日本の実情
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1984年の国籍法改正で、20歳に達する以前に日本国籍とともに外国の国籍を持つ多重国籍の状態になった場合は22歳に達するまで、20歳に達した後に多重国籍となった場合は多重国籍となった時から2年以内が、国籍選択をすべき期限とされている。しかし、日本国籍を選択した場合であっても、外国国籍の喪失は当該外国の法令によるため、日本国籍選択だけでは他国の離脱手続きをしないと外国国籍喪失を意味するものではない。多重国籍状態の解消には外国国籍を離脱した場合には「外国国籍喪失届」、外国の法令によって外国国籍を選択した場合には「国籍喪失届」を市区町村役場または外国にある日本の大使館・領事館に提出する必要がある。提出しない場合の罰則は無い。 1985年またはそれ以降、自己の志望によらずに日本以外の国籍を取得した場合(出生、結婚など)、期限までに国籍の選択をしなかった時には法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合によっては日本国籍を失う可能性がある。2008年の法務大臣の国会答弁によると、これまでに国籍選択の催告を受けた人はいない。 1984年以前、すでに多重国籍であった日本人は、日本の国籍の選択の宣言をしたものとみなされる。また、日本の国籍の選択を宣言した者は外国国籍離脱に努めなければならない。外国国籍を失っていない者が自己の志望によってその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であっても就任することができる職を除く)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、法務大臣はその者に対して日本国籍の喪失を宣告できる。 詳細は「国籍法 (日本)#多重国籍者の国籍選択制度」を参照 多重国籍を自覚している日本国籍保有者が、日本国旅券の新規取得や切替取得するために、旅券発給申請書を提出する際に外国籍を保有していないと虚偽の申請をした場合、旅券法第23条の規定によって5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金の刑事罰の対象となる可能性がある。また、日本に帰化した者の原国籍国が国籍放棄を認めない場合などは、結果的に二重国籍となる。 外交官などの外務公務員については、外国の国籍を有することを欠格事項にしており、人事院は人事院規則第9条2項において、国家公務員の外務省専門職員採用試験の受験資格につき、外国の国籍を有することを欠格事由としている。その他の公務員については、法律上の直接規定はないが、他省庁のキャリア官僚(幹部自衛官も含む)に関して外務省における在外公館への出向が想定されている人事構造の省庁では、多重国籍者は事実上制限されている。 日本国民が、外国の国籍も有する多重国籍であることは、公職選挙法上「被選挙権の欠格事由」には該当しない。また、外国の国籍を有する日本国民が国務大臣や内閣総理大臣になることにも法律上の規制はないが、国会議員から起用されることも想定されている外務公務員(全権委員や特派大使など)に就任することはできず、選挙で当選しても国籍法により日本国籍を失った場合は被選挙権喪失という形で公職を失職となる。 国籍法第11条の規定により、他国の国籍を自分の意志で取得した者、すなわち他国に帰化した者は自動的に日本国籍を失う。しかし、外国政府が日本国政府にその事実を通知するようなシステムはないため、現実的に日本国政府はこうした帰化の事実を自動的には把握できない。そのため、戸籍法では国籍離脱者に対して国籍喪失の届出を義務付けているが、罰則はなく届け出が徹底されていない。国籍喪失が届け出られないと日本国民としての戸籍がなお日本に残存し続けるため、結果的に多重国籍者であると誤解してしまう余地が存在する。 日本弁護士連合会は、2008年に「国籍選択制度に関する意見書」、2017年に「国籍留保・喪失制度に関する意見書」を公表している。 1949年に制定され、1979年に廃止された「外国人の財産取得に関する政令」では、政令の施行地に住所を有する者を除き、日本国籍と外国籍を保有する二重国籍者は外国人として扱われた。 日本の多重国籍者数については、1984年(昭和59年)の改正国籍法の施行前については未調査で、1985年(昭和60年)当時は年間約1万人程度、その後に増加して1992年(平成4年)には2万人程度、2002年(平成14年)では約3万3千人を超えている。1985年(昭和60年)から2002年(平成14年)までの数の総計は約40万人であり、2008年(平成20年)の国籍法改正の時点の集計では約58万人である。
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日本の実情
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 09:38 UTC 版)
ビジネスジェット機はそのほとんどがN類小型機(最大離陸重量5,670 kg・12,500 lb以下)の枠に収まらず、日本の法律下においては空港への着陸制限、ランプ使用制限、飛行計画の提出期限など運航に対する規制が多い。航空法自体が大手航空会社の定期路線を想定して制定されたのが理由ともいわれ、運行コストが下がらず、柔軟な運航ができない原因となっている。 日本ではたとえば次のようなことが起きている。 空港によっては、事前に許可を取得する必要があり、突然の出発や到着ができない。東京国際空港が飛行計画を遅くとも7日前までに提出し、許可を申請するよう義務化している。 欧米に比べて耐空証明書、予備品証明などの各種書類の手続きが複雑。 施設利用料や着陸料が欧米に比べて高額。 地価を反映してか、格納庫などの使用料が高額。台湾やフィリピン、タイなどの空港に定置し、必要に応じて日本にフェリーする例もある。 航空法第78条により最大離陸重量5.7 tを超える飛行機は技能検定に合格した運航管理者(ディスパッチャー)を必要とする。社内に運行管理の為の「航空部」を常設しなければならなくなってしまう。 日本の主要都市の空港の多くはビジネス機が自由に利用できる環境になかったため、ビジネス機の導入が欧米諸国と比べ遅れていた。近年では首都圏空港や地方の大都市空港においてビジネスジェットを積極的に受け入れる気運が高まっている。 日本では新幹線という高速鉄道網が主要都市を結んでいるため、旅客機と新幹線が競合するという問題も大きい。特に新幹線の駅は主要都市の中心部にあるか、距離的に近いことが多く、他の交通機関への乗り換えも便利であるのに対し、飛行場は主要都市郊外にあり、乗り換えの利便性と所要時間で劣ると言う問題もある。本州内のみの移動に至っては、新幹線と航空機の移動時間差はそれほど大きいとは言えず、それに加え前後の地上交通との乗り換えまで考慮すると航空機が不利な場所も多い。24時間利用できる大規模空港は利用料が高いだけでなく発着枠に余裕がないためフライトプランの自由度が少ない、地方の空港は夜間の発着に制限が多く乗り換えも不便な場所が多い。また、天候による影響も新幹線の方が圧倒的に小さく、墜落事故の不安や乗車前の検査なども無い新幹線に比べてステータス以外のビジネスジェットのメリットはあまり大きくない(ただし、新幹線は概ね0時から6時まで運転されていない)。また日本の国土はアメリカと比べると格段に小規模であるため、国内移動に飛行機を利用しなければ時間浪費につながるというケースは、北海道-九州間など南北を長距離移動する場合や沖縄など離島へ移動する際程度であることも傾向に拍車をかけている。 日本は他国と比較して治安が良いため、航空会社によって運航される旅客機が欧米のようにテロリズムの爆破対象となったり、アメリカ同時多発テロ事件のような破壊活動に使われたりする可能性が低く、ビジネスジェットのセキュリティ面での優位性も希薄である。 これらの要因から日本におけるビジネスジェットのユーザーは、航空事業会社の報道機や空撮機、自衛隊や海上保安庁が利用する捜索救難機や飛行点検機などの改造ベースが主流であり、官民合わせても2018年時点で90機ほどとされ企業や個人の移動用として利用は少ない。ビジネスジェットを運航する航空会社も少なく、ボンバルディアの代理店となっている双日が子会社を設立し自社取り扱い機を運航しているが、利用状況は年間で約400時間と欧米に比べ非常に少ない。 本田技研工業が航空事業へ参入するため設立したホンダ エアクラフトの本社とHondaJetの工場は共に最大の市場であるアメリカに設立された。 日本人の利用は少ないが大規模空港では外国からの乗り入れを考慮し、空港にビジネスジェット用の施設が建設されている。中部国際空港ではビジネスジェット専用の格納庫、VIPラウンジを併設したターミナル、専用CIQエリアを24時間利用可能とし、使用料も不定期の個人客や定期使用のビジネス客に対応したプランを用意している。東京国際空港(羽田空港)でも国際線ターミナル内にビジネスジェット専用ゲートが存在する。 ホンダ エアクラフトは日本での需要の掘り起こしを狙い、国内でHondaJetの販売を開始するとした。 ANAと双日は、2018年にANAビジネスジェットを設立し、ビジネスジェットのチャーター手配事業に参入している。 2019年からの新型コロナウイルス感染症の流行によりプライベート機の需要が伸びており、ビジネスジェットや超軽量ジェット機の利用が増えている。
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