼間からウォッカをストレートであおりながらギ・ド・モーパッサンやスタンダールを読むなどの孤独癖等から、アイリーンと同様に問題児扱いされていた。ディビジョンMに配属後は経緯は不明ながらも「隊長に対して銃口を向ければ大統領であれ引鉄を引く」というセリフが示すように、強い信頼を置くようになった。軽量で制御の難しいマイクロ・ウージーで正確な射撃をするなど射撃能力が高く、作戦中は狙撃手を任されることが多い。 鈴龍姫(りん りゅうひ) ディビジョンM結成当初に新入隊員として配属された生え抜き隊員。普段は料理好きで少女趣味の若い女性で、幼く見える素振りや容姿からは想像も出来ないが、香港の「白九龍(ぱいくーろん)」と呼ばれる闇組織出身の女性隊員。香港を出て「CAT」に入隊。経歴が連続しているかは不明。通称は「リン」であり、ディビジョンMの中でただ一人ファミリーネーム(名字)で呼ばれている。白九龍時代の刺姫(女性の刺客)としての教育により、格闘技や毒物についての専門家であり、髪や体に様々な暗器を隠し持つ。白九龍とは現在でも友好関係を保っており、ディビジョンMの作戦を数回、後方支援的に補佐してもらっている。 コリーン・アンダーソン 15歳で博士課程に進み、CATで唯一理系博士号を持つ女性隊員。理系専攻であるため科学や数学は得意だが、歴史や哲学などは大の苦手である。作戦時は主にジェシカと共に爆発物処理を担当する。あらゆる爆発物に関する知識を有し、技術的にはジェシカに及ばないものの、体系立てた知識では右に出る者はいない。爆弾を解体をした時に性的な快感を得ると告白している。 また温和で機転の利く聡明な性格から、ディビジョンMの参謀役も担う。マリーとは彼女が副隊長を務めていたディビジョンSの頃からの付き合いで、ディビジョンSの隊長が引退し、新たにマリーがディビジョンMとして隊を引き継いだ際に、多くの隊員がマリーとの信頼関係を築けず除隊する中、彼女とジェシカだけが残留した。「CATの仕事をしていると特定の男性とのお付き合いは難しい」という趣旨の発言をしていることから、付き合っている男性はいない模様。 ジェシカ・クレアキン 旧ソビエト連邦陸軍から亡命してきた女性隊員。コリーン同様爆発物処理のエキスパートであり、その技術は男性部隊も含めたCATのトップクラス。また並の男性よりもはるかに体格が良く力も強いため、男性にも負けない力仕事に駆り出されることもある(作中ではドアノブを引き抜いたり、プール排水溝の激流に飲み込まれかけた2頭のイルカを鷲掴みにしたまま耐え切るなど)。コリーンと共に前の部隊から残留。“赤い星のガリル”事件では、衛星通信を介して嘗ての僚友ユーリ・ソボロフと爆弾解体に臨んだ。温厚かつ冷静な性格で、時にはトラブルの火種になるアイリーンとデライラや、直情径行な一面があるヘルガを抑える役割も担う。 キム・ヴァスケス 米海兵隊出身の女性隊員。湾岸戦争時に、兵士が残していった武器をおもちゃにして遊んでいた子供を、誤って射殺してしまった過去を持つ。軍法会議にてパトロール中の事故と判決が下り無罪となるも、告発したのが元恋人の男性であったため、一時期男性不信に陥っていた。新兵訓練でディビジョンMに割り当てられ、入隊後は正式にディビジョンMの配属となる。 ジェニー・クレール / ジャン・クロード・クレール CAT予備役となっているカメラマン。AFFによるロンドンで起きた動物テロ事件にゲストとしてディビジョンMに参加した。サファリ経験がありナイフ戦でヘルガに勝つなど腕利きだが、実は元男性。4年前にアフリカの作戦で全滅したセクションM(男性部隊)ディビジョンRのメンバーだったが、呪術で魂を入れ替えられた動物と相討ちになり人間側の女性の身体に宿ってしまう。身体の持ち主・キャサリンと徐々に同化していると語る。 エレノア・パーカー アイリーンやデライラと同じく、解体されたディビジョンQから、創立直後のディビジョンMへと配属になった女性隊員。ディビジョンQでは隊長であるクィンシーに役立たずの烙印を押され、日常的に暴力を受けていたために常にビクビクと怯える癖が付いてしまった。作戦時は、邪魔になったらいつでも処分できるという意味で首から手榴弾をぶら下げるようにも強制されており、チームのストレスを下げるのに役に立っていたらしい。エレノア本人もヘタに怪我をするよりは死亡した方が保険金がたくさん出て弟や妹に十分な教育を受けさせることができると、これをお守りとして受け入れていた。数年後の現在はCATの補給部主任となり、前線からは離れている。
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