一角獣座とは? わかりやすく解説

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いっかくじゅう‐ざ〔イツカクジウ‐〕【一角獣座】

読み方:いっかくじゅうざ

天の赤道付近星座オリオン座小犬座の間にあり、3月上旬午後8時ごろ南中する明るい星はないが、天の川中にあり、星団星雲が多い。学名 (ラテン)Monoceros

一角獣座の画像

いっかくじゅう座

分類:星座/神話


名称:いっかくじゅう座(一角獣座)
学名:Monoceros
小分類:南半球
構成する主な星雲星団恒星:M50(NGC2323散開星団)/NGC2264(散開星団)/NGC2244(散開星団)/NGC2237(ばら星雲ガス散光星雲)/NGC2261(ハッブルの変光星雲)
神話主な登場人物:−
日本観測できる時期:12月5月の約6ヵ月
見ごろ季節:冬(20時正中は3月上旬)

オリオン座ベテルギウスと、おおいぬ座シリウスこいぬ座プロキオン作る冬の大三角」の中にちょうどすっぽり納まっている星座です。暗い星が多くて形を探しにくいですが、観測上は赤いバラのようなガス星雲バラ星雲」や散開星団いくつかあるなど、興味深い領域です。バラ星雲肉眼では見えませんが、時間をかけて写真撮影すると美しい姿を見ることができるでしょう

1.見つけ方ポイント
オリオン座の肩にある1等星ベテルギウスと、おおいぬ座シリウスこいぬ座プロキオンを結ぶと、「冬の大三角」になります。いっかくじゅう座は、この冬の大三角のちょうど真ん中あります。形は馬のように、胴体から南に前足2本と後ろ足伸ばし、さらに北西側に首を伸ばした形をしています。ただし、一番明るい星でも4等ですので形を探すのは難しでしょう

2.神話内容について
一角獣空想上の生き物です。馬に似ており、ひたいに細長く先の尖った1本の角があります。いっかくじゅう座を作った人は、17世紀ドイツ天文学者バルチウスではないかといわれています。

3.同じ時期見え星座について
いっかくじゅう座の西にはオリオン座うさぎ座、北にはふたご座北東にはこいぬ座、南にはおおいぬ座とも座はと座を見ることができます。「冬の大三角のちょうど真ん中ありますので、冬の代表的な星座多く一緒に見えると思ってよいでしょう

4.主要都市での観測について
冬に南の空に昇る星座で、日本全国星座全体地平線の上昇ります。しかし暗い星が多いので形を探すのは難しいかもしれません。

参考文献:「星座クラブ沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑藤井旭著(成美堂出版)、「星座夜空四季小学館学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)


いっかくじゅう座

(一角獣座 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/25 01:21 UTC 版)

いっかくじゅう座
Monoceros
属格 Monocerotis
略符 Mon
発音 [məˈnɒsɨrəs]、属格 /ˌmɒnəsɨˈroʊtɨs/
象徴 ユニコーン
概略位置:赤経  05h 55m 51.8s -  08h 11m 23.8s[1]
概略位置:赤緯 11.93° - −11.37°[1]
広さ 481.569平方度[2]35位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
32
3.0等より明るい恒星数 0
最輝星 β Mon(3.74
メシエ天体 1
確定流星群 いっかくじゅう座12月流星群
いっかくじゅう座α流星群[3]
隣接する星座 おおいぬ座
こいぬ座
ふたご座
うみへび座
うさぎ座
オリオン座
とも座
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いっかくじゅう座[4](いっかくじゅうざ、一角獣座、Monoceros[4][5])は、現代の88星座の1つ。17世紀に考案された新しい星座で、額に1本の角を持つ馬の姿をした架空の生物ユニコーンモノセロス)をモチーフとしている[1][5]シリウスプロキオンベテルギウスの3つの1等星が形作る「冬の大三角」に囲まれた領域に位置する。

主な天体

固有名もない4等星がいくつかあるだけの目立たない星座だが、ばら星雲など名の知られた星雲星団が属している。

恒星

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって2個の恒星に固有名が認証されている[6]

  • HD 45652:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でポルトガルに命名権が与えられ、主星はLusitânia、太陽系外惑星はViriatoと命名された[7]
  • HD 52265:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でエルサルバドルに命名権が与えられ、主星はCitalá、太陽系外惑星はCayahuancaと命名された[7]

その他の特徴的な恒星には以下のものがある。

星団・星雲・銀河

由来と歴史

19世紀の星座カード集『ウラニアの鏡』に描かれたいっかくじゅう座。
古今図書集成に描かれた井宿星官。中央に四瀆と闕邱が描かれている。

オランダの神学者で地図製作者のペトルス・プランシウスが考案したものであるとされる[5]。プランシウスは、1612年に作成した天球儀[注 2]Monoceros Unicornisモノセロスユニコーン)という名前で星座を描いていた[5]。これより後の1624年に、ドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスが刊行した『Usus Astronomicus Planisphaerii Stellati』に掲載した星図に Unicornu の名前でこの星座を加えていたことから、バルチウスが考案者であると誤解されることもある[4][5]。西洋の伝承に登場する額に1本の角を持つ馬であるユニコーンがモチーフとされたが、一部の星図では鼻先に角を持った魚類の姿で描かれることもあった[4]

19世紀末アメリカのアマチュア博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンは、著書『Star Names: Their Lore and Meaning』の中でこの星座の考案者について異説を挙げている。アレンは、天文学者ヴィルヘルム・オルバースと年代学者ルートヴィヒ・イデラー英語版が「1564年の文献に「双子座と蟹座の南にある別の馬」という言及があることから、もっと早い時期に考案されたものである」と述べていたとした[29]。また、古典学者のヨセフ・スカリゲル英語版が「ペルシアの天球儀に描かれたこの星座を発見した」としていたとした[29]。さらにアレンは、フランスの天文学者カミーユ・フラマリオンが古い文献に見える謎の星座 Neper をこの星座に同定していたという話を紹介している[注 3]

1872年、イギリスの天文学者リチャード・アンソニー・プロクター英語版 は、星座名を簡略化するために「Cervus(鹿)」という名称に変更することを提唱した[4][29][30]が、受け入れられることはなかった。アメリカの天文学者ベンジャミン・グールドは、1879年に刊行した『Uranometria Argentina』の中で、この星座の6つの星にギリシャ文字の符号を付した[5]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Monoceros、略称はMonと定められた[31]。17世紀に考案された新しい星座のため神話・伝承はない。

中国

中国の天文では、いっかくじゅう座の星のうち5つの星が二十八宿の南方朱雀七宿の第1宿の「井宿」の一部とされた[5][32]。17・13・εの3星は、ふたご座の5等星HD 52960とともに長江黄河淮河済水の四つの大河を表す「四瀆」と呼ばれる星官を成すとされ、18・21(または22[5])の2星は宮殿の門外にある小山を表す「闕邱」という星官を成すとされた[5][32]

呼称と方言

日本では、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳した『洛氏天文学』が刊行された際には「ユニコルン(一角)」と訳が充てられた[33]1908年(明治41年)4月に創刊された日本天文学会の会誌『天文月報』では同年12月の第9号から「一角獣」という星座名が記された星図が掲載されている[34]。1910年(明治43年)2月に訳語が改訂された際も「一角獣」がそのまま使用された[35]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「一角獣(いっかくじう)」として引き継がれ[36]1944年(昭和19年)に学術研究会議によって天文学用語が改訂された際もこの呼称が継続して採用された[37]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[38]とした際に、Monoceros の日本語名は「いつかくじゆう」と改められた[39]。さらに1974年(昭和49年)1月に刊行された『学術用語集(天文学編)』で仮名遣いが改められ「いっかくじゅう」が星座名とされた。この改定以降は「いっかくじゅう」が星座名として継続して用いられている。

現代の中国では「麒麟座」という呼称を用いている[40][注 4]

脚注

注釈

  1. ^ コーンは「円錐」の意。
  2. ^ この天球儀には、同じくバルチウスが作ったと言われるきりん座も描かれている[5]
  3. ^ リチャード・ヒンクリー・アレンは、Neperは現在のけんびきょう座の領域にあった、としている[29]
  4. ^ きりん座は「鹿豹座」とされる[40]

出典

  1. ^ a b c The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月8日閲覧。
  2. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ 流星群の和名一覧(極大の日付順)”. 国立天文台. 2023年3月12日閲覧。
  4. ^ a b c d e 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味 -』(新装改定版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、71-74頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  5. ^ a b c d e f g h i j Ridpath, Ian. “Monoceros”. Star Tales. 2023年3月12日閲覧。
  6. ^ IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年12月22日閲覧。
  7. ^ a b Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月4日閲覧。
  8. ^ "alp Mon". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月28日閲覧
  9. ^ "bet Mon". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月28日閲覧
  10. ^ a b "eps Mon". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月28日閲覧
  11. ^ "eps Mon A". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月8日閲覧
  12. ^ "eps Mon B". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月8日閲覧
  13. ^ "R Mon". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  14. ^ Hubble's variable nebula (NGC 2261)”. www.spacetelescope.org (1999年10月7日). 2023年3月12日閲覧。
  15. ^ a b "S Mon". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月28日閲覧
  16. ^ "Ross 614". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月28日閲覧
  17. ^ "1A 0620-00". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  18. ^ "M 50". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  19. ^ =Frommert, Hartmut (2007年8月30日). “Messier Object 50”. SEDS Messier Database. SEDS. 2023年3月12日閲覧。
  20. ^ a b "Rosette Nebula". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  21. ^ Frommert, Hartmut (2004年1月22日). “NGC 2244 and the Rosette Nebula NGC 2237-9”. SEDS Messier Database. SEDS. 2023年3月12日閲覧。
  22. ^ a b c d Frommert, Hartmut (2006年8月22日). “The Caldwell Catalog”. SEDS Messier Database. 2023年3月12日閲覧。
  23. ^ "NGC 2244". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  24. ^ a b "NGC 2261". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  25. ^ NGC 2261 (ハッブルの変光星雲/散光星雲) - すばるギャラリー”. すばる望遠鏡 (1999年6月29日). 2023年3月12日閲覧。
  26. ^ "NGC 2264". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  27. ^ 夜空に輝くクリスマスツリー”. AstroArts (2008年12月25日). 2015年5月4日閲覧。
  28. ^ "NGC 2506". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月12日閲覧
  29. ^ a b c d Allen, Richard H. (2022-11-03). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. pp. 280-290. ISBN 978-0-486-13766-7. https://books.google.com/books?id=vWDsybJzz7IC 
  30. ^ Proctor, Richard A. (1872). A new star atlas for the library, the school, and the observatory : in twelve circular maps. London: Longmans, Green. p. 17. OCLC 5581005. https://books.google.co.jp/books?id=yzRRAAAAYAAJ 
  31. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2022年12月27日閲覧。
  32. ^ a b 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。ISBN 4-639-00647-0 
  33. ^ ジェー、ノルマン、ロックヤー 著、木村一歩内田正雄 編『洛氏天文学 上冊文部省、1879年3月、58頁https://dl.ndl.go.jp/pid/831055/1/37 
  34. ^ 十二月の天」『天文月報』第1巻第9号、1908年12月、12頁、ISSN 0374-2466 
  35. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  36. ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/38 
  37. ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/pid/1124236/1/9 
  38. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  39. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466 
  40. ^ a b 大崎正次「辛亥革命以後の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0 

座標: 07h 09m 00s, −05° 44′ 24″


一角獣座

出典:『Wiktionary』 (2021/07/22 13:35 UTC 版)

固有名詞

いっかくじゅう いっかくじゅうざ

  1. 日本では冬に南の空に見え星座一つ明るい星はない。一角獣にちなむ。

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