珠とは? わかりやすく解説

たま【玉/球/珠】

読み方:たま

【一】[名]

球体楕円体、またはそれに類した形のもの。

球形をなすもの。「—の汗」「露の—」「目の—」

丸くとめられひとかたまり。「毛糸の—」「うどんの—」

レンズ。「眼鏡の—をぬぐう」「長い—で撮る」

㋓(球)球技などに用いボール。まり。また、投球などの種類。「遅い—」「—を打つ」「—をとる」

㋔(球)玉突きの球。転じてビリヤードや、そのゲームをいう。「友人と—を突く」

㋕(球)電球。「切れた—を取り替える

そろばんで、はじく丸い粒。そろばんだま。「帳簿開いて—を置く」

㋗(「弾」「弾丸」とも書く)銃砲弾丸(だんがん)。「—が飛びかう」「—を込める」

鶏卵玉子。「掻(か)き—」

㋐丸い形の美しい石の総称宝石真珠など。「—を磨く」「—で飾る」

きわめて大切に思う貴重なもの。「掌中の—」

張りがあって美しく清らかなもの。「—の肌」

人を丸め込むために策略の手段として使う品物現金。「ゴルフ会員権贈賄の—に使う」

美しい女性。また、転じて芸者遊女。「上—」

あざけり気持ちで、人をその程度人物であるときめつける語。やつ。「あいつもたいした—だよ」

《「金玉(きんたま)」の略》睾丸(こうがん)。

紋所の名。2㋐を図案化したもの

【二】[接頭]名詞に付く。

神事高貴な物事付いて、それを褒めたたえる意を添える。「—垣」「—襷(だすき)」

玉のように美しいもの、玉をちりばめたものなどの意を添える。「—」「—櫛笥(くしげ)」

[下接句] 傷無き玉・傷玉・衣(ころも)の裏の珠・掌中の珠・掌(たなごころ)の玉・手内の珠・驪竜(りりょう)頷下(がんか)の珠・連城の璧(たま)


しゅ【珠】

読み方:しゅ

常用漢字] [音]シュ(呉)(漢) [訓]たま

貝の中にできる丸い玉。「珠玉真珠(しんじゅ)」

真珠似た丸い粒。「珠算念珠(ねんじゅ)・連珠(れんじゅ)」

名のり]み

難読擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうし)・数珠(じゅず・ずず)


玉(珠)

1.つねに身につけている玉(珠)。

紅楼夢貴族賈家誕生した若君は、母の胎内から生まれおちる時、五色透き通った美玉を口に含んでいた。それゆえ若君は「宝玉」と名づけられた。賈宝玉はその玉を組紐で頸にかけ、親族召使など大勢美女取り巻かれ暮らした10代のある時、彼は玉を紛失して痴呆状態になったしばらくして不思議な僧が訪れて賈宝玉に玉を返し、彼は正気戻った〔*やがて賈家没落し宝玉19歳出家して行方知れずになった〕。

南総里見八犬伝 八犬士たちは、「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の珠を、1つずつ身につけていた。誕生時から「仁」の珠を掌に握っていた(犬江親兵衛)、胞衣埋めるために地を掘ると「義」の珠があった(犬川荘介)、誕生時得た神社小石が「礼」の珠だった(犬村大角)、流星のごとく「智」の珠が母の懐に入った犬坂毛野)、などの経緯で、珠は士たちの所有となった。珠は士たちに危険を知らせ、傷や病気治し妖怪悪人打ち倒した

★2.自分宝玉を身につけていることを知らない

法華経五百弟子受記品」第8 酔って眠る貧窮な男の衣服の裏に、富裕な親友ひそかに高価な宝玉縫いこんでおく。男は他国行き働くが、貧しいままであり、自分宝玉持っていることに気づかない〔*後に親友は男にめぐり会い、衣の裏に珠のあることを教える〕。

握り飯中に小判があることを知らない→〔金貨〕6の『山の神とほうき神』(昔話)。

★3.二つの玉(珠)。

『古事記』上巻 ホヲリ(=山幸彦)は海の神から、潮満つ珠潮干る珠2つの呪宝をもらった。兄ホデリ(=海幸彦)が戦い挑んで来た時、ホヲリ潮満つ珠用いてホデリをおぼれさせ、ホデリ苦しんで許しを請うと、潮干る珠用いて命を助けたホデリ降参しホヲリ家来になった

『太平記』39神功皇后新羅攻めたまふ事」 神功皇后は、龍宮城から干珠満珠2つの宝を借りて高麗軍との海戦臨んだ皇后が、まず干珠海中投げ入れると、潮が退いて陸地となった。すると高麗の兵は船を降り徒歩戦おうとした。これを見た皇后が、次に満珠投げると、潮が十方からみなぎり来て高麗兵数万人1人も残らず浪におぼれてしまった。

椿説弓張月前篇巻之3第6回 鎮西八郎為朝琉球訪れて王女(ねいわんにょ)や廉夫人出会い琉球の宝である2つの珠の由来聞いた。「昔、太平山の前の海にミズチがいて民を苦しめたので、先王ミズチ殺して埋めましたミズチの顎から2つの珠が発見され、珠の1つを「琉」、もう1つを「球」と言います。それで国名を「琉球」と名づけ代々の王がこの珠を継承するのです」。

★4.傷ついた動物が、治療してくれた人間に玉(珠)をもたらす

十訓抄1-4 漢の武帝昆明池遊び釣り針呑んで瀕死救ったその夜武帝夢に現れて礼を述べた翌日明月の珠をくわえ、池の岸に置いて去った以後武帝昆明池での釣り禁じた

『捜神記』20-5通巻453話) 隋侯が、傷を負った大蛇塗り包帯をして救った1年後大蛇は礼として明るく光る珠をくわえて来た。珠は直径1寸で、月光のごとく部屋照らした

シャチ何度も怪我をし、そのたび真珠くわえて来て治療請う→〔宝〕6の『ブラック・ジャック』手塚治虫)「シャチの詩」。

鮫人が、恩人多く宝玉もたらす→〔龍宮〕2の『鮫人(さめびと)の恩返し』。

★5.龍が守護する玉(珠)。

海士(あま)(能) 面向不背の玉は龍宮の高さ30丈の塔に納められ八大龍王がこれを守護している。

★6.玉(珠)を得る夢。

古今著聞集巻1神祇」第1・通巻26話 俊乗房重源東大寺再建祈願して伊勢大神宮内宮7日間参籠した。7日目満願の夜、宝珠たまわる夢を見て翌朝、袖から白珠出てきた。外宮にも同様に7日間参籠して夢を見て宝珠をたまわった

★7.動物体内にある玉(珠)。

椿説弓張月前篇巻之1第3回 鎮西八郎為朝従者重季が、巨大なうわばみ刺し殺す(*→〔誤解による殺害〕1)。為朝は「数百年を経たは、身の内に必ず珠がある」と言い、重季がうわばみの体を裂いて珠を探すその時、龍も、うわばみの珠を取ろうとして雷公いかづち)を送る。重季は、うわばみの腮(あぎと)の下から珠を取り出したが、打たれ死んでしまった。

大蛇ヤマタノヲロチ)の尾の中にある太刀→〔尾〕8の『古事記』上巻

『日本書紀』巻6垂仁天皇87年 昔、丹波国桑田村甕襲(みかそ)という人がいた。甕襲の家にがおり、名を足往(あゆき)といった。このが、山のである牟士那(むじな)を咋(く)い殺した。牟士那の腹に八尺瓊勾玉やさかにのまがたま)があったので、朝廷献上した。この玉は今、石上神宮にある。

呑み込んだ玉や宝石→〔10

★8.男が女に玉を与える。

『古事記』上巻 ホヲリ山幸彦)が、トヨタマビメ侍女請う侍女玉器(たまもひ)に入れてたてまつると、ホヲリ飲まず自分首飾りの玉を緒からはずして口に含み玉器中に唾(つは)き入れた。玉は器について離すことができないので、侍女そのままトヨタマビメ所へ持って行く。トヨタマビメは玉を見て、「誰か門の外に来ているのか?」と問うた。

『今昔物語集』4-25の、龍樹が箱に入れて与え提婆に針を入れて返す場面似ている→〔問答1a

★9.身体一つの球になる。

小桜物語浅野和三郎10 幽界では精神統一修行をする。深い統一状態に入ると、「私(小桜姫)」どもの姿は、ただ1つの球になる。人間界では、いかに本人が心で「無」と観じても、側から見れば、その身体チャーンとそこに見えているしかるに幽界では、真実ほんとう)の精神統一入れば人間らしい姿は消え失せて側からのぞいても、たった1つ白っぽい球の形しか見えないのだ。

人間界でも、を観じて水になるを観じてになる、「無」を観じて姿が見えなくなる、などの物語がある→〔観法〕1~3。

精神統一して、いろいろなものに化ける→〔10の『悟浄歎異』(中島敦)。

火星人たちは肉体捨てて、青い火の玉になった→〔宇宙人6bの『火の玉』(ブラッドベリ)。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 01:30 UTC 版)

(たま、しゅ)




「珠」の続きの解説一覧

珠(たま)

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のぼうの城」の記事における「珠(たま)」の解説

氏長2番目の妻。40近いが、いまだ美貌衰えない甲斐姫とは血が繋がっていない。伝説武将太田三楽斎の娘で、自身勝気な性格氏長腑抜けつまらない男だと思っており、猛々しい泰季との方がより気が合う

※この「珠(たま)」の解説は、「のぼうの城」の解説の一部です。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 02:25 UTC 版)

チョコボの不思議なダンジョン」の記事における「珠」解説

蹴りつけることでホーリーフレアなど強力な魔法発動させるアイテム

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発音(?)


熟語


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