早瀬川家
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「偽りの花園 (テレビドラマ)」の記事における「早瀬川家」の解説
早瀬川顕彦(演:松田賢二) 早瀬川伯爵家の末っ子で長男で嗣子。美琶子より5歳年上の異母兄にあたる。劇作家志望。大学卒業より演劇活動に勤しんで定職に就かないため、元々不仲である父との関係が悪化し、母・茜や次姉・瑠璃子からも将来を心配される。育ちが良く真っ直ぐで純粋、繊細な心を持つ。生活力に欠いており、やや頼りなく、間の悪さから窮地に陥ることがある。 身分を隠したまま美禰子と恋に落ちるが、共産主義活動をしたために獄中で廃嫡・除籍される。 そのため、自分の代わりに美禰子が早瀬川家の後継者となってしまう。釈放後、母・茜の計らいでホテル暮らしをする事になるが、早瀬川家へ引き取られた美禰子が「異母妹だ」と知らされショックを受け、以後は兄妹として距離を取ることを決する。しかし赤の他人である事は知らないまま、軽井沢の別荘で美禰子と復縁。その現場を栄子に目撃され、「汚らわしい!」と罵倒された。 美禰子のために思想転向までしたものの、美禰子を異母妹だと思いこんでいるため罪悪感を拭えず、苦悩により情緒不安定かつ自堕落になり、逃避のためにカフェ「プランタン」の女給・芳枝に手を出す。美禰子が自分が偽の妹だと伝えに行く矢先、芳枝と共に満州へと旅立つ。渡満後は生活のために天津で娼館経営者となり、7年後に帰国した際、美禰子から真実を聞き愛を復活させ、二人の間に生まれた娘・ひかると3人で家庭を築こうとする。だが満州にいる内妻ユリエが東京に乗り込んできたことで、美禰子と美琶子にまつわる運命の渦に再び巻き込まれる。 終戦・美禰子との離婚後は劇団に在籍し演出家をしながら巡業して生計を立て、甥の進一とアパートで同居する。モナムールのオーナー兼、劇団の女優・とき子と婚約していたが、ひかるが幼少期に目撃した美禰子の罪を知り、一人で罪を背負い込む美禰子を放っておけなくなり婚約解消する。 後に美禰子から離婚の真相を告げられて和解、美禰子が美琶子殺害の罪を自首・刑期を終えた後迎えに行き、復縁する。(第2,3,4部) 早瀬川煕道(演:佐藤仁哉) 早瀬川伯爵家の当主、枢密院副議長。早瀬川姉弟と美琶子の実父。早瀬川家は維新の元勲に始まる、薩摩藩閥の新興華族。 盛大な結婚式とド派手な披露宴を挙げておいて恥を知らずに出戻ってきた長女・栄子のことを早瀬川家末代までの恥だと思っており、あからさまに嫌悪している。古風で独裁的な考えを持ち、顕彦・栄子と衝突する。 顕彦は自分の子だと信じたいが、亡くなった先代伯爵との子かもしれないと茜を責める。ほか、栄子・瑠璃子・顕彦の口ぶりから家庭を省みる良い父ではなかった模様。 危険思想をもつ顕彦を廃嫡して丹の産んだ庶子を家督に決めたために、美禰子が早瀬川伯爵家に差し出される羽目に陥る。「今浜」を訪れた際に偶然見かけた美禰子を自分の娘と思い込んでいたため、引き取った美禰子を疑わずに可愛がり、望めば家庭教師まで雇い、出所した顕彦の早瀬川邸への出入りまで許した。 美禰子の人柄を気に入っており、美禰子が運転手・中田との醜聞を起こし早瀬川家を去った後も悪く言うことなく、美禰子を思う日々を送る。 美禰子と顕彦の真実を茜から聞き、内密に外出し「今浜」を訪れると美琶子の位牌に焼香し、7年振りに美禰子と再会、孫娘・ひかるとの対面を果たす。美禰子と顕彦を結婚させて家督に戻すと決めた直後、急死する。(第1,2,3部) 早瀬川茜(演:山口いづみ) 早瀬川伯爵夫人。実家は財閥華族。貞淑な妻。普段は穏やかだが、芯は強い。3人の子供のうち、跡取り息子の顕彦を一番可愛がっているが、先代伯爵に犯された後に生まれた顕彦の出生について伯爵から責められる。 除籍された顕彦にホテル住まいをするよう、計らう。その直後、彼が早瀬川家に押しかけ美禰子と再会し、異母兄妹と誤解してショックを受けて飛び出していった息子と継娘の関係を近親相姦だと思い込み驚愕し、「いいこと美禰子さん この事は絶対に秘密よ!!」と関係を他の人に悟られない様、言い聞かせていた。 告知される前に栄子と寛治郎の不倫に気付く。 美禰子が偽者だと知った後も、人柄の優れた美禰子に優しく接する。当初は夫の元妾である丹に対抗意識があり、対面した丹には刺のある態度で接し、さらに美禰子が替え玉だと知ると証拠を掴み、単身で「今浜」に乗り込むと丹を問い詰めて白状させ、美禰子にまで嘘を吐かせて苦しめたことを非難、酒を顔に掛けて制裁する。 後に美禰子が顕彦の娘・ひかるを産んで以降は丹と和解し、たまに孫娘・ひかるの様子を見に「今浜」を訪れ、僅かながら交流を持つ。 一方、記憶が戻る前にユリエとして現れて対面した時から、派手なドレスを纏い煙管で喫煙する等の蓮っ葉な所作を見せられてから良い印象を持たず、伯爵の本当の庶子である美琶子の内心軽蔑して毛嫌いしており、存在自体快く思っていない。早瀬川姓を名乗らせながら死去した美琶子の遺体の引き取りを拒否した。 進一によると戦後は一家で屋敷を追われ、娘婿・寛治郎の実家に移り住んだ後に亡くなっている。(第2,3部) 早瀬川栄子(演:鮎ゆうき) 早瀬川伯爵家の長女、顕彦の長姉。バツ一の出戻り。実家に居候のように居座る。世間知らずで高慢な性格。実妹の瑠璃子には思い遣りを見せる。 嫉妬深く、本妻である母・茜の子達には冷淡であった父・早瀬川伯爵が美禰子を可愛がったり、母・茜が美禰子に優しく接すると妬む。 曾我男爵家の嗣子(寛治郎の長兄)と結婚していたが、婚家の経済事情や家風等に不満があったため産んだ子供を置いて飛び出し離婚、恥を知らずに実家に出戻った。そのため、顕彦からは「出戻り」と揶揄されている。 顕彦が廃嫡されると、自分が継げると思っていた家督が美禰子の手に渡ったため、美禰子をいじめる。 美禰子の新郎・寛治郎が女好きで好色であることに付け込み、さらに寛治郎の子を産めば「自分の子が将来家督を継げる」と目論み、双方の利害一致から不倫して肉体関係になった。美禰子の子だと偽装して進一を出産、美禰子と寛治郎の戸籍に入れる。美禰子のことは進一の乳母のように扱う。美禰子が中田と醜聞事件を起こし、偽の異母妹だと露見した後、家督を継ぎ正式に寛治郎と再婚する。 進一が自分に懐かないのは自業自得だが、美禰子と顕彦を逆恨みして家督を奪われるのを恐れ、顕彦の内妻・ユリエを使って二人の仲を裂こうと策動する。ユリエと結託することもあったが、初対面からユリエの蓮っ葉な立ち振る舞いや派手な装いを母・茜同様に嫌悪して距離を取り、顕彦が満州で氏・素性が知れず、品性下劣なユリエを内妻とし、娼館経営業に手を染めたことを非難した。 目的のために結託してはいたが、ユリエの苛烈さやヒステリックな言行を快く思っておらず、ユリエが記憶を取り戻し、本当の異母妹・美琶子であると知ると不愉快をあらわにし、実の異母妹と内縁関係を結んでいた顕彦を「獣の関係を結んだ」と言って責め、記憶が戻っても出自を戸籍の偽装や作り話で誤魔化そうとしていた美琶子への嫌悪を深めた。後々は美禰子よりも美琶子のことを激しく憎悪している。 戦後は一家で米軍から屋敷を追われ、後夫・寛治郎の実家で離婚した前夫と置いて行った子がいる曽我家に転居しており、息子・進一が出て行った後も寛治郎と在住している模様。(第2,3部) 早瀬川瑠璃子(演:大家由祐子) 早瀬川伯爵家の次女、顕彦の次姉。資産家の後家で未亡人。おっとりしており、姉の栄子と違って常識がある。意外だが喫煙者。 小石川にある亡き夫の邸宅で暮らしているが、しばしば目白の実家に現れる。素朴な美禰子の人柄を知ると早瀬川伯爵家の一方的な都合で突然引き取られたことに同情する。良識があるゆえにユリエが娼館を開く事に猛反対し、記憶が戻り異母妹・美琶子となったユリエと犬猿の仲になる。 美琶子の恨みを買い、邸宅に放火されてほぼ全焼してしまい、実家に戻らざるを得なくなる。自分への復讐を企てる美琶子と同居することになり、後に美琶子に頼まれた巫女から1年以内に死ぬと予言され、美琶子のせいで神経衰弱に陥る。予言どおり不慮の事故で頓死する。(第2,3部) 早瀬川寛治郎(演:小林高鹿) 美禰子の夫、早瀬川家の婿養子。行方不明中の美琶子の戸籍で結婚した。鼻下の髭と眼鏡が特徴。 旧姓・曾我。お調子者で女癖の悪い男で浮気癖あり。京都の公家出身である曾我男爵家の三男、栄子の前夫の実弟。早瀬川伯爵の縁故で入社したガス会社に勤務しているが、商才がなく、早瀬川伯爵の出資で儲け話に手を出しては失敗し、会社勤め以外の経済活動をしないよう早瀬川伯爵と美禰子から釘を刺される。 初対面より美禰子から容姿を「イナゴみたい」と評され、軽薄な立ち振る舞いを毛嫌いされている。一方、美禰子のことは多少憎からず思っており、進一が産まれた後3年程は栄子と距離を取り、まともな夫婦になることを提案したり、顕彦との関係を栄子から知らされるとその関係の濃密さを羨望し嫉妬した。また美禰子の顕彦への一途さは認めており、運転手・中田と車で心中未遂事件を起こした際は栄子から中田との関係を邪推された美禰子を庇い、栄子の嫉妬を買う。 自分が楽しく生きることを考えて追及する性質であり、息子・進一の食の好き嫌い等には厳しいが、父親らしい愛情を注がないため懐かれない。 華族らしく体裁を第一に重んじており、気が小さい。醜聞事件を起こした美禰子を風評被害により早瀬川伯爵家から追い払い、糸川家に引き取られた美禰子とは別居を経て(戸籍上の美琶子と)離婚した。年上の栄子との肉体関係が明らかになっても、体よく恥を知らずに財産目当てと早瀬川乗っ取りのためだけに早瀬川家に残って伯爵を継いだ。 自分達の所業は棚に上げ、茜の口から美禰子が偽者だと知ると栄子と一緒に憤慨する。 ユリエが娼館をオープンさせると、招待され楽しみ、正式に妻となった栄子を怒らせる。衰弱している義妹の瑠璃子に悪戯心でキスして動揺させ、事故死させてしまった時はさすがに後悔し、遺族に出来事を正直に打ち明け謝罪した。 好色ではあるが攻撃的ではなく、栄子から妊娠を告げられ美禰子(美琶子)の子として偽装・入籍させる計画に難色を示し、顕彦に女の影を感じたユリエから問い詰められても美禰子の存在は明かさず有耶無耶に答え、他人となった顕彦と美禰子が結婚した時は心から祝福している。(第2,3部) 早瀬川伊織(演:原知佐子) 先代伯爵の後妻、芸者出身。酒に目がなく、早瀬川家の宴席に突如三味線を持って現れる。(第2部) 早瀬川進一(演:乳児期・平野翔太、幼年期・丸山歩夢、幼年期・高橋平、少年期・佐野和真) 栄子と寛治郎の息子。始めは美禰子(戸籍上は美琶子)と寛治郎の子として育てられた。自分本位な実の両親・栄子及び寛治郎に懐かず、自分を慈しんでくれていた幼い頃の育ての母・美禰子を思慕しており、さらにその娘で従妹のひかるに恋をする。年齢相応に未熟さはあるが両親には似ず、優しく心根の善良な少年に成長。 戦後は没落し平民となった(戦後間もなく、屋敷は米軍に接収され早瀬川家の一同は屋敷を追い出された。)父・寛治郎の実家である曽我家に一家で身を寄せていたが、唯一自分が肉親として接していた祖母・茜が亡くなり、居心地の悪さから曽我家を出て東京に戻り、叔父・顕彦のアパートに身を寄せる。華族育ちの割にしっかりしており、顕彦の生活力の低さに苦言を漏らす。最初はひかるの心を掴んだが、死にゆく裕之にひかるが恋したため捨てられる。(第2,3,4部) 曽我裕之(演:森脇史登) 寛治郎の甥、進一の従弟。進一同様ひかるに恋をするが、報われないまま白血病に冒される。 『シラノ・ド・ベルジュラック』をなぞらえて、進一の名前でひかるにラブレターを送り、ひかるの心を勝ち取って死ぬ。(第4部)
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