炎術師:神凪一族・分家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:56 UTC 版)
作中では大神、結城、久我、四条の四家が登場している。 大神 雅行(おおがみ まさゆき) 声 - 城山堅 大神家の当主。媒体ごとに容姿が異なるキャラクター。 傲岸不遜を絵に描いたような性格。我が子に対して父親としての愛情がなく、「大神家の道具」という感覚で接していた。自力では弟には及ばなかったため、その役割を子供たちが幼い頃から押し付けて、虐待にも等しい修行をさせていた。 弟の雅人は確執を嫌って、チベットへ修行に出てしまった、しかし、資質に関しては雅人の方が上であり、本人としては「当主の座を譲ってもらった」という認識が強かった模様。後に武哉から指摘された際は、激昂して殴り飛ばしてしまった。 操に対しては、女であり戦士としての素質が見られなかったため無関心であった。だから操が妖魔化した際も「大神家の邪魔者」としか見ておらず、一切の情をかけることなく殺害しようとしていた。また、それらが原因で綾乃からは激しく嫌われている。 娘である操が妖魔に成り下がり、大神家が存続の危機に立たされたために、汚名返上のため自ら部下を率いて操を滅殺しようとする。しかし、返り討ちに遭って死亡。切断された首を鞠のように扱われた後、生気を吸われてミイラ化し、粉々になって消滅してしまう(アニメ版では、全身を焼かれただけに留まっている)。 弟の才能に嫉妬した雅行のように、綾乃も自分にはできない高等技術を持つ煉に対し、喜ばしくない感情を抱いていた。 漫画「紅炎の御子」では眼鏡を掛けた痩せた中年として描写されており、殺される寸前の操とのやり取りが深く描写されている。操から敵討ちの協力を求められるが拒否し、「とっとと滅びろこの一族の恥さらしが!」「アレら(武哉と武志)が死んだのは弱かったからだ!」「息子共々揃いも揃って出来損ないが!」と罵倒したことで怒りを買い殺される結末になっている。 原作に至っては容姿の描写がなく、挿絵も設けられなかった。アニメ版では白髪の壮年男性として描かれ、漫画版では眼鏡を着用している。 大神 雅人(おおがみ まさと) 雅行の弟。40代(重悟よりも年下)。 兄を遥かに凌ぐ力を持つ分家最強の術者だったが、当主の座を巡る争いを嫌ってチベットの奥地まで修行に行った過去がある。もっぱら綾乃のお守りを任じられており、彼女からも「叔父様」と慕われていたが、流也によって殺害された。 アニメ版では、原作よりも前倒しで殺されている。 大神 武哉 (おおがみ たけや) 声 - 武虎 大神家の長男。推定20代後半。 久我家の娘・静との間に双子の男児がいる。分家ではトップクラスの術者であり、跡目に内定していた。慎吾とは正反対の性格なのに相性がよく、二人が組めば宗家以外に敵なしと言われたが、和麻の説得に失敗し敗北。気絶しているところを流也に攻撃され、胴体を切断されて殺されてしまう(アニメ版では、切り落とされた鉄骨の下敷きになって死亡)。常識人を自認しているため、弟を殺されたとはいえ狂った慎吾のことは引いていた。 弟妹のことを気にかける優しい性格で、操の心の支えとなっていたが、彼が死んだことで後の悲劇を生むこととなった。一方、風牙衆を内心で見下していたり、和麻のことを犯人と決めつけ高圧的な態度を取るなど、神凪の血筋らしい一面も覗かせた。 アニメ版では、綾乃にせがまれて仕事に同行させるなど、原作以上に親密な関係だった様子。 大神 操 (おおがみ みさお) 声 - 植田佳奈 大神家の長女。20歳前。 普段から和服を着用し、おかっぱ頭の似合う大和撫子を連想させる美女。本来は内気でとても大人しいな性格のため、前線には立たず後方支援を担当している。 兄の仇として和麻を逆恨みしていたところを、ミハイルという謎の少年に利用され、倫理観を奪い取られて「復讐のためなら全てが許される」というゆがんだ心を植えつけられてしまう。妖魔と化し、スライムを操って数百人の一般人の生気を奪い取り、殺害。その力を持って和麻と対峙するが、歯が立たなかった。結局はミハイル・ハーレイに利用されたに過ぎず、操が集めた数百人分の生気はスライムの集合体「ヴリトラ」を操作するためのエネルギーでしかなかった。 父を含め自らの親族や多数の一般市民をその手にかけた重い罪を背負うが、和麻の励ましによって生きることを選び、出家して罪を償っていこうと決意(和麻に続く、神凪家2人目の出家者。罪を償ったら、真っ先に助けてくれた和麻に恩義を返そうと考えている)。 妖魔になった際は、数百人分の生気を得て大幅にパワーアップしている。漆黒の業火を無数の火球にして出現させ、一斉に発射するという戦法を用いる。なかなかの威力だったため、大神の人間だけあって分家最強になれる炎術の才があったのではないかと綾乃たちに賞賛された(分家最強程度の力では和麻には遠く及ばなかったが)。また、漆黒の炎を巨大な火柱として出現させることも可能。この技で分家の術者4人(アニメ版では5人)の命を奪っている。 他にも、影を大口の怪物として顕現させ、飲み込んだ相手を異次元に放逐するという特技を持つ。綾乃との戦いではこれを使用して、彼女を退けている(飽くまで和麻殺害が目的のため、人質にもならなかった綾乃は無事解放されている)。 幼い頃に一度だけ、いじめられていた和麻を助けたことがあって、彼女も忘れていたそんな些細な出来事を和麻はずっと心の支えにしていた(その事実は、和麻から聞くまで忘れていた)。そのため和麻は神凪を敵に回すことになっても、迷うことなく操を助け、守ることを選んだ。 アニメ版では登場のタイミングが原作よりも早く、和麻が神凪邸に来た際に負傷した術者たちの手当てをしていた(原作1巻に当たる部分)。また綾乃とは幼馴染であることが明言されている。原作では省略されていたがアニメではミハイルと出会うまでの経緯が描かれている。更には和麻の暗殺(武装した男たちを差し向ける)に失敗した後、彼に向けて武哉を殺された怒りをぶつけるシーンが追加されており、「家族の中でただ一人私のことを想ってくれた」「大切なお兄様」と述べている。この際実力で和麻に挑んでいるがまったく歯が立たず、一人取り残された後は「自殺」「復讐」「力を得る」ことを考えて佇んでいたところをミハイルに声をかけられたという設定になっている。原作ではいつミハイルと接触したのは不明。 漫画「紅炎の御子」ではほぼ同様の役回りで登場し、ミハイル・ハーレイに言わるまま和麻たちと敵対する。神凪邸での暗殺が失敗し謹慎のため連れていかれる際は、和麻に向けて「人殺し! 絶対に殺してやる!」と言い放つなど強い殺意を見せており、言動が若干原作より苛烈な部分がある。また前述の通り終盤で父親から罵倒された際はショックを受けた様子が見られた。父親の生気を奪う際に「昔から厳しい方でしたけど、それは私たちのためを想ってだと少しは信じていた」と述べており、仇討ちの協力を申し出た理由として語った。 技一覧 スライム使役・生気吸収 ミハイルから授かった妖魔スライムを使役し、犠牲者たちから得た生気を己に取り込む。犠牲者たちの断末魔の叫びや苦しみなどを味わうことになるがそれを耐え抜き力を手に入れた。また終盤ではスライムを用いらず父親の死体から生気を奪い大幅なパワーアップを果たした。 漫画版では自分に攻撃しようとした分家の術者を即座にスライムの体内に取り込み殺害するシーンが描かれた。 影の大口(仮称) 自身の影から巨大な顔の怪物を呼び出し、飲み込んだ対象を離れた場所へ放逐する。操の台詞によればそのまま閉じ込めることもできる模様。綾乃を退ける際に使用。 黒い炎 和麻を殺すために得た力。妖気に塗れた穢れた炎を放つ。しかし綾乃によれば「煉にも及ばない」とのこと。 黒い火柱 大神の術者たちを抹殺する際に使用。 大神 武志(おおがみ たけし) 大神家の末子。綾乃と同年代。 叔父と共に綾乃の戦いぶりを見届けた直後、流也に首をはねられて殺されてしまう。 アニメ版では、原作よりも前倒しで殺されている。 大神 静(おおがみ しずか) 武哉の妻。旧姓は久我。 名前のみの登場。下記の久我透との関係姓については、同じ分家の出身ということ以外は不明。 双子の男子を出産し、このふたりが武哉の忘れ形見として世継ぎになる予定。 結城 慎一郎(ゆうき しんいちろう) 結城家の当主。 二人の息子を殺されたことを逆恨みし、和麻に憎悪を向けている。一族内でもとりわけ彼に対する恨みは強いが、和麻からすれば「そんな脇役その一みたいな奴、覚えてるわけないだろ」程度の存在でしかなかった。 実は一巻にも登場しており、和麻が神凪の屋敷を訪れて煉が拉致されたことを告げた際に「たわ言を! 慎治と慎吾を殺したのは貴様だろう!」と激昂していた。この時は名前設定がないため「結城家の当主」「結城」としか表記されていない。また、原作長編第3巻以降、分家の中で再登場を果たした唯一の人物でもある。 アニメ版でも、第5話に彼と思わしき人物が登場する。 結城 慎治 (ゆうき しんじ) 声 - 奥田啓人 結城家の末子。25歳。 帰国後の和麻と最初に再会した人物。その際、目の前で行われた除霊の腕を見て、和麻の帰国とその力を一族に伝える。 幼い頃、ほかの子供たちとともに炎術を使えない和麻を虐めていた。また、流也に殺された最初の犠牲者の一人で、抵抗する際には分家では唯一金の炎を発現するなどの努力を見せるが、火傷一つ負わせることができずあっさり殺されてしまった。 原作ではあまりの恐怖に発狂したところを細切れにされて殺されたが、アニメ版では命乞いしたところで殺されている。 アニメ版では、容姿は金髪で目つきの悪い青年として描かれた。 結城 慎吾 (ゆうき しんご) 声 - 西脇保 結城家の長男。推定20代後半。 分家ではトップクラスの術者であり、跡目に内定していた。可愛がっていた弟を和麻に殺されたと思い込んで怒り狂い、初登場から常軌を逸した発言ばかり叫んでいた。問答無用で和麻を殺そうとしたが返り討ちにあってあっさり敗れ、倒れているところを流也に狙われて死亡する(アニメ版では、切り落とされた鉄骨の下敷きになって死亡)。 アニメ版では、弟に似た目つきの悪い顔立ちで、長い後ろ髪をうなじのところで縛っている。役回りも同じだが、和麻を殺す云々の台詞は独白になっており、これを聞いた綾乃が若干引くという展開に代わっている。 久我 透(くが とおる) 声 - 西墻由香 久我家の術師。かつて和麻を虐めていた主犯格。大柄な体格と気性の荒い性格の持ち主。和麻よりも少し年上。 当時、仲間と一緒に和麻を苛め抜き、炎術で身体を焼いたり靴底で頭を踏みにじったりしていた。歯向かってきた和麻に逆上して殺害しようとするが、操の乱入によって食い止められてしまう。 今の「八神和麻」なら小指の先を3センチ曲げる程度の労力で殺せると語られている。和麻は帰国後に会った覚えがあると見て思い出そうとしたが、今の透の顔を思いだすことができず疑問を抱いていた(これに関してはどのような伏線なのか不明なままであった)。
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