てんびん座
「く」の字を裏返したような形が目印の暗い星座
日本では夏の南南東の夜空に輝く星座です。おとめ座とさそり座の間にあり、3つの3等星が「く」の字を裏返したような形で並んでいます。ギリシャ時代には、さそり座が爪で支えている天秤、あるいは正義の女神アストレアがもっている善悪をはかる天秤だといわれていました。また、2000年以上前には秋分点がこの星座にあり、太陽がそこにくると昼と夜の長さがちょうど同じになったので、この名がつけられたともいわれています。
人間の善悪をはかる正義の守護神アストレアの天秤
正義の女神アストレアは、2人の人間が争っているとき、天秤を使って善悪をはかりました。ひとりずつ天秤にのせ、どんなに理屈のとおったことを言っていても、悪い人は秤が下がり、正しい人は上がります。こうして、アストレアは人間たちが武器をつくって争うようになった銀の時代、銅の時代に、正義を守っていました。しかし、鉄の時代に入り、人間たちは集団で武器を使い、国と国で争うようになりました。こうなると、さすがのアストレアもどうすることもできず、天上にのぼって星座(おとめ座)になってしまったといいます。そのとき、愛用した天秤が、おとめ座の足元にあるてんびん座です。
てんびん座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 14:02 UTC 版)
Libra | |
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属格形 | Librae |
略符 | Lib |
発音 | 英語発音: [ˈliːbrə]、属格:/ˈlaɪbriː/ |
象徴 | the Scale |
概略位置:赤経 | 15 |
概略位置:赤緯 | −15 |
正中 | 6月20日21時 |
広さ | 538平方度[1] (29位) |
主要恒星数 | 4, 6 |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 46 |
系外惑星が確認されている恒星数 | 3 |
3.0等より明るい恒星数 | 2 |
10パーセク以内にある恒星数 | 2 |
最輝星 | β星(2.62等) |
最も近い星 | HD 131977;(19.3光年) |
メシエ天体数 | 0 |
流星群 | May Librids |
隣接する星座 | へび座(頭部) おとめ座 うみへび座 ケンタウルス座(角で接する) おおかみ座 さそり座 へびつかい座 |
てんびん座(てんびんざ、天秤座、Libra)は、黄道十二星座の1つ。トレミーの48星座の1つでもある。
概要
西はおとめ座と、東はさそり座と接する。2等級より明るい星はなく、3つの3等星があり、これらが長方形を形作る。α星とβ星には、さそり座由来の名がついている。これはかつて、この星座がさそり座のはさみの部分であったことに起因する。
α星、β星はてんびん棒の部分で、γ星とσ星はてんびんの皿にあたる。
主な天体
恒星
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が付けられている。
- α星:ズベン・エル・ゲヌビ[2] (Zubenelgenubi[3]) は、アラビア語で「南の爪」を意味する。この星は光学二重星で、空気が澄んでいれば肉眼で見わけられる。
- β星:ズベン・エス・カマリ[2] (Zubeneschamali[3]) は、てんびん座で最も明るい恒星。アラビア語で「北の爪」を意味する。実際は青白色だが[4]、緑色に輝いて見える星として知られている[5][6]。
- γ星:ズベン・エル・ハクラビ[2] (Zubenelhakrabi[3]) は、「さそりの爪」を意味する。
- σ星:ブラキウム[2] (Brachium[3]) は、半規則型変光星(変光範囲が小さいので眼視観測では変光はわかりにくい)。
その他、以下の恒星が知られている。
- δ星:食変光星。
- グリーゼ570(HR 5568):太陽系から19.3光年離れている。
- グリーゼ581:2012年現在、惑星が6個発見されている。
- HD 140283:発見されている中で最も年齢が古い恒星。
由来と歴史
元々はさそり座のはさみの部分であったと考えられている[2][7]。てんびん座として独立したのは紀元前1世紀頃と考えられているが、いつ誰が独立させたのか定かではない[7]。2世紀中頃、クラウディオス・プトレマイオス(トレミー)は『アルマゲスト』の中に「爪」と記している[7]。古代ローマでは昼夜の長さを等しく計る天秤であると考えられていた[7][注 1]。
神話

ギリシア神話では、正義と天文の女神アストライアーが手に持っている、正義を計る天秤だとされる[2]。隣にあるおとめ座がアストライアーをかたどったものとする説もある[2]。
脚注
注釈
出典
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、128-129頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ a b c d “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2017年10月11日閲覧。
- ^ “SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet Lib -- Variable Star. 2013年1月14日閲覧。
- ^ Kaler, James B. (2006), “Zubeneschamali”, Stars (University of Illinois) 2006年7月3日閲覧。
- ^ 『星百科大事典 改訂版』地人書館 R.バーナムJr.著。951P。ISBN 4-8052-0266-1。
- ^ a b c d e Ian Ridpath. “Star Tales - Libra”. 2017年10月11日閲覧。
てんびん座
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