首相および内閣の権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 07:51 UTC 版)
「イギリスの首相」の記事における「首相および内閣の権限」の解説
詳細は「:en:Powers of the prime minister of the United Kingdom」を参照 イギリスにおける行政の最高権は名目上、国王およびその諮問機関である枢密院が持っていることになっているが、「国王は君臨すれども統治せず」の原則により、国王の政治的権力は実際には行使されることが無い。形式上は現在もなお内閣よりも上位に位置する枢密院も、議会権力の強化とともに形骸化し、内閣が議会の信任によって成立し議会に対して責任を負う議院内閣制の仕組みが確立していった。 そのため現在では、イギリスの憲法を構成するとされているマグナ・カルタを始めとする成文法典および慣習法(不文憲法)に基づき、首相を中心とする内閣が行政の実権を握っている。首相は、閣僚の任免権・庶民院の解散権・宣戦布告などの国王大権の行使を、国王に代わって実質的に決定する。原則として国王大権は首相の助言なくして行使できない。議会における国王演説も、内閣があらかじめ用意した原稿をそのまま読み上げるだけである。 下院は内閣に対して不信任決議権を持つ。下院において不信任案が成立または信任案が不成立となった場合、あるいはそれに匹敵する重要法案の採決で政府が敗北した場合には、憲法習律上内閣は総辞職するか庶民院の解散総選挙を国王に助言しなければならない。英国首相は、内閣不信任が成立していなくとも君主への助言によって任意に庶民院を解散できる(1918年以降には首相は解散助言にあたって内閣に諮る必要もないとの憲法慣習ができた)。 2011年から2022年3月までは、2011年に可決された議会任期固定法により、女王の議会解散に関する大権が削除されたため、英国首相は任意に下院解散の助言を行うことができなくなっていた(5年の任期切れ前に下院解散ができるのは、下院が所属議員3分の2以上の賛成で解散を自主的に決議するか、内閣不信任案が決議された時に限られた)。2022年3月に議会解散・召集法が成立することで議会任期固定法は廃止され、解散に関わる国王大権は「議会任期固定法の制定がなかったように」復活し、議会解散に関係する手続きは従来通りとなっている。
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