理念と主要な活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/09 07:31 UTC 版)
以下のような主張が基本的な理念として挙げられている。 「自然」とは「人間が手をつけていないもの」であり、「自然保護」とは「手付かずで残す」ことである。 バランスが崩れた自然を元に戻すには、自然の力に任せるのが最良かつ唯一の方法であり、いわゆる「保護」「管理」は、自然保護ではなく自然に敵対する行為だ。 他の先進国と異なり、日本には一定以上の奥地を「奥山」と呼んで立ち入らず、原生林を残す古来からの伝統があった。この伝統こそ「真の自然保護」であり、日本人は自然との共生に成功してきた。戦前まではクマをはじめとする大型野生鳥獣のすむ保水力抜群の豊かな森が全国に残っていた。 戦後の開発や拡大造林により奥山は人工林に転換され、その後の林業不振により放置された人工林は、生物に乏しく土壌が流出し保水力もない森と化し、さらに地球温暖化によりダメージを受けている(奥山の荒廃)。上記の結果として、クマの人里出没、山の保水力低下による渇水と土砂災害が引き起こされている。 「森=動物+植物」という考え方を提唱し、クマをアンブレラ種と捉え、クマが住める森がよい森としている。 法人格取得後の目的は以下の通りである。 野生動植物の保全活動等を実践することにより、大型野生動物及びその生息する保水力豊かな森林環境を保全し、もって人間と動物が共生可能な環境を次世代に承継すること。 以下の活動を行っている。 野生動物保護活動クマ保護活動: どんぐり運び(後述)の他、有害鳥獣捕獲による捕殺に反対している。NPO法人奥山保全トラストによる広大なトラスト地に、錯誤捕獲や有害鳥獣捕獲によって捕獲されて地元で放獣できないクマを搬送して放獣する考えがあることを表明している。しかし地域個体群を考慮しない他の生息地からの放獣の方針は日本哺乳類学会長の織田銑一も否定的な考えを示しており、実現に至っていない。 シカ問題: 熊森協会は、近年のニホンジカ被害増加は、奥山の生育地が失われて人里に追いやられた結果であるとしている。 外来動物の生命尊重: 熊森協会によると、現在の国の外来種対策(生物多様性条約(CBD)に基づいた外来生物法など)は「外来種輸入の規制をせず、野生化した外来種を根絶殺害するもの」であり、野生化した外来種は駆除せず、生態系の一員として認めることを提唱している。外来生物法の大幅な改正により、外来種対策としての駆除の廃止と飼養規制の緩和を求めている。 奥山の保全・再生・復元など奥山保全トラスト: 2006年に設立したNPO法人奥山保全トラストによるナショナルトラスト運動。所有者から山林を購入し、自然林は永久保存を、人工林・二次林は自然林の再生を目指すもの。「完全民間で 奥山自然林を大規模に買い取り、聖域化」を目指す。2010年10月現在、合計1,944ha(5,880,600坪)購入している。 スギ・ヒノキ植林からの広葉樹林の復元: 2009年までは、スギ・ヒノキの過半を伐採し(強度間伐)、ドングリ類などを植樹することで広葉樹林化を目指した。2010年以降は、スギ・ヒノキの樹幹を帯状に剥くことで枯死させ、放置する方法(「皮むき間伐」)も採用している 広葉樹植樹地を水源林とした農薬・化学肥料を使わない農業の実践(「くまもり自然農」) 広報活動: 学校現場などでの環境教育・原生林ツアー・出版物・広報紙の発行・講演など。2010年から兵庫県教育委員会の後援を受け小中学生を対象に、森山会長と宮澤顧問の著書を課題図書とした「くまもり読書感想コンクール」を開催している。 政策提言: ウェブサイトにおける意見表明、自治体の自然保護に関する検討会・審議会委員を務める、パブリックコメントの提出、国会議員・自治体の長へのロビー活動など 太郎と花子のファンクラブ:有志が引き取った2頭のツキノワグマの飼育についてエサ代や飼育手伝いで協力している。 法人格取得後の事業は以下の通りである 動物と人間の共生に関する理解を深め、支援を得るための野生動植物保護活動 環境を保全・再生するための実践活動 本財団の活動を広く周知するための広報活動 法政策上の課題に関する提案をするための政策提言 豊かな自然環境を永久に保全するためのナショナル・トラスト活動 その他、本財団の目的を達成するために必要な事業 くまもり活動として、地元と都市が力を合わせ、奥山水源の森保全・再生活動・野生生物保護活動を全国各地で展開している。活動の内容は次の通り。 クマの棲める豊かな森再生活動人工林の強度間伐 行政への働きかけクマの狩猟を禁止する 駆除・個体数調整の原則禁止 奥山放獣体制の完備 電気柵を用いた防除強化 犬を放すなどの追い払いにより、殺さない対応 クマレスキュー活動クマを殺さずに農業被害や人身事故の問題を解決するための活動。イノシシ罠に誤捕獲されたクマを、食べ物のある奥山の森に放獣する。とされているが具体的にクマの個体を奥山に放獣した実績は皆無である。 ナショナル・トラスト 環境教育 くまもり自然農塾 公式サイトで公開されているリーフレット日本熊森協会紹介チラシ(A4三つ折り)に記載のくまもり活動おいて、クマレスキュー活動は削除されている。
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