じょうぎ座とは? わかりやすく解説

じょうぎ‐ざ〔ヂヤウギ‐〕【定規座】

読み方:じょうぎざ

南天の小星座(さそり)座の南にあり、7月中旬午後8時ごろ、南の地平線上に一部現れる学名(ラテン)Norma


じょうぎ座

分類:星座/神話


名称:じょうぎ座
学名:Norma
小分類:南半球
日本観測できる時期:日本からはほとんど見えません
見ごろ季節:夏(20時正中は7月)

さそり座心蔵アンタレスのずっと南に位置する星座で、2個の4等星といくつかの5等星が、小さな三角形作ってます。18世紀フランス天文学者ラカーユ作った星座ですが、南半球多く星座同じく暗くて形がはっきりせず見栄えのするものではありません。ただし、南半球でじょうぎ座のあたりを眺めると、南天天の川が非常に明るく流れていて美し見物になってます。星座名の由来は、昔の船乗り測量使った直角定規と棒をかたどったものだとされています。

1.見つけ方ポイント
さそり座心蔵1等星アンタレスのずっと南にある星座で、天の川中にあります。暗い星が多い星座なので、非常に分かりにくいといえるでしょう。見つけるときは、真夏の夜に、さそり座アンタレスから南に目を下ろしていき、地平線低く椅子逆さにたような形の、四角と棒を組み合わせた星座を見つけてみましょう

2.神話内容について
じょうぎ座は18世紀フランス天文学者N・Lラカーユ(1713〜62年)が、1750年代作った星座です。彼の発表した南天星図中に書かれたもので、両隣にあるさいだん座おおかみ座一部削って追加されました。航海中の測量技師が使う直角定規と棒をかたどったものだとか、直角定規直定規だとか、水準器だとも言われています。神話はまったく関係ありません。ラカーユは、アフリカ大陸南端現在の南アフリカ共和国ケープタウン住み南天の星の研究行いましたラカーユ創設した星座は、当時発明され道具などを模したものがほとんどです。

3.同じ時期見え星座について
夏に高く昇る星座で、さそり座などの夏の星座たちと一緒に見ることができます。まず、西にはさいだん座くじゃく座、北にはさそり座を見ることができます。また西にはおおかみ座ケンタウルス座、南にはみなみのさんかく座コンパス座を見ることができるでしょう

4.主要都市での観測について
低い位置にあるので九州より北では見えませんが、沖縄奄美諸島へ行くと、全体を見ることができます

参考文献:「星座クラブ沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑藤井旭著(成美堂出版)、「星座夜空四季小学館学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)


じょうぎ座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/15 03:00 UTC 版)

じょうぎ座
Norma
属格 Normae
略符 Nor
発音 英語発音: [ˈnɔrmə]、属格:/ˈnɔrmiː/
象徴 大工の使う指矩[1]
概略位置:赤経  15h 12m 13.6s -  16h 36m 08.3s[1]
概略位置:赤緯 −42.27° - −60.44°[1]
正中 7月5日21時
広さ 165平方度 (74位
主要恒星数 2
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
13
系外惑星が確認されている恒星数 3
3.0等より明るい恒星数 0
10パーセク以内にある恒星数 0
最輝星 γ2 Nor(4.0
最も近い星 HD 139211;(101光年)
メシエ天体 0
流星群 じょうぎ座γ流星群
隣接する星座 さそり座
おおかみ座
コンパス座
みなみのさんかく座
さいだん座
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じょうぎ座(じょうぎざ、Norma)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばに考案された新しい星座で、製図や建築に用いる指矩をモチーフとしている[1][2]。日本では、十島村以南で星座の全域を見ることができる。

主な天体

小さな星座で、明るい恒星もない。また、この星座にはα星とβ星がない。

恒星

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) が認証した固有名を持つ恒星は1つもない[3]

星団・星雲・銀河

1997年から1998年にかけてハッブル宇宙望遠鏡が撮像したアリ星雲

星座全体が天の川にかかっているので、多くの星雲・星団がある。

由来と歴史

クラウディオス・プトレマイオスの著書『ヘー・メガレー・スュンタクスィス・テース・アストロノミアースでは、じょうぎ座の恒星の多くの星は、おおかみ座さいだん座の間のにあるどの星座にも属していない星として扱われていた[2]。フランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユは、1756年に刊行されたフランス科学アカデミーの1752年版の紀要『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載された星図に、指矩と直定規の星座絵とフランス語で製図用具の指矩と直定規を意味する l'Équerre et la Règle を描いた[2][6][7]。ラカーユの死後の1763年に刊行された著書『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語で短縮した「Norma」と呼称が変更されている[2][8]

1801年ヨハン・ボーデが刊行した『ウラノグラフィア』では指矩と直定規を意味する Norma et Regula として描かれた[2]。また19世紀末のアメリカのアマチュア博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンによると「ユークリッドの定規」を意味する Quadrans Euclidis と呼ばれたとされる[9]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Norma、略称は Nor と正式に定められた[10]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

ラカーユがじょうぎ座を設けた際、彼はα星からμ星まで10個の星をリストアップしていたが、α星とβ星はフランシス・ベイリー1845年に刊行した『British Association Catalogue』でさそり座の領域に無名の星として加えられた[11]。後にベンジャミン・グールドによって、α星はさそり座N星、β星はさそり座H星とされた[11][12]

呼称と方言

日本では、1910年(明治43年)2月刊行の日本天文学会の会誌『天文月報』第2巻第11号で星座名の改訂が示された際に「定規」という呼称が使われている[13]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「定規(ぢゃうぎ)」として引き継がれた[14]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[15]とした際に、Norma の日本語の学名は「じょうぎ」と定められ[16]、これ以降は「じょうぎ」という学名が継続して用いられている

天文同好会[注 1]山本一清らは、既にIAUが学名を Norma と定めた後の1931年(昭和6年)3月に刊行した『天文年鑑』第4号で、星座名を Norma alias Quadra Euclidi 訳名「水準と方形定規」または Norma et Regula 訳名「水準と定規」と紹介し[17]、以降の号でもこの星座名と訳名を継続して用いていた[18]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 現在の東亜天文学会

出典

  1. ^ a b c d The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Norma”. Star Tales. 2023年1月15日閲覧。
  3. ^ IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年1月9日閲覧。
  4. ^ "gam02 Nor". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月15日閲覧
  5. ^ "PN Mz 3". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月15日閲覧
  6. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年1月7日閲覧。
  7. ^ Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
  8. ^ Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年1月15日閲覧。
  9. ^ Allen, Richard H. (2013-2-28). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. pp. 293-294. ISBN 978-0-486-13766-7. https://play.google.com/books/reader?id=vWDsybJzz7IC&pg=GBS.PA293 
  10. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月5日閲覧。
  11. ^ a b Wagman, Morton (2003). Lost Stars: Lost, Missing and Troublesome Stars from the Catalogues of Johannes Bayer, Nicholas Louis de Lacaille, John Flamsteed, and Sundry Others. Blacksburg, Virginia: The McDonald & Woodward Publishing Company. pp. 215-16. ISBN 978-0-939923-78-6 
  12. ^ Gould, Benjamin Apthorp (1879). “Uranometria Argentina: Brightness and position of every fixed star, down to the seventh magnitude, within one hundred degrees of the South Pole; with atlas”. Resultados del Observatorio Nacional Argentino 1: I-387. Bibcode1879RNAO....1....1G. OCLC 11484342. https://articles.adsabs.harvard.edu/pdf/1879RNAO....1D...1G#page=192. 
  13. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、 11頁、 ISSN 0374-2466
  14. ^ 東京天文台『理科年表 第1冊』丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  15. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。 ISBN 4-8181-9404-2 
  16. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、 13頁、 ISSN 0374-2466
  17. ^ 天文同好会『天文年鑑』4号、新光社、1931年3月30日、6頁。doi:10.11501/1138410https://dl.ndl.go.jp/pid/1138410/1/11 
  18. ^ 天文同好会『天文年鑑』10号、恒星社、1937年3月22日、4-9頁。doi:10.11501/1114748https://dl.ndl.go.jp/pid/1114748/1/12 

じょうぎ座

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 23:58 UTC 版)

固有名詞

じょうぎ じょうぎざ

  1. 南天星座一つ定規にちなみ、1756年ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって設定

翻訳


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