理念と実績とは? わかりやすく解説

理念と実績

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 10:31 UTC 版)

ドナルド・トゥスク」の記事における「理念と実績」の解説

このようにトゥスク個人政治的に一貫して穏健な保守主義かつ穏健な自由主義である中道右派スタンス取り国有大企業従業員東部地方住民票田偏る社会的ないし経済的な国家主義右派法と正義左派民主左翼連合など)、大資本家大企業幹部都市部ブルジョワ票田偏るリバタリアニズム中道自由連合や、自らの党である市民プラットフォーム党内対立派閥)のどちらとも与せず一定の距離を置き、全国中小零細企業開業成長や、それら小規模企業労働者の待遇改善重点置いた政策一貫して採っている。 実際の例として、トゥスク政権多く国有大企業民営化計画推進するという自由主義的な改革を行う一方スウェーデン巨大小売コングロマリットの「イケア」は「法と正義PiS)」党が政権与党時代行った統制主義的な改革である大規模小売店舗法改正巨大店舗以後ポーランド進出できなくなった、と不満を述べていることに対し全国の若い中小零細企業成長後押ししたいトゥスク政権巨大店舗出店関わる規制再度緩和させようなどという動き見せていない、といったことが挙げられるが、さらに現農民党党首かつ元首相トゥスク内閣では副首相経済相務めるヴァルデマル・パヴラクを派遣し全世界のイケア・グループの経理担当する経理部ポーランド国内誘致するという日本円にしておよそ1800億円の対内投資案件交渉していると言われるこのように中道右派」「穏健な自由主義」に対す理念的確信のもとで個々政策実行するトゥスク政治姿勢明らかに見て取れるポーランド週刊誌とのインタビュー自身マクロ経済認識について「あなたはケインズ派かそれともフリードマン派か?」と記者から問われトゥスクは、「ケインズフリードマン思考の役にはたつが、実際にはたいして役に立たないよ。」と、ケインズ経済学諸派フリードマン代表されるマネタリズムおよび新しい古典派諸派双方纏めて斬って捨て、「もし私が自分の考え誰かのものに例えるとするならば、いまのところはフリードリッヒ・フォン・ハイエクだと答えておくよ。景気循環についての話のなかでハイエクは、銀行信用拡大することによって引き起こされる人工的な景気上昇いかなるものであろう銀行自身の損となる結果で終わる、という事実を強調しているんだ。こんにちアメリカ金融機関経営哲学には、(恣意的需要創出する、あるいは恣意的均衡達成する成果求めて市場に)介入するような類のケインズ的な調整やらかす伝統あまりに多く見て取れるけど、そういう成果というのは実際にただ単に一時的なもの終わってしまうものだよ。」と答えている。すなわちトゥスクケインズフリードマンどちらも結局はハイエクの用語の「設計主義合理主義(Constructivist Rationalism)」なのだ(上のインタビューのなかの「ケインズ的」とはその意味であり、文脈的にケインズ本人やその考えを指すのではなくジョン・ブライアン・テイラーグレゴリー・マンキューなどに代表されるジョン・ヒックスポール・サミュエルソンが行ったケインズ解釈にもとづくいわゆるケインズ経済学」と呼ばれる計量経済学諸派による総需要管理政策にもとづく市場介入と、ロバート・ルーカスなどに代表される新しい古典派計量経済学諸派による一般均衡理論による市場介入2つ市場アプローチ、およびそれらの理論構成影響与えたマネタリズムを指す。トゥスクは、その2つのアプローチ両方とも同時にバッサリと斬って捨てているのであり、彼は、当局による市場介入というのは現実経済つきものであるバブルとその崩壊という市場2つ激変に対してそれぞれ一時的に対応するためだけに行うべきものだと考えており、市場介入でもって景気抑制回復達成するのは政策としてまったくの本末転倒だ、景気動き主導するのはあくまで民間自律的な企業家精神だ、と主張している)と認識していること、設計主義合理主義経済政策役に立たないどころか恣意的な信用拡大によって)政策目標達成短期的終わりかつその後にかえって悪い事態もたらすにすぎない無理政策だと考えていること、これに対してハイエクの提唱していた「進化論的合理主義Evolutionary Rationalism)」に賛同および立脚していること、が明らかで、彼が弁証法用いてマクロ経済を高度に理解していることがはっきりとわかる。また、長期フィリップス曲線特徴に関しては上に引用したインタビュー最後フリードマン主張明確に同意している。 このようにトゥスクの明確で確固たる穏健な自由主義low-key liberal)」の理念あらゆる意味で合理的に導かれたものであり、経済においてはハイエク理論本質をきちんと理解し実行移している稀有政治家だとしてヨーロッパで各方面多く注目期待集めている。 政治思想としては穏健ではあるが、個々政策の実行段階においては必要に応じて大鉈を振るうことがあり、現在行っている医療制度改革国有大企業民営化反対者多く、その典型例である。また閣内においても必要に応じて断乎たる強力な指導力見せことがあるトゥスク首相としての評価一つ人事能力挙げられている。2008年後半から起こった世界金融危機のなか有能な人物たちを適材適所配置ポーランドの経済巧み舵取り制御して景気後退回避し同時に財政規律問題将来ユーロ導入準備国と地方役割分担見直し国内ビジネス環境労働環境整備全国高速道路網整備巨大エネルギー備蓄施設といった大型公共事業推進他国出稼ぎ出ていた自国民の呼び戻し大型公共事業推進国内新産創出のため)、第14回気候変動枠組条約締約国会議COP 14主宰などといった自然環境保護医療制度改革教育制度改革年金制度改革、ロシア・ドイツ・ウクライナ・ベラルーシなどといった近隣諸国との関係改善旧ソ連諸国対す外交政策でのスウェーデンとの協同エネルギー政策におけるチェコ・スロバキア・ハンガリーとの協同外国人移民出稼ぎといった社会問題アメリカとの安全保障交渉経済危機にあるアイスランドへの支援などといった重要課題積極的に取り組むことでその政権運営の手腕は高く評価されている。またこの期間に欧州連合EU議会である欧州議会EP)の議長として元首相化学工学者イェジ・ブゼクを、EU内閣相当する欧州委員会EC)の予算担当委員大蔵大臣に相当)にグダンスク大学経済研究所所長で元ハーバード大学講師のヤヌシュ・レヴァンドフスキを、国際通貨基金(IMF)の欧州局長として元財務大臣および元首相経済学者マレク・ベルカ送り出している。また、1991年首相務め短期間任期だったにもかかわらず名宰相として名高く近年民間銀行頭取国際問題シンクタンク所長務めていたヤン・クシシュトフ・ビェレツキを、内閣直轄総合諮問機関である国家経済委員会所長として迎えている。 ただし国内右派左派、そしてその票田となっている東部農村住民都市低所得層の間では、トゥスク自由主義偏りすぎるあまりビジネス社会優先してわれわれ低所得者の生活を脅かすという事態にするのではないか、との懸念根強くあり、彼らは市民プラットフォーム対立している最大野党保守政党法と正義PiS)」や、第2野党左派政党民主左翼連合SLD)」や「労働連合(UP)」を支持している。 トゥスク筋金入り賭博反対論者で、国内賭博産業一部非合法としようとしている。特にインターネットカジノによるギャンブル個人情報の悪用国内外個人組織による資金洗浄などといった様々な不法行為利用されるとして完全禁止法制化実現したい表明している。そのためカジノ産業関係などの賭博推進論者から「これはネット検閲だ」との強い批判受けている。 2010年2月5日会場参加者、そしてテレビ中継視聴者ならば誰でもポーランド人でなくても)FacebookブリップTwitterという3つのソーシャル・ネットワーキング・サービス用いて意見述べられるという条件討論会開催オンライン賭博禁止法案の趣旨について不特定多数国民と約2時間わたって質疑応答をし、この法案通信の自由信教の自由財産権侵すものではないことを根気強く説明した。これは世界政治史においてもまさに画期的な企画であったトゥスクは非常に機動的政治家である。2010年12月5日ワルシャワバルト三国リトアニアラトビアエストニア)の首脳サミット行いポーランド含めた4国の民間経済エネルギー政策安全保障などについてかなり具体的な意見交換行った後すぐにベルリンに赴き、翌6日にはドイツアンゲラ・メルケル首相会談しポーランド政府ドイツ政府によるヨーロッパの現状認識両国財政改革についての再確認公的財政会計についてなどの具体的な意見交換行ったが、同日現地での共同記者会見のあとすぐにワルシャワ戻りポーランド公式訪問しているロシアドミートリー・メドヴェージェフ大統領同日のうちに会談しポーランドロシアとの歴史的和解今後両国関係展望について話し合った。その前の週の12月1日にはワルシャワハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相会談している。その後トルコ首都アンカラ飛び8日レジェップ・タイイップ・エルドアン首相首脳会談行った

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