首相としての評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 03:00 UTC 版)
就任当初、日本政治が専門の三井海上基礎研究所のジョン・ニューファーが「小渕氏は冷めたピザほどの魅力しかない。(内閣総理大臣になったとしても)自分自身では決断ができず、党長老の単なる傀儡にしかすぎないだろう」と述べ、それがニューヨーク・タイムズ誌に掲載されたことから、『冷めたピザ』が日本で流行語となり、外務省がこれに対して批判的なコメントをする事態となった。後にニューファーと対面した小渕は「ところで、冷めたピザとはどういう意味ですか」と直接尋ねた。対面後のニューファーは「人間関係に関しては、内閣総理大臣は思ったよりシャープだ」とやや考えを改めている。 反面、周辺事態法、通信傍受法、国旗・国歌法など、長年の懸案を一気に片付け、金融不安に終止符を打ち、任期後半は経済も堅調に推移していた。外交では日米関係を順調に発展させる一方、韓国の金大中大統領との間で、歴史問題の「区切り」と未来志向の日韓関係で合意、東南アジア関係も深化した。このほか国旗及び国歌に関する法律と交換条件で成立したという説もある男女共同参画社会基本法も、その後の日本社会に与えた影響は大きいといわれている。 1999年7月の訪中時に中華人民共和国における植林緑化助成基金の設立を中国側に提案、同年11月には「日中民間緑化協力委員会」を設立、その資金として日本政府から100億円規模の予算を拠出した。また、中華人民共和国における遺棄化学兵器助成処理の実績から、日本国内では親中派としても知られた。他方で中華人民共和国の江沢民の謝罪要求や北朝鮮の不審船問題に対して節度を保ちながらも一定の強い対応を示した。こうして、硬軟織り交ぜながらも外交でも多くの成果をあげた。 また沖縄に強い思いを寄せた最後のリーダーともいわれ、手厚い沖縄振興策やサミット開催の決断も業績に数えられる。 以上のような小渕の政権運営は、近年、再評価もされている一方で、労働者派遣法の改正によって派遣業種が拡大し、男性を中心に正規雇用が減少した上、女性の非正規労働者の数が増加したことについては、新自由主義批判の文脈から問題視されることも多い。また保守派や反創価学会派からは、創価学会を支持母体に持つ公明党と初めて連立政権を組んだことについての批判も存在する。
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