テレフセン:4つのマズルカ
4つのマズルカ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グレチャニノフ:4つのマズルカ | 4 Mazurkas Op.53 | |
ヘラー:4つのマズルカ | Vier Mazurkas Op.148 | 出版年: 1879年 初版出版地/出版社: Kistner |
テレフセン:4つのマズルカ | Quatre Mazurkas Op.3 | 初版出版地/出版社: Warmuth |
スタトコフスキ:4つのマズルカ | 4 mazurki Op.24 | |
ヴォルフ, エドゥアール:4つのマズルカ | Quatre Mazurkas Op.5 | |
ヴォルフ, エドゥアール:4つのマズルカ | Quatre Mazurkas Op.18 | |
ヴォルフ, エドゥアール:4つのマズルカ | Quatre Mazurkas Op.38 |
ショパン:4つのマズルカ (第1-4番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第1-4番) | 4 Mazurka (fis:/cis:/E:/es:) Op.6 CT51-55 | 作曲年: 1830年 出版年: 1833年 初版出版地/出版社: Kistner 献呈先: Comtesse Pauline Plater |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1番 嬰ヘ短調 No.1 op.6-1 fis moll | 3分30秒 |
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2 | 第2番 嬰ハ短調 No.2 op.6-2 cis moll | 3分00秒 |
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3 | 第3番 ホ長調 No.3 op.6-3 E dur | 2分00秒 |
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4 | 第4番 変ホ短調 No.4 op.6-4 es moll | 1分00秒 |
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作品解説
この5つのマズルカは、1830~1832年にかけて作曲され、1832年に出版された。ポーリーヌ・プラーテル伯爵令嬢に捧げられている。
1曲目の嬰ヘ短調はクヤヴィアクとマズルから成る。ロンド形式に似た形で書かれている。
2曲目の嬰ハ短調はクヤヴィアク。空虚5度が用いられる8小節の導入部を持つ。
3曲目のホ長調はヴィヴァーチェ。オベレクによる中間部を持つマズルである。空虚5度に基づく序奏に続く3部形式となっている。
4曲目の変ホ長調はプレスト・マ・ノン・トロッポ。3部形式によるオベレク。保続音と対旋律による手法が特徴的である。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:4つのマズルカ (第10-13番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第10-13番) | 4 Mazurka (B:/e:/As:/a:) Op.17 CT60-63 | 作曲年: 1833年 出版年: 1834年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Lina Freppa |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第10番 変ロ長調 No.10 op.17-1 B dur | 3分00秒 |
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2 | 第11番 ホ短調 No.11 op.17-2 e moll | 2分30秒 |
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3 | 第12番 変イ長調 No.12 op.17-3 As dur | 6分00秒 |
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4 | 第13番 イ短調 No.13 op.17-4 a moll | 4分00秒 |
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作品解説
この4つのマズルカはリナ・フレッパ夫人に捧げられている。
1曲目の変ロ長調はヴィーヴォ・エ・リゾルートのマズル。
2曲目のホ短調はレント・マ・ノン・トロッポ。随所にマズルの挿入されるクヤヴィアクとなっている。
3曲目の変イ長調はレント・アッサイ。マズルのリズムで書かれているが、クヤヴィアクの性格を持つマズルカとなっている。複合3部形式で書かれ、中間部にはオベレクの性格を持つ3連音符の音階が響く。この中間部には、異名同音を利用した転調がみられる。また、曲全体を通してシンコペーションが多用されている。
4曲目のイ短調はレント・マ・ノン・トロッポ。4小節の序奏と24小節のコーダを持つ3部形式で書かれている。クヤヴィアクのマズルカであるが、中間部では、同主長調によるマズルが対比される。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:4つのマズルカ (第14-17番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第14-17番) | 4 Mazurka (g:/C:/As:/b:) Op.24 CT64-67 | 作曲年: 1834年 出版年: 1836年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Comte de Perthuis |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第14番 ト短調 No.14 op.24-1 g moll | 3分00秒 |
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2 | 第15番 ハ長調 No.15 op.24-2 C dur | 2分30秒 |
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3 | 第16番 変イ長調 No.16 op.24-3 As dur | 2分30秒 |
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4 | 第17番 変ロ短調 No.17 op.24-4 b moll | 5分00秒 |
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作品解説
作品24の4曲はパリで作曲された。この頃のショパンは、パリで活動を開始して4、5年が経ち、作曲家としてもピアニストとしても充実期に入っていた。
第14番 ト短調
ポーランド民謡が使われた、素朴なマズルカ。
第15番 ハ長調
軽やかで可憐な曲。中間部は変ニ長調に転じて、ドラマティックな側面も見せる。
第16番 変イ長調
大らかで明るく可愛らしい小品。途中に現れるエピソードも印象的である。
第17番 変ロ短調
数あるマズルカ中、充実した傑作の一つ。途中ユニゾンと和音によるエピソード風の部分が現れるが、ユニゾンは合唱の女性のパートで和音の箇所が混声合唱だと、ショパンは弟子に教えている。
ショパン:4つのマズルカ (第18-21番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第18-21番) | 4 Mazurka (c:/h:/Des:/cis:) Op.30 CT68-71 | 作曲年: 1837年 出版年: 1837年 初版出版地/出版社: Wessel 献呈先: Princesse Maria de Würtemberg née Czartoryska |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第18番 ハ短調 No.18 op.30-1 c moll | 2分00秒 |
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2 | 第19番 ロ短調 No.19 op.30-2 h moll | 1分30秒 |
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3 | 第20番 変ニ長調 No.20 op.30-3 Des dur | 3分30秒 |
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4 | 第21番 嬰ハ短調 No.21 op.30-4 cis moll | 4分00秒 |
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作品解説
作曲年:1836~37年
出版年:1837年11月(イギリス)
1837年12月(フランス) 1838年1月(ドイツ)
献 呈:A Madame la Princesse de Wurtemberg, nee Princesse Czartoryska
《4つのマズルカ》作品30は1836年から手がけられ、1837年に完成した。この2年間のショパンの話題といえば、ほぼマリア・ヴォドジンスカとの恋愛とその破局に尽きるといえるだろう。1835年9月のマリアとの出会いの後、パリに戻ったショパンは病に倒れてしまう。その病状はひどく咳き込み血を吐き、高熱で幻覚をみることもあったという。ショパンの姿を見なくなったと、人々の間では死亡説がささやかれるほどであった。しかし、翌1836年に入り徐々に体調は回復し、7月にはショパンはチェコのマリアンスケー・ラーズニェでマリアと再会する。このとき、マリアは水彩でショパンの肖像画を描いており、ショパンはマリアに《練習曲》作品25-1、2を教えたという。そして、ショパンは当時17歳のマリアに求婚し、両親にも条件付きで認められた。
マリアの両親、とりわけ母のテレサが出した条件とは、ショパンの健康面に関するものであった。すでに前年の冬に死亡説が流布するほどの大病をしていたショパンに対して、体を大切にし、夜遊びを避け、暖かく養生することなど注意していた。しかしショパンはこの指示を守らなかっただけでなく、それからも体調を頻繁に崩すことを繰り返していた。娘の夫として健康面に大きな不安を感じていたマリアの母テレサの意向もあり、1837年の夏、ショパンのもとには「ごきげんよう、私たちのことをどうぞお忘れなく」という別れの手紙が届くことになる。ショパンはヴォドジンスキ家からの書簡をひとまとめにし、「わが悲しみ」と書き込んだ。
ハ短調 作品30-1 ― Allegro non tanto
所収情報:
パデレフスキ版:No.18 / エキエル版:No.18 [Series A]
ヘンレ版:No.18 / コルトー版:No.18
悲しみに満ちた冒頭主題と、愛に溢れる中間部といった様相の三部形式AABB’AA’になっている。AからBは大きなスラーがかけられ、この形式を超越したところに音楽が描き出されている。
中間部の終わりでニ音を中心に揺れ動く旋律は、「超えられない壁」(ト音)を乗り越え、最後に変イ音に到達した後、冒頭主題に回帰する。この部分に付けられた和音は、ト音と嬰ヘ音が激しくぶつかり合うことで、不協和に響く。この嬰ヘ音は、ハ短調の5度上の5度からの、ト長調としての借用音がハ短調のジプシー短音階(第4音を半音上げた短音階)へと置き換えられたものと考えられる。
ショパンはしばしばこのジプシー短音階をマズルカに用いているが、本作品の旋律にはこの民族的な響きの音階は現れない。それに代わり、旋法的なこの音階を和声的に用いることで、激しい不協和音を作り出している。この不協和な響きは、恋愛や体調の思わしくないショパンの耐えきれない苦痛の表現といえるかもしれない。
和声進行の妙は楽曲の最後にも凝らされており、最後の2小節ではペダルを離すことで低音の支えを失ったハーモニーが、下属和音を響かせた後、主和音に戻ることなく締めくくられる。この予期せぬ結末と、最後に残されたハ音によって、本作品の哀愁はさらに深いものへと昇華される。
ロ短調(-嬰ヘ短調) 作品30-2 ― Vivace (Allegro)
所収情報:
パデレフスキ版:No.19 / エキエル版:No.19 [Series A]
ヘンレ版:No.19 / コルトー版:No.19
ロ短調の主題からはじまり、3つの主題が次々とあらわれるAABBCCBBという形式によって構成される。他のショパンのマズルカでは、ロンド風の巡回形式や三部形式、あるいはそれらが組み合わされた複合三部形式をもつものが多いが、本作品は冒頭の主題が回帰しない珍しい形式である。
主題Aを導入部(i)と考えれば、楽曲の構造はiiBBCCBBという単純な三部形式の一種ととらえることもできる。それぞれの主題の調性をみると、主題Aはロ短調、主題Bは嬰ヘ短調、主題Cはイ長調であり、B-C-Bの三部形式的部分は、イ長調と嬰ヘ短調という、並行調の関係によっている。さらに主題Cでは、2小節の同じ旋律を繰り返しながら、嬰ヘ短調とイ長調を往来しており、作品の大半を占める主題Bと主題Cによる楽想は、嬰ヘ短調を中心に展開している。
その一方で、ショパンが楽譜上に示した調号(シャープ2つ)から、本作品の主調が主題Aのロ短調であると考えられ、この唯一の主調による主題Aを導入部は考えにくい。このような複雑な調性を表現するため、パデレフスキ版などでは、この作品を「ロ短調-嬰ヘ短調」と表記している。
ここで、なぜショパンは楽曲の途中で調号を変更しなかったのかという疑問が生じる。ショパンは作品17以降のマズルカで、作品途中に調号の変更を書き入れる記譜を用いるようになっており、同様の手法は本作品の前後に位置する作品24や作品33の中にもみられる。すなわち、ショパン自身はこの作品を「ロ短調」の作品として強く意識していたと考え得る一方、ロ短調の譜面に嬰ヘ短調を書くにはシャープをひとつ加えるだけでよいため、単純に記譜の簡便性から、調号を変える必要性を感じなかっただけかもしれない。この問題に対する最終的な解釈については、それぞれの演奏者や聴き手に委ねられているといえる。
変ニ長調 作品30-3
所収情報:
パデレフスキ版:No.20 / エキエル版:No.20 [Series A]
ヘンレ版:No.20 / コルトー版:No.20
8小節の序奏につづき表れる冒頭主題は、作品30の4曲で唯一回帰するものである。この16小節にわたる冒頭主題は、他の多くのマズルカと同様、2小節の短い動機の変奏や繰り返しによって形作られている。マズルカの多くは、2小節の動機を2つまとめて4小節、それが2つまとまって8小節のまとまりを作っているのに対して、この作品の冒頭主題では構造の複雑性が大きく高められている。
最初の2小節にあらわれる上行形の動機(a)には、対をなす下行形の動機(b)が続けられ、聴き手は再び動機(a)の出現を期待する。しかし、それに続くのは動機(b)を同主短調に変容させたものである。さらに動機(b)が続き、8小節の主題前半はa-b-b↓-bと構成される。このように下行形の動機(b)を中心に展開される前半部に対して、後半部では拡大された動機(a)と、その完全な逆行形(a’)が対になってあらわれ、最後にはその4小節の組み合わせが同主短調に変容される。すなわち、冒頭主題の後半はa-a’-a↓-a↓’という構成になっており、主題前半とはその構造が異なっている。このように、動機の発展技法を大きく発展させることで、本作品の冒頭主題では、その詩的表現の可能性を大きく高めることに成功している。
作品全体の形式は作品7-3のマズルカにきわめて近く、つぎつぎと新しい主題が表れ、最後に冒頭主題へ回帰する形式i||:A: ||BBCCDDtAとなっている。冒頭主題が回帰するという観点からは一種の三部形式と考えることもできるが、中間部にしては多くの主題が現れ、形式的な曖昧性が持たされている。冒頭主題の動機発展において、期待される繰り返しを避けているのと同様、作品全体にわたっても、期待される冒頭主題の回帰を遅らせることで、作品に思いがけない光を投げかけることを意図しているといえる。なお、作品30ー1で和声的に用いられていたジプシー短音階は、この作品の冒頭主題では音階本来の旋法的な用法によって旋律線に用いられている。
嬰ハ短調 作品30-4
所収情報:
パデレフスキ版:No.21 / エキエル版:No.21 [Series A]
ヘンレ版:No.21 / コルトー版:No.21
それぞれが特徴的な個性をもつ作品30の4つのマズルカの最後に位置づけられたのは、139小節という大規模な嬰ハ短調の本作品である。一組のマズルカの最後に大規模な作品を配置するのは、作品17以降のマズルカに共通してみられる特徴である。作品は、iAABBCiAcodaと、比較的はっきりとした三部形式を示している。
5度上の5度にあたる嬰ニ音を中心に揺れ動く序奏は、5度の嬰ト音に5度下行した後、主和音とともに苦渋に満ちた冒頭主題へと導く。この冒頭主題は上行や下行を繰り返しながらも、決して長調を響かせることなく、対を為す次の主題へと移っていく。そして中間部の前半にあたるこの主題、やはり長調を響かせることなく、ただただ暗雲に包まれるかのごときである。
本作品でわずかな光明が見いだされるのは、第65小節からの中間部後半である。ここでは、短調の響きが顔をのぞかせながら、それを振り払うかのごとくロ長調へ向かって転調を繰り返す。しかしロ長調に到達しようかというとき、不意に序奏が再現し、苦しみの嬰ハ短調へと引き戻されてしまう。
マリア・ヴォドジンスカとの破局に対するショパンの苦悩をひたすらに表現しているかのような作品ではあるが、その暗さが、随所にみられるショパン独特の繊細な美しい変奏をより一層引き立て、そこに魔法の一瞬がうまれる。
ショパン:4つのマズルカ (第22-25番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第22-25番) | 4 Mazurka (gis:/D:/C:/h:) Op.33 CT72-75 | 作曲年: 1837-38年 出版年: 1838年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Comtesse Rose Mostowska |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第22番 嬰ト短調 No.22 op.33-1 gis moll | 2分30秒 |
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2 | 第23番 ニ長調 No.23 op.33-2 D dur | 2分30秒 |
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3 | 第24番 ハ長調 No.24 op.33-3 C dur | 2分00秒 |
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4 | 第25番 ロ短調 No.25 op.33-4 h moll | 5分00秒 |
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作品解説
この4 つのマズルカはローズ・モストフスカ伯爵夫人に捧げられている。自筆譜では、嬰ト短調、ハ長調、ニ長調、ロ短調の順で書かれ、初版もこの曲順で出版された。しかしその後、誰かにより嬰ト短調、ニ長調、ハ長調、ロ短調の順に並べ替えられて出版され、こちらの曲順の方が一般的となっている。ここでは、この後者の曲順に従う。
1曲目の嬰ト短調はレント。マズルのリズムで書かれているが、クヤヴィアクの性格を持つ。また、限られた音による簡素なマズルカとなっている。メロディーは瞑想的な雰囲気を醸し出している。
2曲目のニ長調はヴィヴァーチェ。中間部にマズルとオベレクを持つクヤヴィアクとなっている。
3曲目のハ長調はセンプリーチェ。中間部に付点のリズムによらないマズルを持つクヤヴィアクとなっている。そして、15小節のコーダを持つ。
4曲目のロ短調はメスト。クヤヴィアクとマズルにより、8小節のコーダを持つ。全224小節とマズルカの中では規模が大きめである。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:4つのマズルカ (第26-29番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第26-29番) | 4 Mazurka (cis:/e:/H:/As:) Op.41 CT74, 76, 78-79 | 作曲年: 1839年 出版年: 1840年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Etienne Witwicki |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第26番 嬰ハ短調 No.26 op.41-1 cis moll | 4分00秒 |
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2 | 第27番 ホ短調 No.27 op.41-2 e moll | 3分30秒 |
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3 | 第28番 ロ長調 No.28 op.41-3 H dur | 1分00秒 |
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4 | 第29番 変イ長調 No.29 op.41-4 As dur | 2分00秒 |
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作品解説
この4 つのマズルカは、エティエンヌ・ヴィトフィツキ氏に捧げられている。
1曲目の嬰ハ短調はマエストーソ。フリギア旋法の特徴的なマズルである。そして、曲全体を通して非和声音が多用されている。
2曲目はホ短調。アンダンティーノで内省的なクヤヴィアクである。
3曲目のロ長調はアニマート。オベレクに、中間部の同音反復が特徴的なマズルが対比を成す。3小節のコーダを持つ。
4曲目の変イ長調はアレグレット。クヤヴィアクの挿入されるオベレクとなっている。リズムはワルツに近いものを感じさせる。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:4つのマズルカ (第44-47番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第44-47番) | 4 Mazurka (G:/g:/C:/a:) Op.67 CT92-95 | 作曲年: ca.1830, 1848, 1835, 1846年 出版年: 1855年 初版出版地/出版社: Schlesinger, Meissonnier |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第42番 ト長調 (遺作) No.42 op.67-1 G dur | 1分30秒 |
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2 | 第43番 ト短調 (遺作) No.43 op.67-2 g moll | 2分00秒 |
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3 | 第44番 ハ長調 (遺作) No.44 op.67-3 C dur | 1分30秒 |
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4 | 第45番 イ短調 (遺作) No.45 op.67-4 a moll | 3分00秒 |
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作品解説
1曲目と3曲目は1835年に、4曲目は1846年に、2曲目は1948~1949年ごろに作曲された。作品68の4つのマズルカと共に、ショパンの死後、フォンタナの編纂により1855年に出版されている。正式な献呈ではないが、1曲目はアンナ・ムオコシエヴィチ嬢に、3曲目はアデリーナ・ホフマン夫人に贈られたと考えられている。
1曲目のト長調はヴィヴァーチェのマズルである。そして、4小節の序奏を持つ
2曲目のト短調は前述の通り、晩年の作品と考えられている。冒頭にはカンタービレと記され、マズルによる中間部を持つクヤヴィアクとなっている。
3曲目のハ長調はアレグレット。ワルツのような性格も持つ3部形式によるオベレクである。
4曲目のイ短調はモデラート・アニマート。3部形式によるクヤヴィアクとなっている。中間部では、同主長調のイ長調に転調する。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:4つのマズルカ (第48-51番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:4つのマズルカ (第48-51番) | 4 Mazurka (C:/a:/F:/f:) Op.68 CT96-99 | 作曲年: ca.1830, 1827, ca.1830, 1846?年 出版年: 1855年 初版出版地/出版社: Meissonnier, Schlesinger 献呈先: 2. Stammbuch Emilia Elsner |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第46番 ハ長調 (遺作) No.46 op.68-1 C dur | 2分00秒 |
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2 | 第47番 イ短調 (遺作) No.47 op.68-2 a moll | 3分00秒 |
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3 | 第48番 ヘ長調 (遺作) No.48 op.68-3 F dur | 2分00秒 |
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4 | 第49番 ヘ短調 (遺作) No.49 op.68-4 f moll | 3分00秒 |
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作品解説
ショパンの没後、ユリアン・フォンタナによってまとめられ、作品67の《4つのマズルカ》とあわせた8曲が出版された。作品50以降、ショパンはマズルカを3曲ごとにまとめて出版しており、4曲を一組にすることが妥当であったのかという疑問は残されるが、ショパンが信頼を寄せていたフォンタナによる作品の組み合わせには、ショパンらしさを残そうとする意図がうかがえる。
作品67、作品68のいずれも、第1曲には活力に溢れる長調のマズルカが配されており、ともに「Vivace」と付けられている。ショパンは作品7、作品50、作品63などで同様の配置をしており、フォンタナはその傾向を意識したものと推されるが、エキエル版ではこれらの速度表記は取り払われている。最後に短調のマズルカを置く傾向はショパンのマズルカでより顕著に示された傾向であり、曲順に疑問の残されるいくつかの作品を除いて、生前に出版されたすべての作品で、その最後に短調のマズルカが配されている。
このような、ショパンが好んでいた曲想のまとまりに加え、フォンタナは調性の関係を強く意識して4つの作品を組み合わせたも
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のと考えられる。作品68の場合、第1曲と第2曲は並行調の、第3曲と第4曲は同主調の関係にあり、第2曲と第3曲の間も、下属調の並行調と、きわめて近い関係の調性が選ばれている。
4つのマズルカは一定のまとまりをもってはいるものの、これは必ずしもショパンの意図ではなく、とりわけ調性関係については、生前に出版されたマズルカに同様の特徴がみられることもないため、ショパン自身がまとめた作品群とは区別して考えた方がいいだろう。近年編纂が 進められているエキエル版では作品番号を付けずに、作曲年代順に掲載されているほか、今後出版される予定のペータース原典版でも同様の処置がなされるものと考えられる。しかし、これらの作品に対する統一的表記が浸透していない現状において、今後もしばらくは作品番号が統一表記としての役割を果たしていくこととなるだろう。
*ヘ長調 作品68-3
作品68-1のマズルカとほぼ同時期、ショパンの最初のウィーン訪問(1829年)から祖国ポーランドを発つ頃(1830年末)までに書かれたものとされる。他の初期のマズルカと同様、簡素な楽式による、より実用的なマズルカの雰囲気を持っている。
変ロ長調に転調した中間部では、変ロ音とへ音上で奏でられる空虚5度の上で、第4音を半音上行させたジプシー的な音階が響き、民族的な香りが強く漂う。また、他のマズルカにはあまりみられない特徴として、この部分に「Poco piu mosso」と速度の変更が指示されていることは興味深い。マズルカは、マズル、オベレク、クヤヴィアク、クラコヴィアクなどポーランドの様々な民族舞踏の要素が取り込まれたものとされるが、これらの舞踏には共通したリズム音型があるため、リズムだけで舞踏の種類を断定することは出来ない。その一方で、テンポの緩急はそれぞれの舞踏に特徴的な要素であり、速度が変更されることで、舞踏の種類が変わったことが、ここでははっきりと示されたといえる。急速なテンポと、回転を感じさせる音型から、この中間部がオベレクの特徴を持っているといえる。
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